エピローグ
「パパ、花火間に合わないよ」
「ああ、ごめんごめん。今行く」
ドア越しにみきの催促する声が聞こえた。浴衣姿のみきには重なるものがあった。
「ねぇ、まだ?」
「もうすぐだから」
あの後、えみと病院で何度か会った。自分の気持ちが固まり、えみの退院のタイミングで彼女と婚姻届けを出した。
来年、中学生になるみきにはえみの面影があり、みきを見ているとえみを思い出し、同時に自身の幼少期を思い出していた。
「よし、行くか」
「うん」
えみのように、にこやかに笑うみき。
えみの写真が入った手帳を持ち、浴衣に合う靴を履き、玄関を出て、花火大会の会場に向かった。手をつないで、会場までの道を二人で歩く。
「何してたの?」
「小説書いてたよ」
「読みたい」
「もっと漢字の勉強してからかな」
「わかった! もっと勉強する!」
ぼちぼちと会場に向かう人が増える。
手をつなぐことは少なくなってきたが、この日は人が多い花火大会、はぐれないようにみきと手をつなぐ。
* *
* * *
* *
花火があがる。まん丸な姿を空に見せると、瞬く間に消えていった。
「きれい!」
「きれいだね」
「きれいだ」
「見つけるの大変だったけど、ここまで来てよかったよ」
読んでいただきありがとうございました。
完結のための話の想像は前々から出来ていたのですが、完結させるのにこの文字数でいいのかなとか、部で分けなければよかったかなとか色々考えていたら、なかなか投稿できなくなってしまいました。まあ、でも初心者にそこまで求めてはいけないと割り切って完結させます。
この三人の話、読んでよかったと少しでも思っていただけたら幸いです。なおぽんとゆきでした。