七話 サイズに仕事内容を教えました
七話 サイズに仕事内容を教えました
「私達は困っている。部屋で寝ているとブーンブーンって飛んでくる。やつ等を駆逐し、この部屋に平和をもたらして欲しい」
サイズもスミス姉妹の蚊の鳴き真似で起こされているだけあって、脅威には感じてくれたようだ。
「姉御、言い回しが変」
「何かに影響された?」
エスパーダは答えない。無視しているようだ。
「蚊は確かにイヤだな。刺されて痒くてたまらなくなる。ガントレット付けているから簡単にかけないし」
「俺も土を集めてる時に襲われる。だが、この家にはそんなに蚊はいないと思うんだが……」
「子供にハードな任務課してどうすんのよ」
「でも弾丸ないよ。そのために働くんでしょ? どうやって蚊を倒す?」
「まさか姉御……」
「毒ガスを使う気じゃ……」
彼女達の言う毒ガスとは殺虫剤のことだろう。蚊取り線香だとサイズ雇う意味がないし。
「ガスマスク一人分しかない。そして私はそれを貸したりはしない」
そういえば殺虫剤防衛のためにエスパーダに買ってあげた事がある。最近着けているのを見ていない。なのに大事にしてくれているみたいだ。飾っているのだろうか。
「ケチ」
「武器は水鉄砲だよ。夏場の水遊び用に買ったやつがある」
「それって俺がこの前持ってきたやつか」
アックスが問う。返事がないのに文句がないから頷いたかもしれない。
「ほーら、サイズに二丁貸してあげよう」
「水鉄砲……」
ショックを受けているようだ。銃を手に入れても、水鉄砲しか使えない現実が厳しく思えるのだろう。
それより要としては家電製品を水で濡らされるのではと心配になる。
「ほーれ、人間様のご飯だぞ」
いつの間にか能があっち側に加わっていた。ご飯とおかずを持って行って。全く油断も隙もない。
「働くの?」
「え? 何で知ってるの?」
「お兄ちゃんが色々やってんの。私の悪口も聞こえてたよ」
「悪口って……ホントの事だろ」
「その事についてはゆっくり話し合おう。うん」
むしゃむしゃと食べる音が聞こえる。このままでは能に食べ尽くされてしまう。要と就のご飯と箸を持って行き、参戦した。小人の食事は後回しだ。