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撲殺その25     聖女様と堕天使

「今年も、何事もなく無事にクリスマスのミサを迎えられそうですね」


 クリスマスを翌週に控えたある日の聖心教会。


 仕事の山を片づけて一息ついたレベッカが、一緒にお茶を飲んでいるプリムと美優に対して、しみじみとそんなことをいう。


「無事、のう……」


「話を持ち込んだこっちがいう事じゃないけど、この一週間で大小合わせて百件越えの除霊とか浄化をやっておいて、何事もなくっていうのは違わない?」


 レベッカの言葉に、当然のように突っ込むプリムと美優。


 去年まではなかったエクソシスト関連の仕事量だけに、無事という表現はともかく何事もなくというのは違うだろう。


 半分ぐらいはレベッカという稀有な人材を知った人間からねじ込まれたり、他の人員では処理しきれなかったものが回ってきたりといったものではあるが、それを踏まえても例年よりかなり処理件数が多い。


 厄介なのが、依頼ではなくたまたま居合わせて面倒だからサクッと処理した、という案件が全体の半分以上とかなり多いこと。


 いくら人手も人材も足りていない退魔師・エクソシスト業界と言えど、突発案件が一週間で五十件を超えるようなことは今までなかった。


 これを何事もなくと言われてしまうと、大体のことは何事もないことになってしまう。


「確かに件数は多いですが、どれも片手間に処理できる程度でしたので」


「明らかにお主じゃから片手間に処理できただけ、という案件もかなり多いぞ」


「それに、大きな山を越えただけで、仕事自体は全部終わった訳じゃないし」


「まあ、それはそれ、です」


 普通なら危機感を覚えてしかるべき状況だというのに、特に異常だとも思っていない様子を見せるレベッカ。


 実際、レベッカからすればこれぐらいわらわら湧いてくること自体はさほど珍しいことでもなく、面倒だから報告していないだけで出合い頭に飛び掛かられて反射的に殴り倒して浄化したことなど数え切れないほどある。


 なので、レベッカにとっては今回もそれほど特別な状況ではないのだ。


「正直な話をすると、どう頑張っても手に負えないようなのが出てきたり新神の皆様が本気で動くような事態になったりしない限り、私にとっては何事もなかった範疇です」


「「あ~……」」


 レベッカの意見に、ものすごく力いっぱい納得するプリムと美優。


 あの二柱、それも特に金髪の女性の体質が仕事をした場合と比較するなら、全く被害が出ていないこれまでの事態など何事もなかったと言ってしまっても間違いではない。


「そういえば、美優よ。前々から気になっておったのじゃが」


「何かな?」


「レベッカがあれだけポンポン光の柱をおっ立てておることについて、あ奴らはどう思っておるんじゃ?」


「ああ、それについては、タイミングの問題もあって純粋に気が付いてなかったみたい。でもまあ、日本に帰ってきてからこっちの業界についても多少は知識を仕入れたみたいだから、気が付いてても新しい人が来て仕事をしてる、ぐらいで流してたんじゃないかな?」


