#34 盗賊の少女
「ヤバイな……早くどうにかしないと…」
………。
まず服を脱がして下着替えさせるか……っていやいやいや、どうしてそうなる! 思考が完全に変態のソレじゃないか! 落ち着け俺! それこそそんな場面見られたら終わりじゃねえか!
いや、でもこれはやましい気持ちでやるんじゃないし…… うん。邪な気持ちは無い。
「まずはアイテムボックスから服を……よし」
少女の腰を左手で少し持ち上げ、支えながら下の衣服を脱がそうとする。
(あれ? 俺これやってること犯罪じゃね?)
いくら見ないようにしているとは言えこの絵面はマズイ。
「早く終わらせよ… よい、しょと」
「「何を早く終わらせるんですか?」」
「くぁwせdrftgyふじこlp!?!?!?」
***
「……ということなんですはい」
「それならそうと言ってくだされば良かったのに」
「そうですよっ、ラザス様が少女を強姦しようとしているのかと思いました。そういう事は私たちにしてください」
エレーナのは無視で。
サラノさんよ。言ってました。1時間近くずっと言ってたよ俺。それはもう必死に。俺は勘違いだと、周りに他の盗賊も居るから、見てくれ、確認してくれと。けどお前らが……あぁ…ダメだ、さっきのは忘れよう……。
感想は唯々怖かったの一言。
そして俺は心に誓った。
『今後2人を怒らせたらまず背後を取られないように壁を背にしてケツを守る』
まさかあんなもん持っていたとは……真っ二つに折った時の2人の絶望した顔ときたらもう……。
アレを何も知らずに夜の情事の時に使われてたらと思うとゾッとしたわ。
本当どこで買ったのだろうか……。
俺のバージンは例えハーレムのメンバーだろうと絶対に渡さん。
「で、どうするよ、この娘」
「そうですね、盗賊とはいっても、やはり森の中で放置するわけにはいきませんしね……」
「うーん……」
俺、エレーナ、サラノの目の前には今だ気絶したままの服を着替えた盗賊の少女が。場所を移し今は俺達が野営しているとこまで戻して寝床に横にして寝かせている。
焚き火の火にあてられて先程よりハッキリと確認できる少女の顔。紫がかった黒髪のセミロングで、目は閉じているので分からないが、まつ毛はクリンとしていて、ほんのりピンク色をしているぷくっとした唇と頬。
寝顔しか見ていないが、かなりの美少女だった。
3人共同じ事を思っただろう。
『何でこんな娘が盗賊を?』
この容姿ならあの盗賊達に襲われていてもおかしくない。というより絶対襲わてるだろ……。というくらい可愛かった。
サラノとエレーナの2人が着替えさせてその間俺は五人の盗賊をロープで縛って、木に括り付けてきた。ちなみに全員男だった。
「…………」
「何だエレーナ?」
さっきからエレーナが何かを言いたそうな顔で俺の顔、目をじっと見てくる。
「いえ、ただ……この娘はどうなるのかなと思って…」
あぁ、まあ普通町とかでギルドやら警備隊やらに渡すのが当たり前だわな。
「盗賊だし、やっぱり引き渡すしか」
「そう、ですよね……」
あー、アレは完全に同情してるな。無理矢理盗賊に捕まってやらされてるとか思ってるんだろうなー…… けど、こいつはあの時完全に俺を殺す気で斬り掛かって来た。一切の躊躇い無くだ。
無理矢理やらされているにしても怪し過ぎる。格好なんて特にだし。まるで自分の性別を隠すような、そんな格好だった。普通これくらいの少女が同じ人間に躊躇なく剣を振るうなんて有り得ない。
故に、有り得ない行動の理由が何かあるのだろう。剣の腕はめちゃめちゃだったが。
まぁそれは起きたら聞くとして。
「とりあえず、まだ時間あるから2人は寝て休め。途中で起こしてしまったし、俺が見張り続けるから」
「でも……」
「エレーナ、この娘が気を失ってる今、できる事は何もありません。体力を無駄に使うだけです。休める時に休まないと」
おぉ、さすが姉。
「わかりました…ラザス様、お願いしますねっ」
「ん、おやすみ」
「「おやすみなさい」」
(はぁー、どうするかねー)