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撲殺その41     聖女様の試験監督

「これが、精進料理というものですか」


「ええ。恐らくシスターには物足りないでしょうけど……」


 夏休みを目前に控えたある日のこと。


 頼みがあると法晴に呼び出されたレベッカは、その前振りとして精進料理をごちそうになっていた。


「食事内容そのものには、全く文句はありませんよ?」


「いえ、その、精進料理は動物性の食材を使わない関係上、総じて一品のカロリーが低めですので……」


「ああ……、それに関しては否定できません……」


 法晴の言葉に、渋い顔で同意するレベッカ。


 レベッカとしては、肉や魚が入っていないこと自体は全く気にならない。


 底辺の食事というものを知っているので、これだけ彩り豊かで種類も豊富な食事を用意してもらって、文句を言う気は一切ない。


 が、それはそれとして、聖痕の仕様上大量のカロリーを消費するレベッカの体質上、精進料理ではカロリーが足りないという点はどうやっても否定できない。


 その部分で御馳走してくれる相手に気を遣わせてしまうというのは、レベッカとしても忸怩たる思いである。


 やはり、少量でカロリーを稼ぐという観点で見れば、動物性の食材、それも特に脂肪分はとても優秀な素材なのだ。


「まあ、カロリーに関しては一応蓄積分もありますので、今日のところはお気になさらずに」


「申し訳ない」


「戒律が絡んでいることですので、しょうがないですよ」


 心底申し訳なさそうに言う法晴に対し、笑顔でそう告げるレベッカ。


 カロリー的には足りていなくても、自分では選択しづらくて縁のない料理を食べる機会に恵まれたというのは、それはそれでありがたいことである。


「そういえば、法晴和尚は結婚なされていたのですよね?」


「ええ。最近は真言宗だからと言って、絶対に妻帯してはいけないというほどきつくはありませんから。ただ、食事は退魔師としての修業も兼ねている部分がありますので……」


 戒律と聞いて、ふと思い出したことを質問するレベッカ。


 聖職者は結婚してはいけないという戒律がある宗教は珍しくなく、宗派によるとはいえ仏教もその一つだ。


 が、成立してから長く、国ごとに大きくカスタマイズされている傾向がある仏教の場合、同じ宗派でも時代によって戒律の内容や解釈が大きく異なっている。


 そのため、法晴のように本来は妻帯禁止の宗派の僧が結婚しているのも、さほど珍しくはない。


 余談ながら、法晴は常に忙しい人物だが、もともと直接戦闘が得意というタイプではないこともあり、その仕事の大部分は寺での除霊や封印作業だ。


 なので、檀家回り以外で寺から簡単に動けないだけで、レベッカの接待がてらこういう雑談に応じるぐらいの余裕はある。


 逆に十六夜はどちらかというと出張しての作業が多く、神社どころか潮見にいないことも珍しくない。


 何気にこの二人、計ったようにきれいに役割分担ができているようだ。


「まあ、拙僧の場合、退魔師としての能力を子孫に受け継ぐべし、という総本山の意向もありましたので、喜んで恋女房を迎えさせてもらいましたが」


「ああ、なるほど。たしかに、霊能力って結構遺伝しますし」


「そういう事ですな」


 裏事情を暴露した法晴に対し、料理に手を付けながらそういう事かと納得するレベッカ。


 もともと仏教に限らずいろいろ緩いのが日本の古くからの宗教なので、この程度の融通は普通だと言えよう。


「それで、シスターにお願いしたいのは、娘の昇級試験についてでして」


「ああ、娘さんが居られるのですね」


「はい。十六夜殿のところのクレアちゃんと同級生でして、同じくC級として活躍しております」


「同級生ということは、まだ中学生ですか」


「ええ」


 レベッカの問いに、にこやかに答える法晴。


 その様子を見たレベッカの頭に、何故か親馬鹿という単語が一瞬よぎる。


「まあ、とりあえず事情は理解しました。法晴和尚ではなく私に話を持ってきたのは、和尚が忙しいだけでなく身内であるからという理由もありますか?」


「はい。まあ、実のところ、一番の理由はそのどちらでもないのですが……」


 レベッカにそう告げて、真剣な表情を浮かべる法晴。


 その様子に、これは鮫の時と同じパターンかと居住まいを正すレベッカ。


「去年の夏、クレアさんの昇級試験にB級でも手に負えない類の霊障がぶつけられましたが、今回もそういう感じですか?」


「あくまでも拙僧の勘でしかないのですが、どうにも今回試験に使われる案件、そんな簡単な代物では無さそうでして」


「やはりそうですか」


「ええ。一応そのあたりを訴えてはみたのですが、それなら頭数を増やせばいいのだろうとばかりに、クレアちゃんの昇級試験も一緒にやることになりましてね」


「……それは、二重の意味で悪手のような……」


「はい。協会の目論見通りの難易度であれば試験として成立せず、かといって拙僧の勘が当たっていれば年端もいかぬC級二人では到底対処などできず、当然のごとく命はありません。ですので……」


