洞穴を抜けると
「丁度いい!ここなら雨をしのげるかもな」
藤堂は雨宿りのために廃坑に入った。中は少しひんやりしており、壁は人為的にノミで掘ったであろう後が
おびただしく付けられていた。
「ここまでくれば雨が入ってこないだろ」
洞穴の中を突き進んで行くと、分かれ道が見えてきた。
藤堂の心の奥底からもう少し奥へ行ってみたいという好奇心と冒険心が湧いてくる。
少年時代は物語性の強いロールプレイング・ゲームで遊んでいたため、わりかし恐怖心を感じることは
なかった。
「どっちに進めば良いだろうな・・・。」
分岐をよく観察すると、右の穴の奥からは白い光が見える。どうやら右手は外につながっているようだ。
「右へ行けば外に出られるんだな」
しかしここで疑問が生じる。洞穴に入ったのは真夜中なのになぜかあの穴からは太陽の光が差し込んでいる。この洞穴に入ってからはあまり時間がかかってないはずだ。せいぜい0.5キロ程度しか進んでいないのに
どうしてすぐに明け方になるといえようか。
「確かめてみよう」
藤堂は意を決して右の道へと進んだ。地面は水で濡れてジメジメしていたが、30分もかからないうちに外へと出ることができた。外の世界はすでに朝方になっていたが、周りの自然は日本の環境とはすでに異なっていた。