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第5話-追憶と今と-

「……なるほど。おそらくお前が出会ったという2人はアダムとイヴだろうな」

俺は今、大和校長(校長と思ったことは一度もないが)との会話をしている。

「やっぱりそうだったのか…」

思い出しただけでも恐ろしく思える。

イヴが『黙れ』と言っただけで黙らざるをえなかった。というより話せなくなった。

全くの謎だ。10分程度で元に戻ったがその気になれば一生ものにもできる気がする。

「とりあえず今後出会ったとしても手を出すなよ?死んでもしらねーぞ?」

警告なのか無責任なのかよくわからないが、おそらく前者だろう。多分。俺は肝に命じた。キモww嘘です、ごめんなさい。


それに死ぬならせめてもうすこし後にしてほしいし。

「あ、やべ。もうこんな時間か?らど先生の雷怖いんでもう行きますわ」

「あぁ、俺のとこに来なくても別によかったんだがな」

晃は校長室を後にした。



しばしの沈黙のあと。

大和はたばこに火をつける。

校長室には禁煙の貼り紙があるが知ったこっちゃねぇ。吸いてぇから吸う。そんだけだ。

ふー…。

煙を吹かしながら大和は目を閉じる。

あらやだイケメン。



―――――

――――

―――

――


-20年前-


「いいか。最近の人間の突然変化及び謎の生命体の名はアイスということになった。アダム・イヴ・ストレス、通称アイスだ。先日ブリューゲン博士から公式の発表があった。そしてこのアイスの根源とされるものはアダムとイヴという生命体らしい。それが人間なのか化物なのかまたは物質なのかは今のところは不明である。我々の任務はこのアダムとイヴを殲滅し、この世からアイスを消し去ることである。そのために我々にはアイスを抑制する武器が配布される。無くすなよ?なにか質問のあるものはいるか?」

指揮官が言う。

特に声は上がらない。質問なし。ということである。

「では以上で」

解散していく兵士たち。

兵士というべきか、戦士というべきか。

どちらかというと戦士だろう。

なんともいえないのが現状である。


そんな中、彼はいた。20年前、つまり22歳の大和神である。若い(確信)

「ちっ……めんどくせぇな…やってらんねぇわ」

煙草を吹かしながらぼやく。

容姿はヤバい人。闇取引してそうな恐い人。

アイスだかなんだか知らねぇが俺には関係ない。知らんやつが化物になろうが死のうが知ったこっちゃねぇ。俺は俺のやりたいことをするだけだ。

大和は煙草が尽きると舌打ちしポイ捨て。

「待てよ、大和」

あー、この声はうぜー奴。まだ生きていたのか。早くくたばれ。

ため息をつき振り向く。

「なんか用かよ?飛鳥」

いつも俺を目の敵にするうぜー奴。飛鳥美琴(あすかみこと)。女みたいな名前だが男だ。

腐れ縁で毎回毎回うぜー奴とは思っているが、嫌いではない。

「お前、どうせ参加しないんだろ?」

流石だ、飛鳥。長い付き合い故か。

「当たり前だ。知ったこっちゃねぇよ」

「そうかよ」

「あぁ」

珍しく文句がない。雨でも降るのか?少し気まずいじゃねぇか。

「……ないからな」

「あん?」

「なんでもない。じゃあな」

飛鳥はそう言うと配布される武器とやらを取りに行った。

俺はそのままその場を立ち去った。






雨か。

関係ないけどな。雨は好きだ。いろいろと洗い流してくれる。いろいろと。

自販機で煙草を買う。

ガキ?

路地を曲がった先には少女がしゃがんでいた。

親とはぐれたのだろうか?

