11月25日 会場十五
俺は、数学の授業を聞きながら、これからのことを考えていた。今のままではいけないなとなんとなく抱いている。けど、何をしたらいいかはわからない。
ー11月9日ー
伊東は、どこか違うところに行き、もう近くにはいない。
中野「お疲れ様」
山城「全然だ」
ソートミル株式会社のサービスを使えることができず、とても悔しそうにしていた。
中野「悔しそうだな」
山城「当たり前でしょ」
中野「そんな一発で契約取れるほど甘くないから」
山城「うるさい」
相当悔しいらしい。そんなに、悔しいものなのだろうか?
中野「そんな怒んなって」
山城「いいし。次やるから」
客観的に見ても、あそこで契約してもらうのは、ほぼ無理だと思っていた。
中野「また、新しい人探せよ」
山城「連絡先は、もらったからまた別日で解約してもらうから」
そうなんだ。あの短期間で、連絡先も手に入れたんだ。さすがだ。
中野「強気だな、お前も」
山城「余計なお世話だよ」
顔を手で隠していた。
中野「ハハハハ。面白いな」
山城「次は、絶対契約とるから」
中野「頑張れよ」
中野は、上からだった。そんなに凄いのだろうか?アイツは。
山城「アンタも働きなさいよ」
中野「じゃあ、俺もそろそろいくか」
山城の声で何かが切り替わったみたいだ。
山城「さっさと行ってきなさい」
中野「はーい」
そう言って、中野はどこかに歩き出した。歩き出す背中は、とても大きく見えた。一方、契約してもらえなかった山城は、とても悔しそうに見えた。
俺 「お疲れ様」
山城「ああ、ありがとう」
覆い隠された顔は、もとの表情に戻っていた。
俺 「あの中野って人、そんなに凄いの?」
山城「凄いね。普段は、古谷に隠れてるけど、中野も対等くらいに凄いよ」
なぜ、そう評価されているのかがわからない。
俺 「そうなんだ」
山城「あんま、そう見えないって感じだね?」
俺 「えっ、そんなことないよ」
自分の気持ちを隠した。
山城「別にいいよ。私、言ったりしないから」
俺 「いや、思ってないよ。でも、どんな人かは気になるかな」
よくわからないけど、正直には言えなかった。
山城「そうだな。あの人は、私たちとは違うんだよね」
俺 「どういうこと?」
古谷もそうだけど、彼らは別の世界に生きているのだろうか?




