#37
道中のネタに詰まりましたが何とか書き上げました。
おかげさまで40話超えました!
こんなに早く40話いくとは思いませんでした。
「冒険者のラザスだ、よろしく」
「エレーナですっ」
「サラノです。さっきはすいませんでした……」
「あ! いえいえ! 大丈夫ですよ! 私の格好も怪しかったですし間違えても仕方ありません」
「はい…」
「あはは…、私の名前はナーシャです! 15歳で冒険者やってます! これからよろしくお願いします」
「ん。じゃあ、出発しようか、えーっと。ナーシャは御者の経験はあるか? あるならサラノ、エレーナ、俺、ナーシャの順でいくが」
「はい! ありますよ! パーティー組んでいた時に何回かしました」
「そうか、ならいまの順で2時間毎に交代だ。時間まで俺は寝るから、何かあったら起こしてくれ」
「「「はい」」」
「じゃ、おやすみ」
荷台に乗り込み下に布を敷いて横になり意識を手放す。
*** side サラノ
「あら? どうしたんですかエレーナ?」
御者台で1人で景色を見ながら座ってるとエレーナが来ました。
どうしたんでしょう?
「ずっと荷台に乗ってると酔いそうなのでっ」
そういえば以前、町を出る前に酔いやすいとか言ってましたね。
酔い止めを買っといた方が良かったでしょうか…。
「お話しでもどうですかっ?」
「そうですね、私も少し退屈だったので」
「サラノはどこの出身なんですか? 私は人族のマラソ村というとこですっ」
「私は、里ですね。父も母も純血種の狐族ですので、一族は皆里暮らしです」
「いつか私も行ってみたいですねー、同族達だけが住んでいる私達獣人の里。あっ、人族に不満があるとかではないんですけどねっ」
「ふふ、分かりますよ、その気持ち。私の場合は里から出て外の世界を見たいとずっと思っていました。まぁ、奴隷としてですが出られましたけどね」
「あ……、その、こんなこと聞くのは、悪いかもしれませんが……、サラノは、どうして奴隷になったんですか…?」
あら、そういえば言ったことがなかったですね。別に隠すことでもないので構いませんが。
「私は、借金ですね。両親の借金が返せず私が売られたんです。そしてオークションに出されるためにコルスの町まで売られにきました。最初は仕方無いと思いながらも段々と売られる日が近付くにつれて怖くなってきて、同時に両親にも怒りを覚えました。なんで私が売られないといけないんだ、って。」
「………」
「そしてオークション当日。私の番が来ました。色んな人からの舐め回すようなとても不快な視線が気持ち悪くて、とても怖かったですね。その中で最後まで残ったのが肥えた貴族らしき方とご主人様でした。私は奴隷なんてどうせ酷く扱われると思ってどちらでも良かったですが。結局買われたのはご主人様でした。裏に連れられて契約の時、これで私は本当の意味で奴隷になっと思いました。そしたらご主人様が『お前を奴隷として扱うつもりはない』って言われて、それにエレーナまで」
「あははは…」
「ふふふ、とても嬉しかったですよ。でも、本音を言えば最初は信じられませんでしたけどね。男の人は奴隷を物みたいに扱うと聞いていたので。だから、とても嬉しかったです。2人とも私に同じように、奴隷じゃなくて普通の人として接してくれたのが。あの時どちらでも良いとか思ってましたが、今思うとゾッとしますね。もし買われてたらと思うと。いつの間にか両親に対する怒りも消えていましたし。本当に幸せです。これで私の話は終わりですね」
「さぁ、次はエレーナの番ですよ。ご主人様とどういう出会いをしたのかとか、どこを好きになったのか、全部話してもらいますよ」
「ふぇええ!? む、無理ですっ! 恥ずかしいですよ!」
「私も話したのです。対価を求めます」
「うっ!? うぅ……」
「もっと恥ずかしいことしたじゃないですか、あんな事やこんな事とか、もっと言いますよ? 嫌なら、さぁ! ご主人様のどこを好きなのか言うのです!」
「話すから言わないでください〜!!」
「それで良いのです」
「私が、好きなのは、ですね…まず……」
(たまにはこんな会話も、悪くないですね)
ふふ、と小さく微笑みが漏れるが、話に夢中になっているエレーナがそれに気付く事はなかった。
結局エレーナのラザス話は1時間以上に渡り話続けられ、途中からナーシャも混ざったガールズトークになり少女達の明るい笑い声がしばらくの間響き続けた。