11月24日 会場十四
俺は、中野に言われたことを自分の脳内にたたきこんでいま。
ー11月9日ー
山城は、熱心に話をしていた。山城の話し相手は、ソートミル株式会社の伊東新だった。伊東は、資料に目を通していた。
中野「そこそこ有名なんだよ、あそこの社長」
俺 「ソートミル株式会社っていいの?」
中野「ああ。そこまで売り上げがあるわけじゃないけどね」
中野は、スマホに書いてある記事を出した。スマホには、30代前半のイケメンの社長が写っていた。中野の言う通りとても経営が上手な印象だった。
俺 「そうなんですか?」
中野「うん。まだ、起業してから10年も経ってないから」
俺 「ふーん」
起業して10年がどんなものなのか?それすらわかっていない。それが、俺だ。
中野「もし、よかったら聞きに行こうよ」
俺 「わかりました」
俺たちは、ブースに座った伊東と山城は深く話し合いをしているのを眺めていた。
中野「すげぇ、粘ってるな」
俺 「どういうことですか?」
山城の姿を見ながらつぶやいた。
中野「おそらく、アイツはもう、うちのサービス興味ないと思うよ」
俺 「えっ、そうなんですか?」
まぁ、言われてみたら興味がないようにも見える。でも、山城はとても頑張っていた。
中野「たぶんな」
俺 「だったら、早く止めた方がいいんじゃないの?」
素朴な疑問をぶつけた。
中野「まぁ、そうだな。でも、山城の経験値としてはいいんじゃないの」
俺 「どういうこと?」
経験値?なんだそれ?
中野「別に失敗したって俺らは失うモノは何一つないんだ。だったら、挑戦して失敗するしかないだろう?何もしないことがもっともしたらダメなことなんだよ」
そういうことか。まぁ、それ自体はわかるけど、でも、あんなに必死にならなくてもいいのに。俺は、そう思ってしまう
中野「なんか、よくわかってないみたいだな」
俺 「いやいや、そんなことないですよ」
中野「お前、本気でなんか取り組んだことある?」
俺 「いや、ないですよ」
即答だった。ていうか、即答できる自分が嫌だった。
中野「だろうな。そこが、お前と山城の差だよ」
俺 「えっ?」
少し下を向いた。
中野「偉そうなことは言えないけど。目標に向かって頑張ってるやつは目の輝きが違うんだよ」
腹が立つけど、コイツの言っていることは理解できた。




