ここはどこだ?
「ここはどこだ・・・?」
唖然としながらも藤堂は目を輝かせていた。生い茂るシダ、高くそびえる針葉樹、まばらに生えるソテツの木。
上を見上げると雲一つない、群青色の空が広がっていた。
「うわあぁ・・・・・!!すげえ・・・!」
まさに少年時代に恐竜図鑑で見たような光景だ。家族のことも心配しつつも、子供のような好奇心が溢れてくる。
「そういえば腹がすいたな」
腹が減っていたことを思い出した藤堂は食料を探すことにした。
さっきのシダの茂みの奥に小さなヤシの木を発見した。そこには大きいドリアンに似た実が
なっており、彼は彼の口の中にツバが溢れてくるのを感じていた。
あまり大きい木ではないため、登らずとも背伸びして手を伸ばせば取ることができた。
採取した果実をそばにある切り株に腰掛けて食べる。
「美味しい・・・!」
食べてみると、皮は柔らかく薄い、それでいて口当たりはみずみずしく、種もメロンの種の
ようだったので噛み砕くことが容易だった。味はマンゴーとリンゴの味を合わせたような味だ。
腹ごしらえを済ませると、急に雨が振り始めてきた。
「おかしいな・・・?さっきまで雲ひとつ無い晴天だったのに・・・!」
突然だった。眼の前で快晴の空が雨雲に覆われ、雨がポツンポツンと降ってきたのだ。
雨は次第に激しさを増していく。
「さっきの洞窟に戻らないとな。」
戻ってきた洞穴を探すために来た道を戻ろうとした。おかしい、こんなに遠かっただろうか?
それとも雨で体力が落ちたのだろうか?穴が遠のいていく感覚がある。
足のもたつきが止まらない。目眩がする。
藤堂の体は地面に突っ伏してしまい、そのまま目を閉じてしまった。