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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

春、思い出

作者: かの
掲載日:2026/03/28

プロローグ


あなたが物語の登場人物を認識することはあっても、彼らは私たちを認識することはありません。そんな当たり前を受け入れる準備は出来てますか?私たちには感情があります。しかし彼らには私が決めた「感情」という文章しかありません。しかし、悲観することはありません。これはあくまで私が作った創作物であり、あなた方が心を傷つける必要も悲しむ必要もありません。それでは楽しんでくださいね。



1章 白昼夢


ある冬の日のことです。高校2年生の男の子がいました。名前は仮にKとしておきましょう。あなたは彼の名前を知る必要はありませんから。さて、本題に戻りまして、彼の身に災難が降りかかります。いつも通り学校の最寄り駅に向かう満員電車乗っていたそうです。しかし、どうやら人身事故のようです。電車が止まってしまいました。このままでは遅刻してしまうでしょう。そんな彼の話は置いておき、事故の被害者、名をAとしましょう。彼に起きた悲劇をお話しますね。満員電車といったら急行、あるいは特急等の速い電車のイメージがあるでしょう。例に漏れずこの電車も特急でした。必然として通過駅がありますね。そんな駅のホームで普通電車を待っていたAさん。とんっと後ろから名も顔も知らない人に押された感覚がありました。しかし、そんな感覚なんて気にする暇もなく目の前には絶望が広がっていました。そう、満員電車です。さて、第1章におけるいちばんの被害者は誰でしょうか。遅刻しそうになったKさん含めた大多数?あるいは遅刻の原因であるAさん?はたまたそのAさんが原因になってしまうことをした名も顔も知らぬだれか?あなたはどう考えますか?



2章 泡沫


さて、2章における最初の登場人物はAにおける名も顔も知らないだれか、Sさんです。今度は彼女に起きた災難を見ていきましょう。彼女は先天性の盲目を患っていました。彼女は通院している病院へ向かう最中でした。普段は誰か付き添いの人がいます。けれど今日はどうしても都合がつかず初めてひとりで出かけたわけです。誰の手に引かれることもなく白杖1本で暗闇を辿るのはそれはそれは不安だったことでしょう。駅までの道筋でも複数人とぶつかっていました。広い道だったからどうにかなっていましたがたまたま駅のホームでぶつかってしまいました。そう、Aさんです。そんな可哀想なSさんの次は彼女の付き添いになるはずだったUさんです。彼女はSさんの母親です。彼女を健康に産めなかったことを非常に後悔しています。罪滅ぼしとして彼女を大切に育てよう、そう決めていました。動機がどうかと思いますがね。そんなことはさておき、都合がつかないとありましたが何をしていたのでしょうか。そもそも病院があることは知っていたはずです。なぜなら彼女自身が予約したのですから。彼女にも災難が起こっていたのでしょうか?いいえ、彼女の災難は目が見えないSさんが産まれたことです。結局何をしていたか、それはたまには息抜きしたいとパチ屋に足を運んでいました。休みたいと思うのは本能で否定できるものでもないですし、それこそ疲労の原因であるSさんと少しでも離れられる、また独り立ちへの挑戦をさせてあげる、十分合理的でしょう。それが原因になるなんて考えていなかったようですがね。さて、それでは今回も問います。2章におけるいちばんの被害者は誰かと。目が見えず産まれてきた挙句人を殺めてしまったSさん?目が見えないSさんを産んでしまった挙句自身の欲を優先させた結果娘が人殺しになってしまったUさん?はたまた真面目に働いているだけのSさんの父親でありUさんの夫?あなたはどう考えますか?



3章 微睡


3章の始まりを華々しく彩るのはTさんです。彼はSさんの父親でありUさんの夫です。さぁ今度は彼に起こった悲劇を見てみましょう。彼の職業は少し特殊です。フリーランスの作曲家をしていました。彼は事故が起きた日は提供したバンドとの打ち合わせがありSさんについて行くことができませんでした。なのでついていけないとUさんに知らせていたはずです。なのでてっきりUさんが同行していると思っていました。しかしUさんはついて行ってない。可哀想ですね。彼女が同行しなかったばっかりに人殺しの親というレッテルを貼られ、仕事を貰うことはできなくなるでしょう。どうでしょう。彼の災難はこれから起こることなので今まで語った方々とは少し違うかもしれませんね。もとより安定職ではなかったのですから。自分のことで手がいっぱいでしょう。きっと事実を知ったら離婚も考えると思います。しかし、彼は今現在何も知らずに熱心に自身の曲を語っています。まるで愚か者です。さて、続いてはそんな熱意を向けているバンドのボーカル、Yさんの災難を語りましょうか。彼もTさんと同じような形で災難を迎えることになるでしょう。人殺しの親が提供した歌をまるで理解して自分たちのものにしたような、熱い気持ちで歌っている彼が責められることになりますね。いい風評被害ですね。メジャーデビュー1周年を目前にして信頼が失墜してゆくことでしょう。世の風当たりというのは想像より強いもので実際に自身に悪意がなく、押し付けられた責任だったとしても自分の手で管理することを決めた以上なんの代償もなく手放すのはさぞ難しいことでしょう。尊厳も自身の想いも何もかも捨てて必死に食らいつくのか潔く全て捨てて諦めるのか、そのところは彼次第ですね。さて、それでは今回も問いましょう。3章におけるいちばんの被害者はだれか。安定しない界隈でひたすらに食いついて生きてきたTさん?それとも影響を受けたYさん含めたバンドメンバーの方々?あるいは彼らのバンドが好きだったのに裏切られたファンの誰か?あなたはどう考えますか?



