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#33 野営と盗賊

「おはようございますっ」


「おう、おはよう」


「おはようエレーナ」


「じゃあ、俺後ろで休むから、後頼んだ」


「はいっ」


「わかりました」


「「おやすみなさい」」


休む理由殆どお前のせいだから、エロ狐。



「ん…くぁああぁぁ…眠」


「あっ、おはようございます。丁度夕飯ですよっ」


「マジで!? ……7時か、4時間も寝てたのか」


「私とサラノで会話しながら一緒に交代でしたので気にしなくて大丈夫ですよっ。それに、昨日は沢山したので……」


違う、違うんだエレーナ! お前の後ろで視線を逸らしているあの狐娘のせいだ!お前は悪くないんだ。後ろで気まずそうにしているヤツが悪いんだ!


って言いたいとこだが次はエレーナの相手、そうなったら流れからサラノも一緒に相手をする事態になりそうなので言わない。


「ありがとな」


「えへへ……」


エレーナは頭をクシャクシャと撫でると目を細め気持ちよさそうに顔を緩める。


(お前は罰だ)


エレーナの後ろから物欲しそうに此方を見ていた狐が居たが無視した。




「じゃ、見張りは俺がするから、おやすみ」


「おやすみなさいですっ」


「お願いしますね」


夜11時。夕食を食べ談笑していた俺たちは時間も時間なので就寝することにした。馬車で寝てたので全然眠くない。


てことで、夜の見張りは俺が引き受けた。枝や落ち葉を集めて火を焚いて、その周りに買っていた布を数枚広げるように轢いて寝床を作っている。


10分もすると2人の方から規則正しい寝息が聞こえてきた。


寝付きが良いな。


俺もっと時間掛かる自信あるわ。




「……結構、暇だな」


3時間ほど経ったが特に何もなかった。たまに焚き火に枝と葉を放り込むくらいしかする事がない。


(寝顔、見るか)


どれどれ、おぉ、お…毛布代わりの布被って寝てやがった。


(剥がしたら、起きるよな……)


寝ているのを起こすのも悪いので諦めて元の場所に戻り、頭の下に腕を組み背中から地面に寝転がる。


「すげぇな……」


ふと空を見れば夜の闇に小さく輝く幾つもの点がある。さらに月に照らされた夜空が薄く光りとても幻想的な雰囲気を醸し出していた。目を閉じて意識を周りに巡らすと虫の鳴き声や木々が擦れる音、そして……こちらに近付いてくる無数の怪しい気配。


(敵か……? 魔物か唯の獣か、どっちだ…あー、いや、盗賊のパターンも…群れているということは、獣か盗賊か)


まぁ、盗賊だろうなー。


2人を起こさないようにちゃちゃっと片付けますかね。



***



(40mくらいか…… 6人、ね。夜の闇に紛れて()ろうって魂胆だろうが、逆にこっちが利用してやる)


相手は前衛に3人、後衛に3人が広がるように全員が一定の距離を取って森の中を進んでいるのでそれを逆手にとり闇に紛れて1人ずつ仕留める。


「……むぐ!?」


(1人目)


盗賊の背後に回り込み一人目の口を背後から塞ぎ意識を刈り取る。そして2人目に近付き同じように意識を刈り取る。


「むぐぐ……! ぐ……ぅ…」


(3人目…後は前衛の3人だな)




「グッ!?」


(やべ! ミスった!)


4人目の奴が声を漏らしてしまい近くにいた仲間にバレてしまった。


「おい! どうした!?」


ゴツいな……コイツが頭か?


現れたのは身長2mはある巨体に頭にバンダナを巻いて一本の長剣を持った男だった。


「っ!? 誰だお前!?」


「この先に居た者です。まぁ、お前達が襲おうとしてた者の1人です」


「なっ、他の三人はどうした?」


「さあ?」


「てめぇ…… 死ねぇ!」


おぉ、盗賊にも仲間意識とかあんのか。


「くだらね」


「がっ!? こ、の「はいっと」…ガ……」


ふぅ、これで五人。意外と呆気ないな。


後は――。


「よっと危ねえ」


背後から近付いて来ていた最後の1人が振り下ろしてきた剣を躱す。


「はぁ!」


「ほいっと」


「うぁあ!?」


2撃目の剣を躱して足を引っ掛けて転ばす。


「お前が最後だ」


「ひっ…… い、嫌……た、助けて…」


忍者のような黒装束を着た盗賊が地面に尻餅を付いた状態でこちらを見上げたまま怯えて………漏らしやがった…


「あ、あぁぁ………」


顔は黒い布で覆われているので分からないが恐らく恥ずかしさで顔真っ赤にしてんだろうな……可哀想に…


「まぁ、とりあえず気絶させるだけだから」


「ひっ、来ない、で……!」


「いや、んなこと言われても、まぁ悪く思うな」


コイツ、なんかおかしいな……妙に声が高いような…


「じゃ、ドー「いやぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」うぉおおお!!?」


な、何だ!? 目の前まで近付いた瞬間甲高い悲鳴をあげて、気を失った……。


コイツ、まさか……


「女…だと…」


顔の布を外すとそこには15歳程の少女がいた。暗くてよく見えないがショートカットの髪。顔は中々に整っている。


「なんでこんな少女が…?」


「あっ、どうしよ、これ……」


目の前には気を失い失禁している少女。衣服も若干乱れ危ない格好、先程の悲鳴。


想像してみよう。


悲鳴で2人起きる

見つかる

2人は盗賊に襲撃されそうになったことなど何も知らない。

衣服が乱れさらに失禁までしている少女、おまけに悲鳴。


うん。


確実に勘違いされんな。




「……俺が襲ったみたいじゃねえか!!!」

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