「念のために私を試験監督にねじ込みたいと」


「そういう事です。既に根回しは済ませておりまして、シスターの了解が得られれば試験監督のほうは確定となります」


「そういう話でしたら、是非引き受けさせていただきましょう」


 法晴の説明を聞き、自身の勘に引っかかるものを感じたレベッカが即答する。


 その言葉に、法晴がほっとしたような表情を浮かべる。


「ありがとうございます。可愛い娘であることを差し引いても、ベテランの不作為で若手を失うなどというのは耐えられることではありませんので……」


「そうですね。まあ、私では対応できない相手が出てくる可能性もありますが……」


「その場合は、逆にあきらめもつきます。シスターが対処できない相手なら、協会が見抜けないような偽装をしていても仕方がないと納得できますしね」


「何やら過剰な評価を受けているような気がしなくもありませんが……」


 法晴の言葉に苦笑するレベッカ。


 戦闘能力とそのあたりの偽装能力は、基本的に別のものだ。


 が、戦闘特化のA級が対処できない強さなのにその種の偽装をやってのける妖怪や悪霊となると、そもそも人間に対処できない存在なのは間違いない。


 なので、法晴の言葉もあながち間違いとは言い切れない。


「それで、試験はいつですか?」


「基本的に、シスターの都合に合わせます。問題がなければ、それこそ今日やっていただいても大丈夫です」


「お二人の準備は大丈夫なのですか?」


「何か約束や予定が入っているのであればともかく、そうでなければ試験が近いと聞いているのに、準備できていないこと自体言語道断です。なので、そこはお気になさらずに」


「なるほど」


 法晴の言葉に、それもそうかと納得するレベッカ。


 そもそも、試験に使うのにちょうどいい霊障など、常に存在しているわけではない。


 なので、突発的に発生したものでいきなり試験を行うこともたまにある。


「では、あまり先延ばしにするのもよろしくなさそうですので、今日のうちに済ませてしまいましょう」


「分かりました。では、二人を呼んでおきます」


 レベッカの即決に、真顔でそう応じる法晴。


 こうして、色々と不穏な空気を漂わせる昇級試験の幕が上がるのであった。








「初めまして。山野辺法華やまのべほうかと申します」


「レベッカ・グレイスです。本日は法華さんの試験を監督させていただきます」


 県境の山にある山道の一つ。その中ほどにある現地にてクレアの到着を待つ間、ガチガチにフル装備で固めた法晴の娘と自己紹介をかわすレベッカ。


 法晴の娘・法華は、とても和風なビジュアルの少女であった。


「そういえば、法華さんはクレアさんと仲がいいのですか?」


「普通にそこそこ仲がいい、というところでしょうか。親友というほどではありませんが、別にいがみ合う訳でもありませんし」


「なるほど」


 法華の側の意識を聞いて、何となくいろいろ察してうなずくレベッカ。


 やはり同学年で力量もほぼ同じとなれば、いろいろ含むものがあるのだろう。


 見た感じ含むものと言っても羨ましいとかそういう方面のようで、それが敵愾心につながっていないのは法晴の教育故かそれともクレアのキャラクターによるものかは分からない。


