12月4日 気のせい
身長は160cmくらいだろうか。女性にしては、少し高い気がする。背中ぐらいまで伸びた髪の毛は、とてもツヤツヤだった。そんな女性が前から、ゆっくり歩いてくる。どこか立ち姿は見たことがある。前へ前へと来る。その一歩一歩がゆっくり見える。進んでくるの女性と反対に俺の心は来てほしくないという想いでいっばいだった。俺の視力は悪いからこの距離では見えない。もう少し近くに来れば誰なのか見えてくる。歩いてくる女性の姿を見守った。そして10mくらいになってから俺は彼女が誰なのか理解したのだった。あっ、、、、、。そういうことか。あんまり見たことがないと思ったのは気のせいだった。
篠木「久しぶだね」
俺 「あっ、やっぱりか」
目の前にいるのは、篠木七海だった。直接会うのは、2年ぶりくらいだろうか?あんなに近所なのに、こんな会わないもんだな。
篠木「誰かと思った?」
俺 「ああ。全然わからなかった」
最初は、まったくわからなかった。2年前と比べて随分大人びたように感じた。
篠木「どう?ちゃんと学校行ってるの?」
俺 「まぁ、それなりに」
決して今の人生を誇れるわけではなかった。おそらく、七海は誇れるんだろうな。俺と違って。
篠木「あんま、元気ないじゃない?」
俺 「そんな元気にしてるタイプじゃないから」
もしかしたら、昔はもっと元気なタイプだったのだろうか?自分でもよくわからなかった。俺は、目の前に現れた七海に対してビビっているのかもしれない。
篠木「そうだっけ?」
俺 「ああ」
前髪を整えながら話してくる。
篠木「せっかく会えたんだし、もっと元気にしなよ」
俺 「なんでだよ」
思わずツッコンでしまった。
篠木「今日は、時間ないけど明日なら時間あるから、よかったら話さない?」
突然の誘いで俺は、少し黙ってしまった。誘ってきた七海もどこか寂しそうだった。
俺 「いいよ」
篠木「じゃあ、明日5時に私の家の前に来て」
俺 「わかった」
そう言って、七海は、家の中に入った。何がしたいんだろうか?アイツは。珍しかった。アイツから俺を誘うなんて。
篠木「じゃあね」
俺 「ああ」
俺も家に帰ることにした。明日ってことは、12月5日かぁ。明日ってなんだっけな?まったく思い出せない。とりあえず、早く帰ることだけ覚えとくしかなかった。