だが関係ない。俺は少女の横を通りすぎる。

「……ねぇ」

通りすぎた少女から声をかけられた。

「あ?」

大和は振り向く。めんどくせぇな。

「お兄さんも、私を殺しに来たの?」

このガキ、頭イってんじゃねぇのか。

「はぁ?殺す気もないし。興味もねぇよ」



突然笑いだす少女。不気味だ。

「あん?なんか変なこと言ったか?」

「あなたは逃げているだけだね?関係ない関係ない関係ない関係ないと言い聞かせて目をそらしている。そうでしょう?」

「なにがいいたい?」

「言葉通りの意味だよ。逃げて逃げて逃げ回って自分の弱さを誤魔化している。なにもできない弱い自分をね。でも、私はそういう人嫌いじゃないわ」

なんで知らないガキにいろいろ言われなきゃならんのか。

少女の真っ白な瞳で見抜かれているというのか。

間違いではないし、逃げているだけかもしれない。だが、どうでもいいこと。堕ちていくだけだ。

「それで?」

「ごめんなさい、もう時間みたい。また会いましょう」

少女が消えた。文字通り消えたのだ。行方は知らない。

「ちっ…なんだよあのガキ」


逃げて逃げて逃げ回って、か……。その通りだ、俺は逃げている。現実を受け入れられていない。


本当にやつらを倒せるのか?殺せるのか?

なにを恐れている?なにを恐れる?苦痛の先にある死か?なぜ恐れる?

