#35 盗賊少女ナーシャ
ミアからナーシャに変更しました。
「ん、んん……」
「よっ、起きたか、飯できるぞ」
「えっ。……え? え? な、に? 何で…」
「何だ、食わないのか?」
「何で……貴方が…」
「あー、まぁ、あのまま他の奴らみたいに木に縛り付けて放置でも良かったんだが……」
「はっ!? わ、私を、私を犯すんですね!! オークみたいに、オークみたいに!!!」
……なんだこいつ
「んなわけねぇだろ馬鹿、お前の頭どうなってやがる」
「男なんて頭の中年がら年中発情期じゃないんですか? 私から離れて下さい! このケダモノ!」
閉ざしたい、あのお口。
「あら? 起きたんですね」
「へ? お、女の人……は!? まさかこの人まで……やっぱりオークみたいにムググ!?」
やっぱり放置してくれば良かった……。 大人しそうな美少女かと思ったら違った…、土台から全部ブチ壊された。
「まぁ、もう仲良くなったんですね」
違う、違うんだ。コイツ頭の中おかしいんだ。
「あっ、おはようございますっ」
「はっ!? ふ、2人目!? まさか…3ピウグゥッ!?」
「むー!むぅー!」
「ちょっと、黙ってようかお嬢ちゃん」
「ら、ラザス様、え、笑顔が、笑顔じゃないです……」
おお、エレーナの苦笑い、初めて見た気がする。
「んー!んー!!!」
「チッ」
「……ぷはっ! し、死ぬかと思いました! 何するんですか! あなた頭おかしいんじゃないんですか!?」
お前には言われたくないがな。
「ラザス様…これは……」
「いや、コイツが勝手に騒いでんだ。多分起きたばかりで混乱してるんだろ」
「なっ!? あなたがムグウ!?」
「さ、飯にしようか」
「「は、はい」」
脇に少女を口を塞いだまま担いで朝食へ向かう。
多分俺は上手く笑えてなかったと思う。
***
「さて、何でお前は盗賊なんてやってたんだ?」
朝食後、皆で集まり聞こうと思っていた事を盗賊少女――ナーシャに問いただす。
「………」
「黙秘ですか……」
うーん、言わないんじゃなぁ……、無理矢理にってわけにもいかないし。
「少しで良いので話してくれませんか? 何で貴女のような子が盗賊なんか……」
「………」
サラノも聞くがやはり答えてはくれない。どうしたこっちゃ……。
「貴女、孤児、ですか?」
「っ!?」
「やっぱり……」
孤児? 親が居ないのか…? 反応的には当たってるっぽいが…… 孤児院とかあるんじゃ…
「話してはくれませんか? 私達に、貴女が盗賊になった理由を」
「……私は…」
「私は……」
ナーシャは先程のような感じでは無く真剣な、けれどどこか悲しそうな表情でポツポツと、ゆっくりと話し始めた。
「私は、6歳の時まで……両親と妹と一緒に暮らしていました。お母さんは家で家事をして、私と4歳の妹はその手伝いをして、お父さんは、ハンターをしていたので、狩りをして……それで、帰って来たら皆でおかえりして…ご飯食べて、皆で寝て…また起きて……四人で、裕福では無かったけど、しあわせでした…とても、幸せ、だったんです……。けど、ある日村が…盗賊に襲われて、父さんは村の男の人達と追い返すって、それで私と妹は、床下に隠れて、お母さんは大丈夫だからって言って、それで、でもお父さんは戻ってこなくて……そしたら盗賊の人達が家に来て……うぅっ、お母さんを…ひっぐ、うっう、私、助け、助けようと、して、ひっぐ……でも、見つかって妹と一緒に、うっ、ぐ、捕まって、しまって…う、ぐ……そして」
「お、おい、もう、無理して話さなくても良いから、落ち着いて……」
「ひっぐ、うっうぅっ……」
「大丈夫ですよ、落ち着いて」
エレーナがナーシャを優しく抱き締めて頭を撫でながら優しい口調で宥める。
「あ…うう、ひっぐ、うぐ…」
これは、エレーナに任せよう……。
そっと立ち上がり離れる。サラノもそれにソッと付いてくる。
「まさかあんな過去が……悪い事をしてしまいました…」
「まぁ……、今はエレーナに任せよう。多分、大丈夫だ」
「はい……」