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転校生

「じゃあ。僕もう学校行くから」


「うん。じゃあ夕方ね」


沙霧からの見送りを受けて、僕はまた新たな1週間を開始するとふとある疑問が湧き上がる。


あの沙霧はデートと称する外出から1週間ほどが経っていた。


(そういえば、沙霧って学校とか行かないのかな。そもそも学校には行ってたのかすらわからないし。)


沙霧が居候を始めて今日でちょうど2週間が経とうとしており、時間の経過の早さを感じ、その時間の中で大体の彼女のことは理解することができたが、未だ残っている大きな謎の一つがある。


それは沙霧の学校事情のことだった。


沙霧は学校に限らず居候する前のことはあまり話したがらない様子でそれが謎を深めているのだが、僕もそこは深く沙霧を追及するつもりもなかった。



沙霧は決して勉強ができないわけではなく、一度リビングで勉強していた僕の古典の単語帳や日本史の教科書を手に取り、興味深そうにページをめくっていたことがあり、学校に行っていなかったわけではなさそうな素振りは見せていた。


そもそも沙霧については出身すらもよくわからないから居候前の情報は一つもわからないというような状況と言った方がいいかもしれない。


(まあ、仮に学校に通うんなら僕のいる高校の方が......いやいや!何期待してるんだ僕は!まるで沙霧と一緒に通いたいみたいな......)


最近僕の考えることに常に沙霧のことがよぎってしまうことに少々の悩みを抱えながら、学校に到着し、下駄箱で靴を履き替え、教室へと向かい、扉を開けるとすでに着いて席に座っている彰人と挨拶を交わす。


「お!太一。おはよう」


「おはよう。彰人、今日はいつもより登校早いじゃん。何かあったの?」


「んいや、別に。なんとなく早く登校したい気分だったから。それになんか今日は一大イベントが起こりそうな感が俺の中であるんだよ」


(一大イベントが起こりそうな予感って.......そんなよくわからない理由で早く登校したのか。)


謎の理屈で登校の理由を語る彰人だったが、少しその一大イベントという言葉が僕の中で引っかかる。


「一大イベント?今日は別に普通に授業があるだけで特段何か催しがあるわけでもないし.......。他におっきいイベントで思いつくこともないし」


「そのイベントってのは完全に俺の勘だよ。だけど、何か今日は起きそうな気がするんだよな〜。なんかそんな予感が朝からするんだよ」


(んー......一体なんなんだろう。それ。)


彰人が全く根拠薄弱な理由で喋るのも珍しいからか余計にその一大イベントとやらが気になってしまい、それに釣られたように僕も何か大きな出来事が巻き起こりそうな予感に襲われた感が今になって押し寄せている。


(多分。気のせい........。うん。彰人が言ったことに影響されてるだけ......だよね。)


僕はそう思い、朝のホームルームの時間まで彰人との談笑を行い、学校においてのいつも通りの日常を始める。


まさかこの予感が本当に当たっていることなど全く知らずに.........







「あ。予鈴だ。じゃあまたあとで」


「おう」


予鈴がなり、僕は彰人との会話を打ち切り、少し離れた自身の席へと腰を下ろす。


すると、予鈴が鳴り終わるほどのタイミングで担任がガラガラっと教室の扉を開け、全員が席についたことを確認してから話を始める。


「よし。皆座ったな。えー、今日は皆に大事なお知らせがあります」


担任がそう切り出すと途端に色んな方向でザワザワと一体その大事なお知らせとはなんなのかを小声で話を始める。


「今日からこのクラスに......新しい転校生が来ることになりました!」


転校生だって!!男子?女子?可愛い子がいいなー。もしかしてイケメンな人だったりしてー!!など様々な声が飛び交い、転校生という言葉に対し、クラス中が舞い上がっていることが如実に現れている。


(まさか、彰人の言ってた予感ってこのことだったんじゃ......。)


僕がそう思い耽っている中、担任はその転校生を教室の中へと呼び、転校生もそれに従い、スッと教室の中へと入ってくる。


(!?!?!?!?)


一体どういうことなんだ!?!?と僕の心は内側で驚天動地を迎えている。


そのわけはその転校生が僕が知っている.......いや、知りすぎている人物。


小鳥遊沙霧その人であったからだった。






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