死に場所を求めていた自分がなぜ恐れているのか。

生物ゆえの死に対する本能か。


やりたいことをやる。自由とも聞こえるが裏を返せばやりたくないことはやらないという逃避を意味する。

「…雨だったな」

煙草を吸おうと手にかけたがやめた。


それから雨の道を歩いて本部へ戻った。




翌日。

本部付近で死体が見つかったらしい。

どこのどいつがくたばったって?ざまぁねぇな。

顔くらい見てみるか、どうせ知らないやつだろうけど。

野次馬どもに混じり、死体を覗く。

「な…………っ」

そこにあったそれは大和のよく知る人物だった。

「どけ!どいてくれ!!」

野次馬どもを払いのける大和。

なにかの間違いだ、見間違いだ、そうに違いない。

しっかり見ればわかるはずだ。

野次馬どもをどかし、死体に駆け寄る。

「おいおい、冗談じゃねぇぞ…洒落にならねぇぞ…」

死体は紛れもなく大和の知る人物飛鳥だった。


大和は思い出す。

あの時、聞き取りにくかった言葉だが口の動きを思い出して文字を並べると

『今夜…死ぬかもしれないからな』になった。

大和はその場立ち尽くした。

タイミングを合わせるかのようにポツリポツリと雨が振り出し始めた。




ザー…っと雨の音。

どれくらいの時間がだったのであろう。

野次馬の姿はなくなり、死体も回収されたが大和はただ立ち尽くしていた。

「…っ……くそがぁ……なに勝手に死んでんだよ…なに勝手に先にいっちまうんだよ…」


大和にとって飛鳥は良き友人であり、恩人でもあった。

嫌っているようにも見えるが嫌いなのは飛鳥の真面目すぎるところだ。

あいつがいなければ今の俺はいなかった。

いつか、お礼でもしようかと思っていた。

「なんかさせてから死ねよ…ちくしょうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!!」


ザー……


どしゃ降りの中、ただひたすら泣き叫んだ大和。

「…こんなに泣いたのは久しぶりだ、クソが…」

「こんばんは」

後ろから声をかけられる。

振り向くと白衣を着た男がそこにいた。

「…誰だ、てめぇは?」

「あ。やっぱりそうなります?」

「ふざけてんのか?」

「イヤだなぁ、そんなわけないじゃないですかー」

うぜぇ…。口には出さないがそう思った。

白衣を着ているところを見ると医者か、もしくは科学者か、それとも別の何かか。

とはいえ、医者だろうが科学者だろうが白衣を常時着ているわけがない。コスプレか。

「あ?この白衣ですか?いいでしょう?私、研究者なんですけど白衣を着ていないと落ち着かなくてー……って冗談はこの辺にしておきますか」

「んなキャラ設定いらねーわ、死ね」

本音が漏れた。後悔はしない。

「やれやれ、では本題に入りましょう。……さて、大和さん。あなたは本日ここで亡くなった飛鳥さんの仇を討ちたい。まぁ、簡潔にこんな心情でしょう?」

「……」

答えない。が、仇とかそういう類いではある。

「教えて差し上げましょうか?誰がやったのかを」

不敵な笑みを浮かべながら男は言った。

怪しい。実はコイツじゃないかと思えてもきた。

「知ってるのか?」

「えぇ。見てましたから」

「見ていてなにもしなかったのか?」

「冗談じゃないですよ。私、研究者ですよ?戦闘なんかしたら死んでしまいます」

俺は悪くねぇ!てか?

まぁ、いい。


その後、茶化すような声色から一変し、呟いた。

「…っていうか、もうそこにいるんですけどね」

「!?」

咄嗟に後ろに飛ぶ大和。

大和が先ほどまでいた場には亀裂が入っていた。

「じゃあ、頑張ってください。私は逃げますので。あ、そこにあなたに渡されるはずだったものがありますので。ではでは」

そう言い残すと男は去っていった。

クソったれが。

「よそ見をしている余裕があるの?」

声がある方に目を向ける。

そこにはよくわからんことをごちゃごちゃ抜かしていた小娘がいた。

まさかこのガキが飛鳥を?

「おいこら、小娘が。お前が飛鳥を殺したのか?」

「飛鳥?あぁ、あのお兄さんのこと?殺しにかかってきたのは向こうが先よ?正当防衛ってやつじゃないの?名前を聞かれたから答えただけなのにいきなり攻撃してきて」

名前?まさか?聞いてみるか。


「同じ質問をするぜ。名前はなんだ?」

「イヴよ?なにか?」

イヴ。なるほど、そういうことか。イヴはこのガキか。

だが、もう1つアダムってのがあるはずだ。同じガキなのか、別のものなのか。

辺りを警戒する大和。

「で。なんかようか?アイス発生源のイヴさんよ」

「はぁ?なにそれ?……あぁ、あれね」

「お前とアダムってのを消せば消えるらしいんでな。悪いが殺すぜ、お前」


いいなりになるのも癪だが、それなりに使えるものならいいが…。先ほど男に言われたものを手に取る。

それは手に取ると姿を変え、7本の翼がついた宝石のような物になった。

使えねー。ともあれ武器は武器だ。多分。

「はぁ…嫌な世界…」

イヴはため息をつく。そして言った。

「おいで、アダム」

イヴの背後に歪みが出現し、そこから少年が現れた。

おそらく空間をねじ曲げたんだろう。

「呼んだかい、イヴ」

「えぇ。呼んだわアダム。またあの人たちよ」

アダムと呼ばれた少年は悲しそうな顔を浮かべた。

「殺すの?イヴ?」

「最後まで来るなら、殺っちゃって」

「…うん」

アダムとイヴ。ガキ2人だったとはな。

ともあれこいつらを殺す。命令とかそんなもんは関係ねぇ。ただ、こいつらが発生させたアイスを葬りたい。消し去りたい。そのためにこいつらを殺す。失ったものは帰ってはこないが、それでも。こいつらを殺したい!

