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第9話 春風双葉は誘いたい!

新キャラ登場です!

 微妙な結果に終わったテスト。赤点は一つと補習祭りになることはなかったが、赤点連続記録は依然更新中だ。これで七連続となっている。

 期末であれば追試があり合格点を越えなければ補習となるが、中間の場合は即補習となる。ただ、期末の補習は数日間の授業形式の補習だが、中間の場合は課題のプリントをするだけだ。

 そのため、一日だけ放課後に残って勉強した以外は通常通りの学校生活に戻っていた。


 十一月も中旬となり、一層肌寒さが増している。

 十月はシャツの上にブレザーかカーディガンのどちらかを着ている生徒が多かったが、この時期にもなれば両方とも着ている生徒がほとんどだ。

 ブレザーからカーディガンが僅かに見える。丈の長さを考えれば当たり前だ。

 しかし、この子はそれどころか手のほとんどがカーディガンで隠れていた。

「先輩! なんで最近会ってくれないんですかー!」

 昼休み。昼食後にトイレに行って教室に戻ろうというところに教室前で捕まった。

 突然現れては文句をつけてくる彼女めんどくさそうに返した。

「会う約束なんてしてないからな」

 約束を破ったわけでもない。そもそも約束をしていないのだから。

 ただ、言われてみればここ一ヶ月ほどは見かけることはあっても会話した記憶がない。

「約束してなくても、一日に一回くらい可愛い後輩の顔が見たくならないんですか!?」

「ならないな」

 可愛い後輩というのは間違いないが、学年が違えば会いに行くのははばかれる。

 そもそも、わざわざ会いに行きたいというわけでもない。

「そんなに会いたかったならそっちから会いに来れば良いじゃん。連絡先も知ってるんだからメッセージでも良いし」

「ぐぬぬ……」

 悔しそうな表情を浮かべる彼女。

 俺に悪いところなんて一つもないのだが、彼女は暴論を発した。

「私が会いたいんじゃないですよ! せ・ん・ぱ・い・が・会いたいんですよ!」

「別に会いたいわけじゃないんだけどなぁ……」

 彼女はどうやら『自分が』ということを認めたくないらしい。

「だからわざわざ私の方から会いに来てあげたんですよ!」

 俺の意見を無視してドヤ顔で彼女はふんぞり返っている。厚着となっている制服越しでさらに控えめに見える胸を強調させるようなポーズだ。


 彼女の名前は春風双葉。

 高校では部活に入っていないため、関わりのある後輩はほとんどできていない。この双葉は中学生の頃からの後輩だ。

 勉強の方は俺よりも残念だが、可愛らしい見た目と明るい性格で人気者。

 明るいのが度を越して俺としてはうざったい部分もあるが、それも慕ってくれているからこそだと好意的に考えていた。


「せんぱーい。またバスケ教えてくださいよー」

「馬鹿言うなって。双葉の方がうまいだろ」

 一つ年下の双葉は、同じ中学校でバスケ部に所属していた。最初こそ上手くなれずに放課後に自主練をしている時に俺が基礎を教えていた。

 俺自身がそこまで上手いわけでもなく、人数が少なかったためにレギュラーだったというくらいなので、シュートやドリブルの基礎を教えたくらいだった。

 しかし双葉はメキメキと実力を伸ばし、中学三年生……つまり去年は県選抜に選ばれて活躍していた。

 それに加えて、女子バスケが強豪のこの桐ヶ崎高校でも一年生ながらレギュラーに選ばれている。

 そんな選手に平凡で、しかもすでにバスケを辞めている俺が教えられることなんてなかった。

「私、先輩のこと尊敬してて大好きなんですよー?」

「あー、はいはい」

 軽い口ぶりの双葉を適当にあしらう。

 中学生の頃から『好きです!』とか『愛してますー』なんて冗談を言うものだから最初こそはドギマギしたものの、もうすでに慣れていた。

「本気なのにー」

 そう言いながらも半笑いの双葉の口から出る言葉は冗談にしか聞こえない。

 冗談を言う双葉とそれをあしらう俺。会話が続くが、長々と話しすぎては待たせている虎徹に悪いと思い開いている教室の扉から様子を伺う。ちょうど虎徹と目が合うと、虎徹は『気にするな』とジェスチャーをすると、イヤホンを耳に挿して携帯をいじり始めた。

 せっかくなので、久しぶりに会いに来てくれた後輩の相手でもしてあげよう。

「先輩は今度の日曜日空いてますかー?」

「あいにく予定が入ってる。土曜日なら空いてるんだけどなぁ……」

 予定というのは虎徹と目的もなく駄弁ることだが、俺はよほどのことがなければ先約を優先する。

 よほど遊びたいのか、双葉は「むむむ……」と難しい顔をしていた。

 最近まで大会があったこともあって息抜きができていないのだろう。まとまった日程ではなく毎週末に一月程かけて行う大会だったため、勝ち進んだ女子バスケ部は練習三昧だったはずだ。

 俺は溜息と同時に言葉を吐いた。

「また予定が空いてる時に声かけるよ」

 可愛い……とは言わないが、慕ってくれる後輩のお願いだ。頑張っている後輩のわがままも、少しくらい聞いてあげてもバチは当たらないだろう。

 俺の言葉に双葉は明るい表情を見せた。

「本当ですか!? 観たい映画があるんですよ!」

 双葉が見たいと言った映画のタイトルは、人気小説が実写化したものだった。話の内容は女子がいかにも好きそうなラブストーリーだ。

 その映画は最近公開したもののため、多少であれば遅くとも観れるだろう。

「また連絡するよ」

「はい、待ってます! デート楽しみです!」

「デートじゃないからな?」

 今までも何度か一緒に遊びに行くことはあったが、その度に双葉は『デート』と言っていた。

 確かに男女が一緒に遊べばデートかもしれないが、ただの先輩後輩という間柄のためデートと呼んでいいものかは悩ましいところだ。

 話が一区切りついたところでちょうど予鈴が鳴る。授業が始まるのは五分後のため、そろそろ準備をしなくてはならない。

「じゃあ、私は戻ります。楽しみにしてますね!」

 双葉はそう言うと、元気に手を振りながら去って行った。

 俺は双葉が見えなくなったのを確認すると、授業の準備をするために教室へと戻った。

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