「なるほどのう。まあ、それなら問題はないか」


 美優の言葉に、いろんな意味で安心するプリム。


 自身の不幸体質を踏まえると、ああいう何が起こるか分からない手合いとは深く関わり合いになりたくない。


 もっとも、一切関わることがなかったとしても、それでとばっちりを防げるわけではないのだが。


「それにしても、なんだかんだでこの学校、霊障が多いですよね」


「そうじゃのう……」


「妙なものが封印してあったし、元からそういう土地なのかもね。まあ、その妙なものはシスターが殲滅してるけど」


「うむ。少なくとも地脈の端には引っかかっておるしの」


「そんなところに学校を建てて、よく今まで無事でしたねえ……」


 なかなかに怖い話が出てきて、思わずそんな感想を漏らすレベッカ。


 地脈の端に引っかかった挙句に妙なものが封印されているなど、普通に事故物件である。


「まあ、そのためにプリム理事長を連れてきたらしいんだけどね」


「ああ、なるほど……」


「ちょっと待て! 儂は身代わり地蔵か!?」


 美優の身も蓋も血も涙もない言葉に心底納得するレベッカと、全力で突っ込むプリム。


 人身御供にするのに使いやすい存在である自覚はあるが、そこまで堂々とされるとさすがに腹が立つ。


「理事長に対しては色々同情するものはあるけど、それを利用してちゃっかり利益を得てる側面もあるからねえ」


「好きでしておるわけではないし、そもそも覚悟を決めて自分から進んで不幸を引き受けたのとだまし討ちのような形で人身御供にされておるのとは別の話じゃ!」


「そりゃまあ、ごもっともで。ただ、言っちゃあなんだけど、私達はこの件には一切関わってない、っていうか、理事長が就任したのって三十年以上前のことだからさあ。シスターは生まれてないし、私だってまだ高校に上がったかどうかだから、文句言うなら当時理事長をここに連れてきた人に対してだよね」


「ですねえ」


 実に正当なプリムの怒りに対し、別方面で正当な反論をぶつける美優とレベッカ。


 そもそもの話、プリムの場合うかつな行動によって痛い目を見ていることも多いので、いまいち同情しきれないところがある。


 余談ながら、プリムを理事長に据えて様々な不幸を肩代わりさせるよう取り計らった人物は、現在御年百五歳でいまだパワフルに好き放題生きている。


 流石に第一線からは退いているもののそれでもまだまだ権力も影響力も大きい人で、しかも肉体的には普通の人間故にいつ亡くなってもおかしくない年齢で見た目も年相応なのもあって、どうにも逆らいづらい人物だったりする。


 ある意味では新神達以上にアンタッチャブルな存在だと言えよう。


「というか、ふと思ったのですが……」


「なんじゃ?」


「なに?」


「ここまでの話って、普通にフラグを立ててるような気がしませんか?」


「「……」」


 レベッカの指摘に、反論できずに黙り込んでしまうプリムと美優。


 そこで黙り込んでしまったのが悪かったのか、まるで本当にフラグだったかのように事態が急に動き出す。


「……あら?」


「む? お主、いつの間に茶菓子のお代わりを出したのじゃ?」


「いえ、そんな真似はしていませんが……」


「てか、シスター、理事長。なんか、時計が逆回りしてない?」


「言われてみれば……」


「むう……。どうやら、空間が隔離されておるようじゃの……。この部屋から出られん……」


 美優に言われ、現在この部屋に異変が起こっていることに気が付くレベッカとプリム。


 限りなく一般人である美優はまだしも、レベッカとプリムが茶菓子と時計の件がなければ気が付かなかったところから察するに、相当高位の存在、もしくはこの種の制御と隠蔽に長けた何者かが仕掛けてきたようだ。


