四話 続々と集結しました
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お茶を飲んで苦味走った顔した後、ライトハンドとレフトハンドは刺身に食らいついた。
「うまいうまい」
「早く出てきた甲斐があるってもんさ」
要はウェットティッシュを用意して、いつでも拭けるように身構えた。
「要、二人に甘くない?」
「エスパーダのためだよ。エスパーダってサイズ以外、同性の友達ってライトハンドとレフトハンドだけだろ?」
「私だって友達くらい……」
その反論は弱々しいものだった。
「確かに」
「姉御、自分から交友関係広げる気ないもんね。営業のくせに」
食べる手を止めての発言に、エスパーダはダメージを受けている。確かにエスパーダが営業で成功したと言う話はあまり聞かない。要や能に売り付けて、利益を増やしたと喜んでいるくらいだ。
「エスパーダ、ちゃんと仕事してる?」
「してるよ。ただ最近は小人族の新規がないだけだよ。でも、うちは人間のお客がいるから、売り上げは支店の中では上位に入っている」
要は自分や能が太客扱いされている事に驚き、小人の会社は大丈夫かと不安になる。
「姉御は要さんに足向けて寝れないね」
「僕等も要さんに胃袋つかまれちゃった」
二人は刺身の脂まみれになった顔で言った。
「黒星師匠のほうが料理うまいよ」
「あいつは中国料理しか作らない」
「刺身は出してくれない」
そんなに刺身が好きか。
「悪かったな。中国料理だけで」
黒星の声がした。すでに部屋の中に入り込んでいた。許可は出していないのだが。というかスミス姉妹も入る許可を出していない。
「黒星、あんたも来たの?」
「なんで?」
「あいつが銃を受け取るとなると心配でな」
黒星はサイズを気にかけているようだ。
「もっと遅くても良いのに」
「そうたそうだ」
「うるせえ。先に銃を触っておきたかっただけだ。お前等が手を抜いていないか確かめるためにな」
「僕等手は抜かないよ」
「信用ないね」
ウェットティッシュで顔を拭いて言う。
黒星はテーブルに上がってくる。
「で、銃はどこだ? もうサイズに渡したのか?」
「重い物はアックスに持たせてる」
「アックスは荷物持ちだから」
「あいつかぁ」
アックスの名を聞いて、黒星はため息をついた。
「大丈夫かな」
「仕事はやるやつだよ」
「うん、多分」
するとベランダにハトがやってくる音がして、サッシが叩かれる。要が開けるとアタッシュケースを持ったアックスが立っていた。後ろにハトのハイマースがいる。
「アックス、ご苦労ご苦労」
「僕等じゃ重くてね」
「サイズはまだ来てないのか?」
「うん」
「サイズは人間に守られているから手は出せないよ」
「そういう意味じゃない。素直に喜んでもらいたいんだよ」
テーブルに上がってきて、アタッシュケースを開ける。リボルバー式の銃が二丁収まっていだすぐに黒星が触って確認する。
「ちゃんとやってるようだな。ライトハンド、レフトハンド」
「当たり前だよ」
「僕等の本業だよ」
二人は胸を貼った。小さいが確かに銃だ。部屋に穴をあけられてるだけに試し撃ちとか言い出さないか要は不安になる。
黒星はおとなしくしまってくれた。
「みんな、朝ご飯は食べた?」
「ああ」
「飯をねだるのはそこのピクシー族だけだろう」
「マダムがいるよ。シールドのお母さん」
「あれか……。あれは特別だ。なあ」
黒星はアックスに同意を求めた。が、エスパーダが一番大きく頷いていた。




