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ケータイのアラームが鳴っている。

身体の気だるさで止めようと思う事が出来ないでいる。

(うる)さと気だるさが拮抗(きっこう)して止めることが出来ず、アラームが鳴りやんだ。

僕は安堵(あんど)の中、身体を休めようとするが無情にもアラームは再度鳴りはじめた。

何故こうなったかと言うと僕がそう設定したからだ。

しばらくの間、気だるさとアラームの戦いを繰り広げてから僕は目覚めた。

動かしたくない身体を無理矢理に動かしてシャワーを浴びた。

長年の習慣からシャワーを浴びると外に行く気になれるが髭は剃る気になれなかった。


病院に行き、先生と話、薬を貰って帰った。

最近はこれ意外にこれと言う予定がない。

僕はこれまで身体を酷使して働いて来たが休職前に仕事の事を考えると脳内に炭酸ジュースを注ぎ込まれた様なシュワシュワ感が思考を邪魔して何も考えられなくなった。

病院で相談した所、適用障害と診断されて今は休んでいる。

正直、休んでいても治る気配は見えないが働くよりは何倍もましなので休んでいる。

給金は減ったが浪費する方では無いので何とか生活が出来ている。


家に着いてスーパーマーケットで買った惣菜を食べようと思っていたらアニメやゲームで見たような空間の歪みが見えた。

僕は驚いた。(つい)にここまでイカれたのかと思い、その歪みを熱心に確認した。

それは空間が硝子のように割れていて、中が暗くて見えないように成っていた。

僕は久しぶりに頭を回転させて考えた。

僕の病状はうつ病と適用障害だ、統合失調症では無い、だがこの歪みは消えること無く、そこにある

僕はうつ病に成って分かったことがあった、それは受け入れてしまった方が楽だと言う事だ、目の前の幻覚も認めようと僕は決めた。


とりあえず、スーパーマーケットの惣菜と大量のお米を食べてその間に消えてないか確認したが歪みは消えずにそこにあった。


食べ終わる頃には僕は歪みの中に入ろうと思っていた。昔からゲームが好きでこの手の歪みには入りたかったからだ。


そんな理由で僕は歪みに入ったがそこは僕が創造していた場所と大きく違っていた。


僕は自分の過去や悩みと相対して自分を知る様なイベントを創造して久しぶりにワクワクしていた。


歪みを通るとそこは青かったそして(いそ)の香りがした。


此処(ここ)は海で船の上だった、船は現代的な物ではなく、映画やゲームの昔のカリブ海で大暴れする海賊を追いかける海軍の船を思わせるデザインだった。


周りをキョロキョロしていると軍服を着た金本が現れた。

金本は剣を持ってこちらによく分からない言葉で大声で怒鳴り付けていた。

よく見ると金本では無く、ただ似ているだけで別人だったが僕はイラついた。

金本は僕に大量の仕事を振り分け、それを後で自分の成果に付け替えたクソ野郎だ、見ているだけで怒りが高ぶってくる。

僕は青い空にも青い海にも興味は無かったが金本は殴りたかった。なので思い切り踏み込んで金本の顔面を殴りつけた。

面白い様にぶっ飛んで行った金本(別人)を見て僕はスッキリしたと同時に右手に激痛が走った。

右手を見ると赤く大きく腫れていた。これは骨が折れているかもしれないと思ったと同時に統合失調症の幻覚は何てリアル何だと思った。昔にテレビで強い思い込みは身体に影響を与えると見たがここまでとは思わなかった。

騒ぎを聞きつけて沢山の軍人がやって来たがアドレナリンMAXの僕は折れた右手も使って殴り続けた。


そのあとの事はあまり記憶に無いが気付いたら海の中にいた。そしてまたそのあとの事はあまり記憶に無い


目覚めると沖に流されていた。

周囲を見渡すと流木や海藻、ウネウネした謎の物体が落ちていた。

どうやらまだ幻覚から目覚めないらしい


僕は恐怖を感じた。現実の僕の身体はどうなっているかが分からないからだ、眠って居るなら良いがもし、外で大暴れをしていたら会社を首になる、そうなると傷病手当ても貰えなくなり、生活が困窮するそれでは困る。

