11月22日 会場十二
2学期も残すところ1ヶ月くらいになった。学校は、それなりに面白いけど、行きたいわけじゃなかったからありがたかった。
ー11月9日ー
山城「遅かったね」
俺 「ごめんな、遅くて」
俺たちのブースには2人しか座っていなかった。
山城「いいよ。何してたの?」
俺 「道に迷ってて。それで、一旦この建物自体の入り口に行ってて」
高田と話したのは、なんとなく隠した。
山城「そうなの?」
山城から頼まれた資料を新しく印刷していく。
俺 「うん。あんまり人が入ってきてなかったら、いろんなところ歩いて、どれくらい人がいるか確認していたんだよ」
頭に浮かんだ嘘を精一杯並べてみた。
山城「そうだったんだ。大変だね」
俺 「で、何人くらい来てたの?」
俺の話に触れないように質問をし返した。
山城「まだ、3人くらいかな」
俺 「何人来るか確定してたりするの?」
素朴な疑問だった。さっき見た感じだとそんなに人はいない。それなのに、みんなは何を期待しているのだろうか?
山城「いや、全く決まってないよ」
俺 「そうなの?」
驚きだった。何がしたいのだろうか?
山城「うん。古屋はそういうのしない人だから」
俺 「どういうこと?」
山城は、パソコンを打ちこみスピードを抑えずに俺の質問を返してくる。
山城「なんか、新しいことに挑戦したいのが、古屋なんだよ」
俺 「へぇー」
古屋ってそんな人なんだ。よくそんな感じで社長できるな?逆に頭が悪いんじゃないかとすら思ってしまう。
山城「覚えとき」
山城の一言は、何を指しているのか。
俺 「じゃあ、どうなるかわかっているのはあんまりやりたくない感じなんだ」
山城「そうだね」
俺 「おもしろい社長だね」
山城「うん」
おもしろいのかアホなのかは紙一重だ。
俺 「古屋とはいつ出会ったの?」
山城「私は、高校2年生の時かな?」
意外と直近だな。
俺 「へぇー。なんで出会ったの?」
山城「私が東京行った時に、古屋と出会って話したのが一番きっかけだったかな」
俺 「そんなにたまたま出会うの?」
この話には、何か裏があるんじゃないかと思ってしまう。
山城「出会うよ。出会いってそんなもんなのよ」
俺 「ふーん。そんなもんか」
山城「うん」
山城にも、何か抱えているものがあるんだろうな。