 何にしても、トラブルにつながりそうもないのであれば、深く気にしなくてよさそうだ。


 そこへ、某世界的ハンバーガーチェーンの大きな袋とスーパーのレジ袋を持ったクレアが到着する。


 ちなみに、服装は例の色々見えそうな感じの破廉恥巫女服だ。


 一応下にいろいろ着ているのでポロリしても問題ない、というよりむしろポロリしたほうが健全という、何を考えてこんなデザインにしたのか分からない巫女服である。


「ほっちゃん、シスター、おまたせ」


「……何、その袋?」


「これ? 主にシスターへの差し入れ。因みに、原資はうちのお爺ちゃんから。まあ、あたしもちゃんと食べてないから、ポテトぐらいはお腹に入れとくけど」


「それ、その格好で買ってきたの?」


「まさか。お母さんが買ってきたよ」


 そう言って、Lサイズのポテトを取り出した残りをレベッカに差し出すクレア。


 どうやら、この格好でうろうろするのはいろいろ問題がある自覚はあるらしい。


 もっとも、羞恥心の方は微妙なようだが。


 クレアからハンバーガーを受け取り、思わず嬉しそうな表情を浮かべるレベッカ。


 それを、実に羨ましそうに法華が見つめる。


「ほっちゃん、やっぱだめ?」


「……大事の前なので、ここはあえて我慢」


 クレアの悪魔の誘いに揺らぎつつ、きっぱりと断る法華。


 どうやら、法華の含むところや微妙な距離感は、こういうところにあるようだ。


「まあ、そう言うと思って、動物性食品不使用のおはぎも用意してる」


「……ありがとう」


 アメリカンなヤンキー娘なのに、妙なところで日本人的な気の利かせ方をするクレア。


 そんなクレアに複雑な表情を浮かべながら、素直におはぎを受け取る法華。


「……もしかしてですが、法華さんは昔はお肉を食べておられたのですか?」


「ほっちゃんは育ち盛りだから、今も普段はそこそこお肉食べてるよ。さすがに体作るのに精進料理だけだとつらいしさ」


「なるほど、確かにそうですね」


「あたしは宗教かどうかが怪しいぐらいいろいろ緩い神道の巫女だから、正直お肉食べてそんなに霊力周りに差が出るのかどうか全然分かんないんだけどね。こういうのは気持ちの問題もあるからねえ」