僕は悩みながら海沿いを歩いていた。

服は何故か全裸に成っていた。


しばらく歩くと海からペンギンが現れ、謎のウネウネに近づいた。するとペンギンの口が縦に割れてびっしりと並んだ歯を見せながらウネウネを食べだした。

気持ち悪いと思いながら距離を取ると次々に偽物ペンギンが現れ、ウネウネに噛りついた。

少数の群れが僕を追いかけて来たので走って逃げようとしたがここで身体の異変に気づいた。


足の力が強すぎて地面を削ってしまい上手く走れず転倒してしまう、その後焦って立とうとすると同じように転倒してしまい身動きが取れなくなってしまった。

偽物ペンギンたちが「ぐぇぐぇ」言いながら近づいたときある言葉が頭に浮かんだ「ベストを尽くしたのか」僕はその内なる声に「これからだ」と答えた。

だが現実は厳しく偽物ペンギンたちは僕の手足をかみかみし出した。

何故こんなに痛いのに起きないのか疑問に思って居ると荒野仕様の車から男が身体を出して銃から弾丸を射ち始めた。

あっという間にペンギンを掃討して男が二人降りてきた。


一人はモヒカンに片目が義眼、一人は七三にメガネの出っ歯男だった。

「××××」モヒカンが喋ったがなにを言っているかわからなかった。

「助けてください」とりあえず頼んで見た。

「お前日本人でやんすか、あっしと同胞でやんすね」メガネ出っ歯男がそう答えた。

テンパって立てなくなった僕を二人は車まで連れて行ってくれた。

モヒカンさんは何かの機械を耳につけて話し出した。

「大変だったね、お兄ちゃん名前何て言うの?」

「祝 幸蔵」(イワイ コウゾウ)です。

「どんな字を書くんでやんすか?」

「祝い事のイワイに幸福の蔵です。」

「随分とおめでたい名前でやんすね、良いことが有りそうでやんす」

二人と話している内に色々と状況が分かってきた。


まず、モヒカンの方がモヒモヒ カーンさんでメガネ出っ歯の方が百地(モモチ) 忍助(ニンスケ)さんだと言う事、二人の通称がモヒカン&メガネ出っ歯であると言う事、異世界転移が珍しくないと言う事だ。


そして僕は気づいた、これ幻覚じゃなくて異世界転移してない?

「モモチさんはどうやってこっちに来たんですか?」

「あっしは(かわや)に行こうとしたら何もない所に割れて暗くて成った物を見つけて触ったらこっちに着ちまいました。」

この話を聞いて異世界転移に決まったと思った、ちなみにモヒカンさんも似たような状況だったらしい


モモチさんに聞いたら海で生きてたのはかなり運が良いらしい、この地域では空気中にナノマシンが含まれており、人間だけを修復するらしい、それだけ聞くと復活出来そうだが実際には海の生き物に食べられる事が多いので生存率は低いらしい、もしくは何度も再生と破壊を繰り返した為、まともな姿まともな感情を持てないらしい


今後の事を二人に相談した所、選択肢は3つらしい

一つ目はスラム街で配給を貰い生きていく

配給は1日1度治安は悪いので余りおすすめしないとのこと


二つ目は奴隷に成り、隣国に行き性奴隷になる事

隣国は亜人が多く、亜人は女しか産まない為、男の需要が高い

だが亜人は獣、虫、魚、モンスターに近い容姿から人間に近い容姿までいるので性癖がかなり変わって無ければ苦痛らしい


三つ目は二人と組んでトリオに成ること

異世界転移者にはスキルがあり僕は身体強化系の当たりスキルなので一緒にやりたいとの事

デメリットはトリオ名が「モヒカン&メガネ出っ歯幸福の向こう側へ」に成る事


僕は三つ目のトリオを選び二人と旅をすることにした。


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