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閑話
ラザス達が宿で話し合いをしていた同時刻・とある屋敷にて──……
「報告せよ」
「……メンバーの中の一名、対象を確認した」
薄暗い部屋に2人の人影があった。
1人はぶくぶくと太り、禿げた頭の中年の男。
もう1人は全身を黒のローブで覆い、目元だけを覗かせた者。
格好のせいで性別は分からないが、声のお陰で、男ということだけは確認できる。
「ほぉ! やはり見間違いではなかったか! ん? 待てよ、ということは奴も居るのか……」
「……SSランク冒険者、ラザスか」
「あの若造さえ邪魔しなければ儂が今頃あの娘を……!!」
「……」
「でじゃ、できそうか?」
「……分からない。相手が相手だ、失敗もありうる」
「ぐっ、必ず儂の下へ捕まえてまいれ……」
「……」
男がそう言うと黒ずくめの男は何も言わず席を立ち部屋を出て行った。
「くくく、たっぷりと可愛がってやるからな。もちろん、儂の性奴隷としてだがな…… はっはっはっはっはっ!!!」
1人になった部屋から聞いただけでも相手を不快にし、鳥肌を立たせ吐き気を催させるようなネットリとした声が屋敷に響いた。