「そうですねえ。少なくとも法晴和尚は殺生戒というのでしたか? それを守ることで霊力を高めておられるようですし」


 食事に関する戒律が特にないレベッカとクレアが、とても緩い話をする。


 その内容を、妙に悲し気な表情を浮かべながら法華が聞いている。


「さて、カロリーの補充も終わりましたし、まずは試験の方を済ませましょうか」


 十個を超えるハンバーガーを平らげ、そう宣言して数滴聖水をふりかけ、適度に悪霊を釣り出すレベッカ。


「ほっちゃん、右!」


「はい!」


 レベッカが釣り出した悪霊を、二人で分担しながら即座に浄化するクレアと法華。


 その後も釣り出す悪霊の数や強さを調整して徐々に難易度を上げながら、二人の力量を測るレベッカ。


 今日初対面の法華はともかく、クレアは前回の鮫の時と違ってちゃんとスタミナ配分ができているようだ。


「さて、こんなものですか」


 C級が一人で対処できない強さの悪霊を一人頭同時に五体ぶつけた際、法華もクレアも難なく対処してのけたのを見てうなずくレベッカ。


 法華の方が体力の面でやや厳しくなってきているようだが、同じぐらいの強さなら後十分は対処できるだろう。


 そもそも法華に関しては、法晴同様白兵戦による直接戦闘に向いたタイプではなく、事前準備の上で大技をぶち込んで離れた位置から仕留めるタイプだ。


 それでこの程度戦えるなら、B級としては十分である。


 なお、クレアの方はヤンキーだけあって、体力も霊力もまだまだ有り余っている。


 ただし、こちらは性格的にも技量的にも、あまり器用な真似はできないので、もう二割ほど強さを釣り上げれば万全の状態でも対処しきれるかどうか怪しくはなる。


 白兵戦に持ち込まれないのであれば、という条件であれば、対処できる相手の数や強さは現状法華のほうが上といったところだ。


「さて、試験については結論が出ましたので、一旦終了としましょう。後は私が処理します」


「りょ!」


「分かりました!」


 レベッカに言われ、最後の悪霊を吹っ飛ばして一気に離脱するクレアと法華。


 二人と入れ替りで前に出て、軽く聖痕を解放しながら二リットルの緑茶のペットボトルを横に振り、時間稼ぎの聖水を豪快に撒き散らすレベッカ。


「シスターの、ちょっといいとこ見てみたい!」


「そういうおっさんくさい台詞、どこで覚えてくるの……」


「ん? 社務所で宴会してるおっちゃん達」


 自分の役目が終わったことで、宴会で一気飲みを促す酔っ払いのようなことを言いだすクレア。


 そんなクレアにジト目で突っ込みを入れる法華。


 はた目には、法華の自己申告より仲がよさそうに見える。


「では、ご要望にお応えして」


 そう言って、胸の前で祈るように手を組むレベッカ。


 レベッカが祈りのポーズをとった瞬間、まだ昼だというのに周囲を夜の闇が覆いつくして、空に見事な満月が浮かび上がる。


「主よ、再びこの両手を血に染めることをお許しください」


 その祈りの言葉と同時に、辺りに神社にて神事を行う時によく聞く類の音楽鳴り響く。


 BGMに合わせて修道服でも隠しきれていないグラマーで肉感的なボディラインを強調するかの如くレベッカの全身が光り、その豊かな胸の谷間から聖痕が浮かび上がる。


 浮かび上がった聖痕がレベッカの左右の拳に宿り、足元から吹き上がった風が修道服の裾をはためかせベールを吹き飛ばす。


 ベールが吹き飛んだ拍子に三つ編みがほどけたらしく、素晴らしい金髪が風にたなびく。


 光がレベッカの修道服をモーフィング変形させ、なぜか要所要所が派手に露出した破廉恥尼僧服とでも言うべき服装へと変える。


 その場を濃密な神気が包み込み、レベッカの聖痕がフルパワーで解放される。


「ギャーーーーー!!!!!!!!!」


 レベッカの濃密な神気に当てられ、B級では対処できない強さの悪霊たちがのたうち回る。


 その中に、巨大な狸の妖怪が混ざっているのを発見するレベッカ。


「なるほど。法晴殿の心当たりというのはあれですか」


「くっ! もう少し、もう少しでこの地にいる厄介な化け物どもを出し抜いて狸大師に至れたというのに!」


「私に引っかかるような運のなさでは、どうせそのうちどこかで発見されてプチッとやられそうですが」


「言うな!」


 自身の不幸を嘆く狸に対し、身も蓋もない事実を突きつけるレベッカ。


 世の中には、事実であっても指摘してはいけない事柄というのがあるのだ。


「まあ、そういう訳ですので、互いの罪を清算しましょう」


 いつの間にかごっついガントレットに包まれた両拳をピーカブースタイルに構え、雑に話を切り上げていつものようにアルカイックスマイルでそう宣言するレベッカ。


 そのまま、問答無用で狸を殴りまくる。


 下手に動けばポロリしそうなえげつないデザインはクレアと同じであるが、さすがに聖痕の力で作り出されただけあって、レベッカの尼僧服はどんな無茶な動きをしても絶対にポロリしない。


 しないのだが、下着の構造まで変わっている都合上、巨乳がたゆんたゆんする度合いはある程度ちゃんと固定しているクレアの比ではない。


 その姿をいろんな意味で複雑そうな表情で見学する法華。


 その手が学年の平均よりはあるが大きいとまでは言い難い、フル装備だと膨らみがあるとは分からなくなる程度の胸元をペタペタ触っている事には触れてはいけない。


「おお、すげえ! 容赦なく玉を殴りに行った!」


「クレアちゃん、はしたない」


「さすがシスター、あたし達に出来ないことを平気でやってのける! そこにしびれる憧れる!」


「あれをまねするのはアウトだと思う」


「でもさ、シスターの変身機能はすごく羨ましい。この格好だと変なのに声かけられるし、職質とか補導とかの危機がすごいし」


「その前に羞恥心」


「そんなものでご飯は食べられない!」


 レベッカの容赦ないラッシュを見ながら、そんなどうでもいいことを駄弁るクレアと法華。


 レベッカが一発狸を殴るたびに、取り巻きだった悪霊が数体纏めて消滅する。


 それら一体一体が共食いによりA級の平均では対処が難しい強さに進化していたのだが、日本三大悪霊クラスならともかく所詮は名無しの悪霊。


 聖痕を全開にしたレベッカに対抗するには、自我の強さが足りていない。


 狸以外が全滅したあたりで、そろそろ頃合いだとフィニッシュブローの構えに入る。


 その瞬間、今までとは違いレベッカの衣装が多数のカットインとともに再びモーフィング変形を始め、今度はデザインこそ違えどクレアのものと露出度が変わらない巫女装束に変わる。


