表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小人も夏はプールで遊ぶんです  作者: 古山 経常


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/12

十話 プールで騒動が起きました

十話 プールで騒動が起きました



 水着を先に着たため、要に小人用ビニールプール(特大)をふくらましてもらうまで、エスパーダ達は待つしかなかった。


 その事でエスパーダが責められたが、誰も認識していなかった事を反論されるとみな押し黙った。みんなそれほど考えて行動していないのだ。


 ふくらませた小人用ビニールプール(特大)に水道水を流し、要はやっと落ち着く事が出来た。


「さあ、遊ぶわよ」


 エスパーダは小人用ビニールプール(特大)の前に立ち、パレオを取り外す。ビキニの腰回りに水鉄砲が挟んであり、引き抜いて要に向ける。そして引き金を引いて、ウィンクしてくる。


 要は笑顔で応対する。


「水多いじゃん」

「浮き輪ないと溺れる」


 スミス姉妹はテーブルから小人用ビニールプール(特大)を見て、頭を抱えていた。


「浮き輪あるよ。ただ、一つだけなんだよね」

「小人族のなら二人にでもいけるよ」


「じゃ、死なないでね」


 エスパーダは自室から浮き輪を持ってきて、テープの下に降りてきたスミス姉妹に渡した。やはり二人には大きくて電車ごっこが出来るくらいだ。


 サイズと協力して、スミス姉妹を小人よ。ビニールクール(特大)に入れた。


「わーい」

「わーい」


 はしゃいではいるがバランスが崩れたら溺れるので、動けないでいる。


「わーい!」


 そこにサイズが飛び込む。大きな波が立ち、スミス姉妹は大きく揺さぶられる。 


 波がおさまった後、スミス姉妹はサイズに抗議した。


「やめてよ!」

「僕等を殺す気?」


「ごめんごめん。でも二人とも私をクモに差し出そうとしたよね」


 サイズは過去を持ち出して、過失を相殺しようとしている。


「そんな昔の事」

「あれは銃を作った事でなしになっている」


「嘘、就からお金取ったんでしょ。だったらおあいこじゃん」


「チッ、騙せないか」

「良いよ、おあいこにしてやるよ」


「その代わり、今度は僕等が死なないように守ってくれ」

「これから弾丸を作って欲しいだろ?」


「うーん、分かった」


 サイズは水鉄砲に水を詰めた。水鉄砲はエスパーダと違い、胸に差し込んでいた。しかし、二丁は無理だったので、一つだけ。


「波を起こさないけど、水は当てる! くらえ」


 サイズはスミス姉妹に水鉄砲の引き金を引いた。しかし水鉄砲の水は放物線を描いて、水に飛び込んでいく。


「僕等をなめるなよ」


 そう言いながら、浮き輪につかまっているだけで何も出来ない。浮き輪が小人族用なのでうまくバランスが取れないためだ。ほぼ無抵抗のスミス姉妹サイズは攻撃する事が出来た。


「あれ? あれ?」


 しかし撃っても撃っても水は一回もかからない。せっかくのチャンスを生かしきれず、焦り始めていた。


「こら、サイズやめなさい」


 就に叱られて、サイズの攻撃が止む。ちょうど水が切れたのもあったようだ。


「おらー!」

「やってやるぞー!」


 攻撃が止んでいる間にスミス姉妹はサイズに近付き、浮き輪を蹴ってサイズに飛び付いた。


「重い……」


「僕等をナメるな」

「必殺、子泣きアタック!」


 仰々しく言うが、体重をかけて水に沈めるだけの、技と言えるものでもなかった。


 サイズは二人の重さに耐えられなくなり、小人用ビニールプール(特大)に張られた水の中に沈んだ。すぐにライトハンドとレフトハンドは離れたが、サイズはパニクって立てずにいた。そして溺れる。


 研究所生活の長いサイズが、水泳を獲得している確率は極めて低いと思われた。


「サイズ!」


 就は両手でサイズを小人用ビニールプール(特大)から救い出した。ぐったりしている。


「俺に任せろ。人工呼吸だ」


 アックスがサイズに近付いていく。助ける気もあるだろうが、別の思惑も感じる。その証拠にアックスの顔がニヤけていた。


 就は止めようとしたが、アックスは意外に俊敏だった。


 このままではサイズの唇が奪われてしまう。その時、黒い影をアックスに向かっていった。サイズに近付いていたアックスは吹っ飛ばされて、テーブルの脚に激突した。


「はぁ……、はぁ……」


 アックスがいたはずの場所には、三点着地のポーズで荒い息をしているシールドがいた。


「良かった」


 サイズを見て安心したのか、笑顔で倒れた。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