「……私の総摂取カロリーが減っていないところを見ると、時間操作の類ではない、もしくは生物には効果が出ない感じですね」


「じゃなあ。ただ、時間操作は時間操作じゃろうな。ほれ」


 レベッカの推測に同意しつつ、プリムがゴミ箱を指さす。


 そちらを見ると、破り捨てたはずのメモが逆回しのようにゴミ箱から飛び出して美優の手元に戻り、破る前のしわ一つない状態に復元されていた。


「どっちにしても、閉じ込められてるんだったら早めに何とかしないと駄目なんじゃない?」


「じゃなあ。とはいえ、正体が何かもどこに隠れておるのかも分からんとなるとなあ……」


「では、あぶりだしてみますか」


 そう宣言し、応接室に仕込まれたギミックを起動して戦闘可能な空間を確保の後、胸の前で手を組んで祈りのポーズをとるレベッカ。


 祈りのポーズをとった瞬間教会の応接室が野外に早変わりし、まだ昼だというのに周囲を夜の闇が覆いつくして空に見事な満月が浮かび上がる。


「あのさ、シスター。状況的に思いっきり理事長巻き込むと思うんだけど、いいの?」


「ここから出られない以上、戦闘になればどのみち巻き込みますので、早いか遅いかでしかありません」


「待てこら!」


「まあ、そうなんだろうけどさあ。後、浄化系の攻撃が通用するとも限らないんだけど、その辺は?」


「それはもう、試してみるしかありません。という訳で、主よ、再びこの両手を血に染めることをお許しください」


 美優の指摘に雑な答えを返し、聖痕の解放を強行するレベッカ。


 その祈りの言葉と同時に、辺りにJ-POPのトレンディーな感じのクリスマスソングが鳴り響く。


 BGMに合わせて修道服でも隠しきれていないグラマーで肉感的なボディラインを強調するかの如くレベッカの全身が光り、その豊かな胸の谷間から聖痕が浮かび上がる。


 浮かび上がった聖痕がレベッカの左右の拳に宿り、足元から吹き上がった風が修道服の裾をはためかせベールを吹き飛ばす。


 ベールが吹き飛んだ拍子に三つ編みがほどけたらしく、素晴らしい金髪が風にたなびく。


 その場を濃密な神気が包み込み、レベッカの聖痕がフルパワーで解放される。


「「「ぎゃー!?」」」


 聖痕のフルパワー解放と同時にばらまかれる濃密な神気に焼かれ、三つの悲鳴が同時に上がる。


 その悲鳴と同時にプリムが灰になり、時計にひびが入り、レベッカの目の前、つま先が触れるほどの距離に黒い堕天使の翼をもつキラキラしいイケメンが落ちてくる。


「……おや?」


「話には聞いていたが、本当に割り切りが早くて思いっきりがいいな貴様!」


「どちら様でしょうか?」


「貴様の立場なら、ルシファーと言えば理解できるだろう?」


「……本物ですか? なぜに?」


「本物だ。部下の部下がやらかした件の尻拭いを押し付けられただけだから、今も今後も貴様らと敵対するつもりはない。正直、今どき人間界にちょっかいを出すなど割に合わんから、関わらずに済むなら関わりたくなかったがな……」


 六対十二枚の黒い堕天使の羽をゆらゆら動かし、無駄にキラキラしい顔に煤けた表情を浮かべながらそうぼやく自称ルシファー。


 漏れ出る微小なエネルギーに加え、巻き添えになって悲鳴で済んでいるところや今のレベッカの至近距離にいて割と平気そうなところから、本当にルシファーかどうかはともかく、人間がまともにやりあって勝ち目がある相手ではないのは確定である。