「ごめんね」

謝りながら殴りかかってくるアダム。

大和はそれをかわし、武器(?)を構えた。

瞬間、パリーンっと宝石が砕けた。

「………あぁ、把握。こういうことか」

大和は手をアダムの方へ振りかざすと竜の形をした波動が出てきた。

大和が放ったと言うべきか。波動はアダムへ直進。

アダムはそれを避ける。竜の波動は地面に大穴を開けた。

「…こいつはいいもんだ!オラオラオラッ!!」

竜の波動を放ちまくる大和。

逃げ回るアダムも避けるのに必死そうだ。

「イヴ、ちょっとヤバい」

「そのようね。仕方ないわ。彼のためにもね」

「ごめんね、イヴ…」

イヴはアダムの方に何かを放り投げアダムはそれに触れた。

その後、アダムは大和の背後に立っていた。

「なっ!?」

「ごめんね」

気づかぬ間に空に打ち上げられていた。

なにが起きたのか全く理解できない。

アダムは子どもがよくやる指を鉄砲のようにして(じゃんけんの昔チョキ)大和に向けた。

バーン。

とモーションを取るアダム。

「ぐぁっ!」

大和は撃たれた。実弾で撃たれたかのように。

そのまま地面へ落下。

撃ち落とされた。文字通りに。

大和はそのまま気を失ってしまった。







―――――

――――

―――

――


気づいたら病院だったな。


あれからいろいろ調べたが、わかったことはほとんどない。

なんだかんだでアイスを殲滅する組織のトップになってしまった謎。

「これもお前のせいだ、飛鳥」

ぼやく大和。

「……墓参り、そろそろ行くか」

大和は部屋を後にした。




―――――

――――

―――

――



「よし、これでどうだ。左腕を動かしてみろ」

「こうでござるか?」

少々ぎこちないが動く左腕。

「一応繋がったようだな。あとは慣れだ。俺にはこれくらいのことしかできん」

「いや、使えなかったものが使えるだけで充分でござるよ」


新しく左腕を手に入れた武蔵。

知り合い(多分ここでしか登場しない希少キャラ、名無しの権兵衛である)に協力を頼んだところうまくいった。

「助かったでござるよ」

「なぁに大したことはない。またなにかあったらこいよ」

「そうさせてもらうでござるよ。また会おうでござる」


知り合いのところを後にする武蔵。その後ろにはひょこひょこと狐がついていく。

森に住んでいた狐だ。なつかれたようです。



「………」

左腕、義手を動かす武蔵。

やはり普通の左腕とは全然違うが仕方ない。


「今までのようにはいかないだろう、少しずつなれていくしかあるまい」

「そうでござるな」

………………?。

はて?

