1月16日 バーベキュー16
"1098"。これが私の時間番号だった。今日まで一生懸命勉強をしたというわけではなかったが、2日目の今日も試験会場に来ていたのだった。
ー1月2日ー
キャッチャーの雄大は、高校生のピッチャーということもあり、どこかビビっているように感じる。一方、バッターの蒼大は楽しそうな表情だ。一体、この後どうなるのだろうか?私には全く想像がつかなかった。
新田「勝負は、一打席」
春風「ああ。問題ないよ」
完全に本気モードの春風。なんだろうな、凄い覇気をまとっている。一ノ瀬の室内練習場は、とても過ごしやすい。冬だというのに、あまり寒さを感じさせない。バッターの蒼大は、上着も脱いでいたのだ。静かな空気の中での対決が始まった。ピッチャーの春風は、さっきキャッチャーの雄大を呼び寄せていた。おそらく、サインの確認だろうな。どの程度の変化球を使うのだろうか?キャッチャーのサインにうなずき、春風はセットポジションに入った。
私 「こういう時って、どっちが勝つんだろうね?」
一ノ瀬「さぁねぇ、、、、。春風の怪我がどの程度治ってるかじゃないか?」
怪我してるんだ。あの人。足をあげ、腕を大きく振り上げた。先ほどのピッチングと違って、速いボールはこなかった。まさかのスローボール?バッターの蒼大は、ボールを振らなかった。
私 「今のスローボール?」
一ノ瀬「あれは、スローカーブじゃないの?」
私 「あれ、カーブなんだ」
野球初心者にはなんのボールかはわからなかった。
一ノ瀬「これでワンストライクか」
私 「次は、何投げるの?」
一ノ瀬「どうだろうな?」
再び、キャッチャーのサインに頷き、セットポジションに入った。バッターの蒼大が立っている地面には、打席用のマットが敷かれている。おそらく、春風が作ったんだろうな。春風はグローブを握りしめ、ゆっくりと足をあげる。蒼大はも同じくタイミングをはかる。いつもより少し緊張した面持ちで、春風から放たれるボールを待っていた。静寂の中、投げられた2球目は、さっきよりボールが速い。素人の私は、それがストレートだけではないということしかわからなかった。スイングをし始めた蒼大だが、バットは出さなかった。「ストライク!!」。キャッチャーをしていた雄大がコールをしたのだった。
一ノ瀬「これでツーストライクか」
私 「ですね」
ツーストライクノーボール。これで後がなくなった。




