象徴詩『旧分類垂直迷路』
迷路は創り
その中心は瑠璃鏡の小さい匣
今や迷いの外に歩く
厭性の眼が
碧翠の丘陵を乱獲し
遠隔の掌が
苹石を砕き嵐顆舞う
這い潜り垂直する廃思坑
曝露し弑する反応妨害治療法
カトラリーの沈む浴槽に
死体のように目醒める
揺れるスカートの襞
自己転移する饕餮皮紙に
豺狼の徘徊と気狂いの詩人
亀裂した水塔
クレマチス
神経コイルの歪む哀音で歌う
神外の手に摑む競売罌粟に
唖透明水彩と金泥の静寂
凝固した水面
鎖の巣
神経コイルの歪む暗い音で歌う
リュシアン・ルロンの香水壜
回帰分析に回される因子
レジン千切れた青眼の小瓶
飼い慣らす鳥獣の混魄児
陰極管に展示する台座の機械孔雀
黒色硝子は置時計に佇む天秤に乗る
双頭を蝕む
生える前の氷芽
インカンテーション溺死の傀儡耗弱
酷薄鴉に熾融け意に唯棲む天変を凌ぐ
想念で蝕む
生えた後の憑依
迷路は創り
今や迷路の外にあり
青く照らされる匣
カトラリーの沈む浴槽に
冷えた死体のように目醒める
揺れる葉の眩しさ