声は後方から聞こえた。

声の主を探そうにも後ろにいるのは森の狐だ。

「どうした?」

「キャァァァァシャベッタァァァァアァ!!のでござるゥゥゥ!!」

声の主は狐だった。驚愕の事実にキャラ崩壊したのでした。


「そういえば話していなかったな、私は主にお仕えしていた小次郎と申す」

その狐は言った。

「主?」

「そなたの師匠、八雲だ」

突然、師の名を出され驚く武蔵。

「師匠を、八雲剣を知っていると?」

「だから八雲殿は私の主だと言っておろう」

脚で襟辺りをかく小次郎。犬みたいだ。狐だけど。

「しかし、なぜ拙者に同行しているのでござるか?言い方はあれでござるが師匠亡き今、小次郎殿は自由ではないかと」

「下らぬことを聞くな、主亡き今次の主はそなただ。忠誠心だ。それが武士道たるものだろう」

それは武士道より騎士道のような気がする…とは言わなかった。

なぜなら自分もよくわからないから。

「話は変わるが、武蔵。そなたは秘伝書を読み解けたのか?」

武蔵は首を横にふる。

あの日父から渡されたもの。

1つは槍であり、もう1つは師匠の残した秘伝書と呼ばれた書物。

槍は扱えなくとも護身用にはそれなりに役に立った。

だが、秘伝書には1文しか書かれていなかった。

「1文しか書かれてなく、その文も拙者にはよくわからないでござるよ」

「ふむふむ。なんと書かれておったのだ?」

武蔵は秘伝書のページをめくる。目次。白紙白紙白紙白紙白紙白紙。

ペラッ。

『八雲の刀は統一なり』

「八雲の刀は統一なり。八雲の刀は流派八雲のことを指しているとは思うのだが、統一の意味が理解しがたいでござる」

武蔵は秘伝書を閉じる。

「ふむ…。統一。天下統一なのだろうか?」

小次郎は真面目に言っているつもりのようだが今は戦国時代ではない。天下統一しても得はない。

「難しいのでござる」

「そのようだな」

…。

……。

「そういえば、武蔵。お前は槍以外に大剣を持っていたな」

「あぁ、これでござるな」

言って着物に巻きつけてある鎖を見せた。

普段は鎖、戦闘時は大剣になる。晃も非戦闘時は指輪にできるようだ。輝は鞄だろう。どう見ても鞄から長い日本刀が出てくるとは思えない。

というより非戦闘形態は自分の意思で変えられるようだ。

ちなみに拙者は変えたことはない。

めんどくさいし((


「ふむ、なかなか見事な剣だな。よく斬れそうだ」

刀身を見ながら小次郎は言う。

「よく斬れるだけではダメでござるよ。斬りたいものだけを斬る、それが名刀であり。斬りたくないものまで斬ってしまうのが妖刀でござる」

補足を入れる武蔵。

しかしこの言い方だとこの大剣が妖刀の様に聞こえてしまうと言ったあとに気づく。

「まぁ、この大剣が妖刀ではないことはわかっている。だがな武蔵よ。武となるか妖となるか、つまりは名刀となるか妖刀となるかだな。それは使い手の扱い方によっても変わる、使い方を誤れば剣の邪の力が強くなる。これだけは覚えておけ」

『武となるか妖となるかは己次第』

師匠の言葉でもある。

無論忘れた訳ではない。

「わかっているでござるよ。拙者は斬りたいものだけを斬る。護りたいものを護るために斬る。それだけでござる」

武蔵の剣に込められた決意。

武蔵の熱意が伝わったのか、小次郎はフッと笑った。

「よし、武蔵。いいことを教えてやろう。新しい武器だ。」

言って小次郎は巻物を置いた。

「これは?」

「この巻物を刀身に巻き付けてからその槍と大剣を折るくらいに思いっきりぶつけてみろ」

半信半疑ながら言う通りに刀身に巻物を巻き付ける。

「しかし思いきりとなると両手で行わなければ…」

「安心しろ、私が大剣を振るうからそなたは槍を振るえ」

小次郎が大剣をくわえた。

狐が剣をくわえて振る。

なんだろう、どこかのゲームのような光景。

「ではいくぞ」

「承知」

武蔵と小次郎は互いに距離を保った。

「八雲流…」

武蔵は構える。しかし、構え方は大剣。

「…天竜斬…」

小次郎もまた構える。口でくわえて。


「「翔っ!!」」

前方へ駆け、同時に切り上げる武蔵と小次郎。

ガキィィィィン!と金属音。

その後眩い光がほとばしる。


輝きが消えていく。

小次郎の口元には大剣は消えていた。

きれいさっぱり消えていた。

「えっと…?拙者の大剣は…?」

「合成させた」

小次郎は答える。

「は?」

全く理解出来ない武蔵。合成?

「まぁ、分からないのも無理はない。特別な、特殊なものだからな」

小次郎は説明をする。

「先ほどの巻物は合成の巻物。巻物を巻いたものをベースとし、触れたものを合成させる。ただし、合成素材も限られる。使用者の繋がりだ。」

「繋がり?」

「簡単に言うと愛着のようなものだ」

「なるほど、わかりやすいでござるな」

「しかし、先ほどの巻物は個体数が少ない。製造中止になったのでな。」

なぜそんな便利なものが製造中止になるのか。武蔵は問う。

「考えてみろ武蔵。1つの武器をベースに合成を繰り返し続けてみろ。とんでもないことになるぞ。」

確かに物凄い武器が出来る。

しかし、武器が強くなるのなら不便ではないのではないのか?

力が手に入るのは良いのではないか?