4章 暁


さて、ここまでのお話で私はさんざんいちばんの被害者は誰だ、と問いかけてきました。さて、どう考えますか?ここで1つ、いいことを教えてあげましょう。彼らには共通点があります。もったいぶってもしょうがないですね。答えは被害者であるということです。いいですか?あなた方がこの物語の問いにどのように向き合ってきたかは分かりませんが全くもって無駄、あるいは道徳心のない行動でしたね。しかし中にはみんな被害者で優劣をつけることができない、と結論づけた方もいるでしょう。素晴らしい。しかしそれもまた間違いなのですよ。



5章 微光


さて、何が間違いなのか。そこを説明しなければなりませんね。今のままではただあなた方の思考回路を否定してるだけにすぎません。まず第一に、私はこの物語を読んであなた方が傷つく必要はないと言いましたよね。しかし、私は卑怯なことをしました。傷つく必要はない。言い換えれば感情移入しなくてもいいと言ったのですがその上であなた方に問いを投げかけた。考えるということを必然とするように。自分でも残酷だと思いますよ。しかし、私は宣言したつもりなんですけどね。この物語の言葉を物語として読むな、と。プロローグの言葉を素直に受けとってしまう人は中々いないのではないかと思うのですが。言ってしまえばこの物語は私のお人形遊びです。あなた達は他人のお人形遊びにそこまで感情移入できますか?顔も知らない、私という要素を構成している文のみで私をわかった気になって感情移入できますか?できる方、嬉しいですよ私は。感受性が豊かなのでしょう。しかし思うんですよね。お門違いだと。この言葉たちに大した意味も持たせてない。もし私がそう言ったらどうします?結局はなにもかも分かったつもりになっているだけでは無いのか、そう思うのですよ。



6章 現実


さて、ここまでコケにしておいて何を書きたいんだと思うことでしょう。先程自分でこの言葉に意味がないと吐き捨てた物を未だに紡いでいる私に怒りを覚える方もいることでしょうね。そんなことは私には関係ないんですが。そうですね、まずはあなた達に賞賛を。いろいろ言ってきましたが私はあなた達はしっかり“人間”であると思いますよ。どういうわけか人というのは感情を持ってしまっている。それを存分に発揮していただいたのではないかと思います。物語中の登場人物のように。まぁセリフも心象描写もなにもないんですがね。あ、そうそう、彼らにもう1つ共通点があるんでした。加害者は筆者、つまり私ということですね。今頃こんな告白をしてなんだ、と思うかもしれません。ここまで読んでくれてる方はすでに勘づいていたでしょう。彼らがあのような目に遭うのは私のせいでしかありません。きっと被害はまだまだドミノのように続いてるんでしょうね。というより私がいくらでも被害を作り出せると言った方が正しいですが。結局彼らは私の人形でしかない。結論ですね。あぁそうそう、最後にひとつ、この物語のタイトル「春、思い出」の意味が分からない方もいるでしょう。というか大多数でしょうね。説明してあげましょう。この物語を紡いでいるのは3月中旬〜後半です。そう、つまりタイトルの意味は2026年の春における私の思い出です。この物語はタイトルすら私の自語りでしか無かったんですよ。章のタイトルもそれっぽいこと書いてますが結局はあなた達が人形たちという夢へ感情移入しているところを想像してつけただけの嘲笑の言葉でしかありません。その点で言うと6章は優しいですね。「現実」ですって。これでも愛に満ちた人間なんですけどね。私って。まぁそんなところで私の言いたいことは終わりです。怒り、呆れ、様々な感情があるとは思いますが、それすらも私の手のひらの上だったりして。



エピローグ


一応彼らのことについてちょっとだけ書いておきましょう。電車に轢かれたAくん以外は割と立て直し素敵な人生を送っているようですよ。そう考えればいちばんの被害者はAくんかもですね。



あとがき


まずはごめんなさい。本当に。多分傷ついて方もいると思います。でも、人間ってどこまで汚く絶望させられるんだろうって考えた時の結論が私はこれでした。書いてる途中は割と楽しかったです。普段は言わないですけど若干本心が混ざってたりします。でも、そこまで非情な人間では無いと自負してます。あ、あとこの物語における筆者と私は別として考えてください。保身でしかありませんが。前回の小説と毛色が変わりすぎてびっくりした方も多いと思います。それこそセリフない物語ですからね。というか筆者さんの独り言でしかないみたいな。異常な物語だったと思います。そんな作品をここまで読んでいただきありがとうございました!小説はぼちぼち書いていくのでよろしくお願いしますね。

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