 むしろ、そんな存在に悲鳴を上げさせるほどの出力を持つレベッカの聖痕の方こそ、意味不明かもしれない。


「詳しい説明は後だ。あの時計を殴ってくれ。それで、今回の異常事態は解決する」


「分かりました」


 どうでもいい押し問答をしていても話が進まない。自称ルシファーとレベッカの意見が一致し、まずは元凶を撲殺することに。


 とりあえず、いつものルーティンを終わらせるべく、元凶となった時計の方を向く。


「では、互いの罪を清算しましょう」


 そう宣言して、ピーカブースタイルに構えるレベッカ。


 その宣言に反応した壁掛け時計が、教会の応接室にふさわしい重厚な姿からギャグマンガに出てきそうな手足の生えた目覚まし時計に化けて、大急ぎで逃げようとする。


 が、どれほどスピードが速くてすばしっこかろうが、閉鎖空間内でレベッカから逃げきれるわけがない。


 あっさりフックで叩き落され、地面に落ちる前にアッパーで浮かされる。


 そのまま空中に固定するようにラッシュを叩き込み、最後に神気を濃縮したコークスクリューでとどめを刺す。


 コークスクリューでぶち抜かれた目覚まし時計が、一瞬非常に悪魔っぽい歪んだ置き時計という感じの姿に化ける。


 その時計を完全に粉砕すべく、いつものように祈りのポーズの天使が相手の体を貫通してから羽根を散らしながら天高く舞い上がる。


「主よ、この哀れな子羊に救いの手を」


 それに合わせて、お約束のまったく心のこもっていない雑な祈りの言葉とともに、胸の前で十字を切るレベッカ。


 レベッカの祈りに合わせてまき散らされた羽根を覆いつくすように浄化の光が広がり、柱となって天地を貫く。


「「ぎゃー!!」」


 光の柱が応接室を覆いつくした影響で、防御態勢を取っていた自称ルシファーと復活したてほやほやのプリムがまたしても派手に焼かれて悲鳴を上げる。


 いつもより長めに出ていた光の柱が、一応神敵に当たる存在をじっくり焼き上げて満足げに消える。


 光の柱が消えると同時に、応接室が元の姿に戻る。


「貴様の聖痕は、なかなかいい性格をしているな……」


「その文句は、私にこれを与えた主にぶつけてください。この聖痕、オンオフと解放度合いの調整以外、一切の制御を受け付けませんので……」


「だろうな……。我も聖痕持ちは多数見てきたが、カロリーの蓄積と聖気および神気への変換、エンタメ的演出に特化した聖痕なんぞ初めて見たわ」


「やっぱりそうですか……」


 あっちこっち焦げて煤けている自称ルシファーのボヤキに、覚悟はしていたもののこれからもパワーアップは無さそうだと心底がっくり来るレベッカ。


「というか、ルシファーよ。押し付けられたというのは分からんではないが、此度の件はお主が出張るほどのことでもなかろう?」


「これだけならな。だがまあ、今後は関わらなくてもよさそうでほっとしている」


「と、いうと?」


「今回のことで、そちらのシスターに因縁が固定されたからな。これが近くの神社や寺の小娘だったら介入が必要だし、この地に住む新神達をはじめとした神的存在だったら頭を下げて回る必要があったが、こいつなら自力で過不足なく解決するだろうさ」


 プリムの詰問に、心底力が抜けたという態度でそう告げる自称ルシファー。


 自称ルシファーの言い分を聞いて、大体のことを察するプリム。


「まあ、お主が出張る羽目になった理由はなんとなく理解した。これから何が起こる?」


「さしあたって、まずはアリスだな。あとはまだ確定していないが、まあ、その系統のそろそろ古典に分類される物語をなぞる類の事象が起こるはずだ」


「……なるほど。たしかに、規模と解決の難儀さによっては、お主クラスが外側から無理やり割り込む必要が出て来おるか……」


「ああ、そういう事だ。こいつのスペックを鑑みるに問題はなさそうだが、場合によってはプリムフォード、貴様もフルパワーで動く必要が出てくるかもしれん」


「え~……? 今更儂がフルパワーで~……? なんでそんな後始末が面倒そうなことをせねばならんのじゃ?」


「例の新神達や女子寮の管理人が動くことを考えれば、貴様が本気を出したほうが楽だぞ?」


「ぐぬぬ……」


 ルシファーの指摘に、悔しそうにうなるプリム。


 そのやり取りを、苦笑しながら見守っていた美優が口を挟む。


「まあ、その辺は基本シスターに丸投げしつつ臨機応変にってことでいいとして、最近の妙に多い霊障の発生件数は、今回の話と関係ある?」


「直接的には無関係だが、間接的には影響があると言ったところだな。こういう事が起こると、どうしてもいろいろと活性化するものだ」


「なるほどね。ってことは、食べ物をたくさん用意しておかなきゃいけないか……」


「こやつの場合、金より飯じゃからのう……」


「この聖痕の仕様ではな……」


 そう言って、思わずため息をつく美優、プリム、自称ルシファー。


 次に起こることの概要は分かっても事象の規模がまだ確定していないこともあり、どれだけの食料が消費されるのか予想がつかないのだ。


 人間界に干渉する気はないと言い切った自称ルシファーにとっても、人間界で食料事情が悪化するとそれなりに無視できない影響は受けるので、他人事で済ませることはできないのだ。