 いくら日本の仏教や神道がすさまじく緩いとはいえ、一神教のシスターが別の宗教の衣装を着るのは大丈夫なのかと小一時間ほど問い詰めたくなる状況である。


 そもそも、これまでの変身衣装にしても、色欲の悪徳に引っかからないのかという点は永遠の疑問だ。


「わお、すごい」


「はた目で見ると、クレアちゃんもああなんだよ」


「知ってた。まあ、そのうち普通の巫女服でもB級ぐらいまでは対処できるようになるっしょ」


 自身の姿にそんな感想を言い合うクレアと法華を横目に、フィニッシュのコークスクリューをぶち込むレベッカ。


 フィニッシュブローのコークスクリューが狸の玉を粉砕したところで、いつものように祈りのポーズの天使が相手の体を縦方向に貫通し、羽根を散らしながら天高く舞い上がる。


「主よ、この哀れな子羊に救いの手を」


 それに合わせて、お約束のまったく心のこもっていない雑な祈りの言葉とともに、胸の前で十字を切るレベッカ。


 レベッカの祈りに合わせてまき散らされた羽根を覆いつくすように浄化の光が広がり、柱となって天地を貫く。


 光の柱が消えると同時に周囲の光景が昼間の山道に戻り、レベッカの服が普段の修道服に変わって、どこに飛んでいたのか最初に吹き飛ばされたベールがレベッカの頭にふわりとかぶさる。


 ベールがかぶさったところでBGMが鳴り終わり、今回の件が終了する。


「お疲れさまでした。試験ですが、要研修の上で合格ということにします」


「やっぱ研修はいる?」


「はい。力量としては十分ですが、最初から最後まで終わらせたわけではありませんので、そのあたりの判定ができなかったんですよ」


「ああ、なるほどです」


 レベッカが出した結果に、二人して納得するクレアと法華。


 勝てればいいというものでもないことぐらい、さすがに二人ともちゃんと理解しているのだ。


「それはそうとクレアさん。その巫女服でないと駄目な理由があるのですか?」


「あたしね、肌の露出面積が多ければ多いほど霊力の出力と防御力と回復速度が跳ね上がんの。で、ついでとばかりに体力も増幅されるから、できるだけあっちこっち見えてる方がいいの」


「ほほう」


「究極的には全裸が一番なんだけど、さすがにそれは問題あるからねえ」


「ですねえ」


「シスターみたいに変身出来たら、移動中に変態扱いされずに済むんだけど、現実は厳しい」


 レベッカの質問に答えながら、しみじみと妙なことをぼやくクレア。


 そこに法華が突っ込む。


「変態扱いの前に、羞恥心持ちなさいよ」


「あたし見られて恥ずかしい身体はしてないから、別に全裸見られても気になんない」


「そういう問題じゃない」


 幼馴染のぶっ飛んだ感覚に、心底頭を抱える法華。


 自分の身近にいる女性の退魔師関係は、どうしてエロ方向のビジュアルに特化した連中ばかりなのか。


 そんなことを長きにわたって悩まされながら、ずっとコンプレックスを刺激され続けることになる法華であった。

アメリカンなグラマー体形なのに、脱げば脱ぐほど強くなるけど全裸になると途端にバフが切れるという、非常に面倒な仕様をしているクレアさん。

理想は「安心してください! 履いてます!」とかやれるレベルでギリギリの露出、つまり脱いでるほうがよっぽど健全なあれ。

そこにプラスして頭も成績も悪くはないが脳筋気質でおバカっぽいおつむが実装されているという、澪がエロゲ展開を期待しそうな仕様です。


法華の体形ですが、身長は日本人の同年代の平均ぐらいで、胸はCに1/6カップぐらい足りない感じ。

将来的にはCは突破するもののDに2割ほど届かないぐらいで終わる、とサイコロの神様がおっしゃっておりました。


コンプレックス持つような体形じゃ姉やんと思ったあなた、悪いのはいろんな意味で周囲の目を根こそぎかっさらっていくクレアです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新、お疲れ様です。 精進料理、揚げ物があればカロリー高いんですけどね。 肉の脂は好きなのですが、揚げ物の脂はちょっと苦手なので、精進料理食べる機会あまりないです。 海苔の天ぷらとししとう…
[良い点] 精進料理にもカロリー量以外の不満がない撲殺シスター [気になる点] クレアちゃんも法華ちゃんも「キャラが薄いな」と思ってしまう…某神様達が濃すぎるからなんでしょうね… [一言] どうせ…
[一言] 巫女系の髪の結いに、朱色のチョーカー白ビキニ上、朱色のボーイレッグ、白い足袋に草履、普段は千早を羽織る感じで、オーダーメイドすると、良い感じに出力上がりつつ、外も歩けそうなのを、いもやデザイ…
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