表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/136

5-6

翌日、朝早く宿を出た一行は北に向かって進んでいた。


メルグウェンは腹を立てていた。


昨夜の騎士達の会話といい、夜中の出来事といい、やはり男達に気を許してはならないと思った。


昨夜、食事も終わり寝室に引き上げた時、メルグウェンの案内されたベッドが窓脇だったので、ガブリエルは自分のベッドと取り替えることを提案したのだった。


その時はメルグウェンも窓から遠い方が寒くないと思い、喜んで取り替えたのだが、皆が寝静まった夜中にそれは起こった。


メルグウェンは急に寒気がして目を覚ました。


布団を探して手を伸ばすと冷たい肌に触れた。


誰かが自分を襲いに来たと思い込んだメルグウェンは叫び声を上げベッドから転げ落ちた。


その音で目を覚ました騎士達が燭台に火を灯し慌てて駆け寄ってきた。


そしてガブリエルが剣を抜いて掛け布団を捲り上げると、その中で宿屋の娘ソレナが裸で震えていたのだった。


騎士達が笑いながら自分達のベッドに戻った後、メルグウェンは寒さに震えながらベッド脇に立って、泣いている女を慰めているガブリエルを見ていた。


女がガブリエルが寝ていると思ってそのベッドに忍び込んできたのは分かった。


運悪くそこにはメルグウェンが寝ていたのだけど。


だけど何故私のベッドでぐずぐずしているの?


そのうち接吻の音や女の吐息まで聞こえてきて、メルグウェンは顔を引き攣らせた。


ソレナの上に覆いかぶさっていたガブリエルは身を起こすと、振り返ってメルグウェンを見た。


「ガキはさっさと寝に行け」


そう言ってベッドのカーテンを閉めた。


メルグウェンは怒りに震えながらベッドに歩み寄り両手でカーテンを勢い良く開いた。


「私のベッドからとっとと出て行ってよ!!!」


「向こうのベッドで寝れば良いだろう?」


「あっちは貴方のベッドでしょ?私は貴方のベッドなんか使いたくないわ」


「じゃあ、そこで終わるまで待ってろ」


ガブリエルはそう言って肌着を脱いだ。


メルグウェンは頭に血が上り、怒りのあまり卒倒するかと思った。


力尽くで追い出してやろうとベッドに近づいた時、女がベッドから降りて部屋を横切り出て行った。


どうやらガブリエルは自分の肌着を女に貸してやった様だった。


「ほら、ベッド返してやるからさっさと寝ろ。風邪ひくぞ」


ガブリエルが燭台を吹き消しながら言った。


メルグウェンは無言でベッドに潜り込んだ。


裸の女がいたベッドは嫌だったが、この部屋は寒すぎた。




そういう訳で朝からメルグウェンは誰とも口を利かずにいた。


話しかけると軽蔑しきった目で見られるので、騎士達もチラチラ様子を窺うように見るだけで話しかけては来ない。


昼食の時も皆が気まずく黙っているのを見かねたガブリエルがメルグウェンに言った。


「拗ねて脹れるのもいい加減にしろよ。皆が気にしているだろうが」


「……」


「大体おまえは何をそんなに怒っているんだ?」


「……」


「おれがあの娘を誘ったんじゃないぞ。だけど勇気出して訪ねて来てくれた相手を邪険にはできないだろ?煩いガキの所為で何も出来なかったけどな」


「……」


「それとも、昨日のあれか?俺達の好みがおまえみたいんじゃないから拗ねてるのか?だけど考えてみろよ。その方が襲われる可能性が少なくていいだろうが」


「……」


「おまえもちゃんと食って寝たらそのうち成長するだろ。10年ぐらいかかるかも知れんけどな」


唇を噛み締めて我慢をしていたメルグウェンだったが、ガブリエルの最後の言葉を聞くと、つかつかとルモンに歩み寄った。


「貴方の剣を貸して頂戴」


ルモンが躊躇するとガブリエルが言った。


「貸してやれ」


メルグウェンは差し出された剣を受け取りガブリエルに言った。


「勝負しましょう。もし貴方が勝ったら話を聞くわ」


そして剣を抜き払った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