「押し付けた手前、我も食料周りは協力するが、あまり期待はせんでくれ。そもそも、伝手が魔界と天界にしかないから、人間の口に合うかどうかが分からん」


「スライムは止めておくのじゃ。あれはゲロマズじゃからな」


「ふむ、やはりあれは人間の口には合わんか」


 プリムの助言を受け、なるほどとうなずく自称ルシファー。


 そのまま話がそれそうになったのを察したレベッカが、慌てて口を挟む。


「それで、今回の件は一体何が原因だったのですか?」


「詳細は聞かんほうがいい類のものだから伏せるが、平たく言うと部下の部下が弱った神にいらんちょっかいを出して、相手の権能を暴発させてなあ」


「それはまた、深く掘るとろくでもない話が出て来そうですね……」


「そういう事だ。で、そのあたりの処理の押し付け合いに負けた我が出てきた訳だが……」


「それはそれは、ご苦労様です」


 どこまでも背中が煤けている自称ルシファーに対し、心の底から労いの言葉をかけるレベッカ。


 そんなレベッカを、思わず胡乱な目で見てしまう自称ルシファー。


「……一応、我と貴様は立場上敵対しておるはずだが、そんな相手のことをあっさり信じた挙句にねぎらいの言葉をかけていいのか?」


「組織としては敵対しているのかもしれませんが、私個人はあなたから特に被害を受けた訳ではないので、ぶっちゃけどうでもいいです」


「一秒たりとも同じ空気は吸いたくない、とばかりに殴りかかられるのも鬱陶しいが、それはそれでどうなのかと思うぞ……」


「現状何もしていない相手に勝てもしないのに玉砕するのは、そういうのが好きな熱心な方にお任せします。正直、私は頼まれごとと降り懸かる火の粉を払うことと毎日の食事で手いっぱいで、実力以上のことをやる余裕はありません」


 聖女の肩書を持っているシスターがそれでいいのかと突っ込みたくなるようなことを、大真面目に宣言するレベッカ。


 言うまでもないことだが、一番比重が高いのは食事である。


「……なあ、プリムフォードよ」


「なんじゃ?」


「どうにもこいつとは顔を合わす頻度はともかく、付き合い自体は世紀単位で長くなりそうな気がするのだが、どう思う?」


「あり得ないとは言い切れんのう。こやつの聖痕、アンチエイジングとついた強化項目がやたらと沢山あったし」


「やはりか……」


 プリムの言葉に、深いため息をつく自称ルシファー。


 ちなみに、プリムがレベッカの聖痕のスキルツリーの内容を知っている理由は簡単で、本人から教えてもらったからである。


「まあ、あまり長居するといろいろ面倒だから、今日のところは引き上げる。またそのうち詫びも兼ねた手土産を持ってくるが、面倒を避けるつもりだから最低でもアリスとその次が終わるぐらいまでは顔を出すことは無かろう」


「こちらとしても、世界的に有名な悪魔だの堕天使だのがあまり頻繁にちょろちょろ出てこられてはかなわん」


「そうですね。正直、詫びだのなんだのはどうでもいいので、魔界なりなんなりでおとなしくしていただくか、人間が手出しできないところの処理を進めていただくのが一番ありがたいです」


「だよねえ。今回は大丈夫そうだけど、シスターが擦り付けられた案件だけとも思えないから、うちの関係者が動かずに済むようにきっちり潰しておいてよ」


「言われるまでもない。その場合、動くのが一番穏当なところで綾瀬天音だ。ろくなことにならん」


 そう言って、もう一度ため息をついて、挨拶もせずに姿を消す自称ルシファー。


 それを見送ってから、プリムと美優に視線を向けるレベッカ。


「それで、実力的には本物と遜色ない感じですが、あの方は本物のルシファーなのでしょうか?」


「うむ。正真正銘本物じゃ」


「多分、本物であってるとは思うよ。残念ながら、ボク自身はその手の能力無いから、今までちょくちょく超大物に会ってきた経験でしか判定できないけど」


 レベッカの確認に、あまりうれしくない答えを返すプリムと美優。


 もうすぐクリスマスだというのに、互いにとってあまりうれしくない縁ができてしまうレベッカであった。

なんかすごい大物が出てきてますが、ちゃんと本物です。


なお、本文中でもちょっと触れましたが、撲殺まで進んでる相手は基本的に、聖痕解放時の神気バラマキおよび継続的な聖属性ダメージに耐えられる存在、もしくはそもそも聖属性そのものではダメージを受けない存在のどちらかとなります。


後、ギャグキャラなので強い印象がない理事長ですが、非常に面倒くさい条件を満たしてフルパワーを開放すれば、ルシファーとどつきあえる程度には強い、つまり本来は聖女様より圧倒的に格上です。

なぜそんなのが野放しにされているのかについては、普段を見て納得してください(待て


次回のアリスまでは完成しているものの、その先のネタが決まってません。

というわけで、この種のテンプレがあっていじりやすい昔話系のネタで現時点で本作では使われていないものを募集させていただきます。

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― 新着の感想 ―
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