四、ザリガニとり
さあ、行くぞ。
ぼくは、昼ごはんのそうめんを食べた後、
「ごちそうさま!」
と、外へでようとした。すると、
「お兄ちゃん、どこに行くの?」
よしこが、あわてるぼくのすがたを見て言った。
「別に」
ぼくは、わざと落ち着いたそぶりを見せ、くるりともどるとテレビの前にすわり、テレビのチャンネルをカタカタと回した。
そういや、もうすぐこわい「あなたの知らない世界」がはじまるなと思いだした。
「よしこ、今から「あなたの知らない世界」見てなさい」
「いやよ、あれこわいもん、お兄ちゃん、どっか行くの?」
「えっ、あっ、うん、まさ君たちと」
と言ったしゅんかん、
「よしこも行く!」
「だめだよ」
よしこのほっぺが、ぷうっとふくらみ、
「どうして!」
「だって、あぶないだろ」
「あっ、あそこのぬまにザリガニとりに行くんでしょう。きのう、言ってたもんね」
「・・・・・・」
「よしこをつれていかないと、知らないからね。おかあさんに言いつけるから」
よしこの顔は、もう半べそ顔だった。
お母さんには、友だちとザリガニとりに行くともう言っていたから、別にいもうとに言われてもいいけど、あんな顔されてじたんだをふまれると、ぼくがしかられるし・・・。
「わかったよ。つれて行くよ」
「ほんとう」
とたんに、よしこの顔がぱっと明るくなった。
「だけど、あぶなくないようにな、それにお兄ちゃんの言う事を聞くんだぞ」
「うん!」
お兄ちゃんぶるぼくにいもうとは元気にこたえた。
ぼくらは、虫あみにバケツを持つと、もう、まちきれなくなって、やくそくの時間より少し早めに家をでた。
昨日の小道を歩き、くらやみの中へ、そこがぬまだ。
おやっ、まさ君がもういる。小さな女の子もいるぞ。
「おーい、まさ君」
ぼくは、小さなぬまに横たわる大きな木に2人してこしかけている、彼に話しかけた。
「おー、よし君」
と、返事が返って来る前に、ぼくらはとなりにもうすわっていた。
それだけ、このぬまは小さい、ぼくらの学校の教室ぐらいの広さだろう。
「まいったよ。こいつおれのいもうとで、ゆみって言うんだけどついてきちゃって」
「ぼくもだよ」
ぼくとまさ君は力なくわらった。
そんなぼくらをよそに、よしこは、ゆみちゃんに話しかけた。
「いくつ?」
ゆみちゃんは、はずかしそうに指を3本だした。
「3つなの、わたしはね5さいだよ。らいねんはしょうがくせいなんだ」
早くもよしこは、おねえちゃんぶっていた。
「さぁ、はじめようか」
まさ君は、竹にたこ糸をつなげた、つりざおを取り出した。
「はじめるの?えり子ちゃんは?」
「いいよ、あいつ、いつもおくれてくるんだ」
「そうか」
ぼくは虫とりあみをかまえた。
ザリガニ。