武蔵は思う。

「お前の考えはわかるぞ、武蔵。だが、強大な力は身を滅ぼす。そして周りのものにもな。無限に強化されるのだ」

「しかし、繋がりが必要なのでは?」

「確かにな。だが、彼は違った。彼は合成条件を無条件にさせる禁呪を見つけてしまったのだ。」

「?」

小次郎は武蔵にわかりやすく解説する方法を考える。

「……相手の武器をも合成させる。と、言うのが一番手っ取り早いか」

片っ端から武器を合成させる。

つばぜり合いなどを行った瞬間その武器は相手武器を合成、吸収する。

無限に強化される最強の武器だ。

そんなものがあれば世界を破壊出来るのではないか。

「その禁呪は今やないがな。」

「ならよかったでござる」

説明終了。

「…で、この槍は拙者の大剣を吸収したということでござるな。」

「そういうことだ」

ゲシィッ!武蔵は小次郎を蹴った。

「まて、なにをする武蔵!」

「だったら!なぜ!大剣をっ!ベースにっ!しなかったのでござるかぁぁ!!」

げしげしげしげしげし。蹴りまくる武蔵。

「今の貴様には大剣は振るえないだろう」

「よけいな、お世話でござるぅぅ!」

げしげしげしげしげし。

キャラが変わってしまう。


「あの…」

「む!?おお救いの手が?イダッ!舌を噛んだ…」

「救いの手があるわけ…な…い…?」

振り向くとローブに杖、とんがり帽子…。

魔法使いのコスプレをしている謎の人物がいた。

コミュ障なんだろう。さっきからボソボソっとしか言わず、聞き取りにくい。

「すまぬが、もう少し大きな声で話せぬのか?」

「は、はい…すみません…」

ダメだこりゃ。

小次郎も悟った様で声のボリュームについては言わないことにしたらしい。

「えーと、それで何ようでござるか?」

改めて話を聞く武蔵と小次郎。

「え…えっとー…この近くにお墓ってありませんか…?」

ただの迷子のようでした。

もっとも、この魔法使いコスプレは子供ではありません。

どー見ても大人です。

ヘタレ属性が高い。顔はよく見えない。

コスプレコスプレと言ってはいるが武蔵も着物を着ているので似たようなものでもある。

それは置いといて。

「お墓ならここをもう少し行ったとこの裏通りの坂道を下っていくとあるでござるよ。それっぽい雰囲気があるため、すぐに分かるはずでござるよ」

「あ、ありがとうございます…では…」

なぜか5回くらい頭を下げられ魔法使いみたいな人は裏通りの方へ向かって行った。

「知り合いの命日って感じだな」

「みたいでござるな」



「それで、これからとうするんだ武蔵?」

「とりあえずは、この槍に慣れていくしかないでござるよ」

武蔵はため息をつきながら槍を見つめる。

(1からやり直しでござるな…)

そんな武蔵を小次郎は見上げる。

そして、フッと笑みを浮かべた。






ーーーーー

ーーーー

ーーー

ーー


「坂道を長いよー…はぁ…やっと着いた……」

お墓っぽい雰囲気だ。間違いない、ここのはずだ。

キョロキョロと辺りを見回すが誰もいない。

「まぁ…いないよね…」

しばらく歩いて目的のお墓の前だ足を止める。

花を供え、線香に火をつける。

「あれから…もう20年だねぇ…飛鳥…」

涙を浮かべながら墓に語りかける。

その声に答えるものはいない。

今年もそうだろう。

そう思った。

その時、後ろから足音が聞こえた。

「…お前は…まさか…」

足跡の主は大和だった。よく知る人。

ゆっくりと振り向き、とんがり帽子を外す。

長い髪が垂れ落ち、優しそうな目で大和を見つめる。

「久しぶりだねぇ…大和…」

その目は怒りと悲しみの色を浮かべていたことに大和は気づいた。



本当にお久しぶりです。

あと、あけましておめでとうございます。


最後いつ更新したのかすらも忘れていました(´・ω・`)

待っていた方がいらっしゃいましたら誠に申し訳ありません。


不定期マイペース更新すぎますが、これからも私の情けない小説を読んでいただけると嬉しいです。感謝の極みです。


それでは次回更新まで。


皆様、よいお年をお迎えください。




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