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11月26日 評価

 久しぶりに学校で山城と話した気がする。コイツは、卒業に必要な単位しか取らない変わったタイプだ。それなのにいつもクラスのみんなからは信頼されていた。そんな山城とは対照的なのが俺だった。ちゃんと学校にも行っているのに、なんかコイツとは違う。いつもそんな気持ちを抱いていた。


 山城「どうするか決めた?」

 俺 「いや、全然」  


 もし、正式に古屋の会社に入るなら給料を出したいとこの前伝えられたのだった。正直、入りたいという想いは全くなかった。それは、なぜかがよくわからなかった。自分でも上手く話せなかった。


 山城「じゃあ、今回は見送ろっかぁ」

 俺 「ああ。そうしてくれ」


 誘ってくれたのは嬉しかったけど、今の自分が会社に入っても迷惑をかけるしかなかった。


 山城「せっかく、古屋も中野も歓迎してくれてたのに」

 俺 「歓迎されるほど、何もないよ」  


 たしかに、俺以外のメンバーを見ても自分が劣っているとは全く思わない。けど、俺にはみんなと働く理由がない気がしたのだった。


 山城「いやいや、契約とれたのもあんたのおかげよ」

 俺 「そんなことないよ」


 たしかに契約はとったけど、俺のおかげではない。


 山城「いやいや、あなたのおかげだよ」

 俺 「俺のどこを評価をしてくれたのか知りたいよ」  


 ずっと気になっていた。俺は、あくまで付き添いとしてこの前ついて行っただけだ。


 山城「評価?」


 よくわからないみたいだ。


 俺 「ああ。俺は、普通の高校生と変わらないよ。それなのに、なぜ俺が必要とされているのかわからない」


 正直に自分の評価を聞いてみたい。


 山城「うーん。どうだろう?」

 俺 「俺は、自分にしかできないことしかやらないんだ」  


 断る理由はそれで十分だろう。


 山城「そんなに気になるなら、直接古屋に会いに行ったらどう?」


 少し言われて考えてしまった。けど、そんなことはしない。したら、また何か巻き込まれる気がしたのだ。


 俺 「そんなめんどくさいことしないよ」

 山城「何それ。だって、暇してるんでしょ?」

 俺 「暇じゃないから」  


 たしかにヒマはしている。けど、ここでヒマだと認めてしまうとなんか自分が自分でないような。悔しいけど、自分の能力と現状に納得していないことが今わかった。自分に足りないのはそれだろう。

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