12月7日 バス停
後5分ほどでバスがくる。音楽を聴きながら、彼女たちのことを思い出していた。BIG3。篠木七海、高田真波、矢田颯希。ここら辺で彼女たちの名前を知らない者はいないみたいだ。俺が会っていないのは、矢田颯希のみ。彼女は、医療系の大学を目指している。高校時代は、テニス部で付き合っている彼氏もいるみたいだ。性格は、天真爛漫で前しか向かない子。彼女に勝る努力家は見たことがないというくらいだとか。
昨日、七海の話を聞いていて思った。彼女たちは、偶然出会ったのだと。2年の時に初めて同じクラスになり、そこで球技大会のメンバーで3人が揃うはめになったみたいだ。2年生が球技大会で優勝することは初めてのことみたいで、しかもあんな3人が学校にいるもんだからみんなは驚いたそうだ。中でも、決勝戦で飛び出したブザービートがみんなの心を動かしたんだとか。当然、ブザービートを決めたのは高田真波。
彼女がバスケ部だったなんて初めて知った。同じバスケ部として、彼女を知らなかったのはなんだか恥ずかしかった。アイツは、俺のことを知っているのだろうか?今度やりたいな。3on3。アイツらのことを考えていたらそんなことを思うようになっていた。俺は、久しぶりに血の気が盛んになった。俺が守っていたポジションは、スモールフォワード。俺のポジションは、インサイド、アウトサイドの両方から得点を狙う。さらに3ポイントもよくうち、得点を奪う役割を担っていた。俺は、攻守にオールラウンドな役割を任されていた。
高田がどのポジションなのかは知らないけどきっと上手いのだろう。けど、同じバスケ部なのになぜ知らないのか?やっぱりその疑問が気になる。聖徳高校と言えば一学年上の喜早柚月。喜早は、選抜の代表や県大会MVPにも選出されるほどだった。彼女のプレーは、県大会だけでなく、全国大会でも見ていた。ってことは、あの時も高田がいたっていうことか。やっぱり全然理解できない。俺は、スマホを見ながらあの日の出来事を思い出す。たしか、いつだっけな?今から約1年半前くらいだろうか?スマホの中にあった写真を見つめた。これか、、、、、、、、、。10秒ほどよく見ていると、電光掲示板には、高田の名前が。高田の名前が。喜早柚月、若林麻子、仲野可奈、高田真波、大野友芽。順番に名前が並んでいた中に高田の名前もある。やっぱりいたんだ。俺は、スマホをしまいバスに乗りこんだ。




