表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/52

#32 道中暇です。

「今回は本当に助かった……!!! もし村に来る事があったら是非寄ってくれ! その時は村を挙げて歓迎しよう!」


「ラザスさん、本当にありがとうございました。もし寄るなら必ず寄ってくださいね!」


翌朝の昼。


俺、エレーナ、サラノの三人は村の入り口へ集まっていた。ラーツにラナ、他の村人達も見送りに来てくれている。


「ああ、是非寄らせてもらうよ」


「ああ! 本当にありがとうな! じゃあな!」


「えいや!」


「ぬお!?」


「……ふふ、ありがとうございました! またいつか会いましょうね!」


ラナが最後に抱き付いて来たのでビックリした……後ろの2人の笑顔が怖いのです…


「ああ、またな」


俺は馬車の御者台へと乗り馬車を出す。


「「「さようならー!」」」


こちらが見えなくなるまで村人達が手を振って見送ってくれた。良い人達だ。



***



「くぁ〜っ、あー、眠……」


昨日は朝方までエレーナとサラノの相手をしていたので寝不足で眠い…… 交代まで後40分か…。


「2人は何してんだろうか……」


ふと気になり御者台から荷台の布を捲り中を覗く。


「寝てるのか……」


エレーナとサラノが荷台の床に薄い布ような布団を敷いて寝ていた。


うん。女性が仲良さそうに一緒に並んで昼寝か……良いね!




「おはようございます。ご主人様」


交代の時間になると荷台からサラノが出てきた。


「おはよう、まだ寝てて良いぞ? 俺やっとくから」


先程まで強烈な睡魔に襲われていたが、何とか耐えていたらいつの間にか消えてた。限界超えたら眠気が飛んだ。


(これが限界突破じゃぁぁあああ!!!)


(やかましいわ)


「!?」


「どうしたんですか? ご主人様」


「い、いや、なんでもない。俺もう眠くないから一緒に居るわ」


「!!! では、失礼しますね」


「……ここ?」


「はい。ダメですか?」


「いえ、全然。寧ろウェルカム」


「そうですか」


そう言ってサラノはクスクスと笑う。


隣ではなく俺の膝の上に座ったサラノ。温かくて柔らかい感触とモフモフフサフサの尻尾が目の前に…… あ、狐耳がピクピクめっちゃ動いてるわ。


「む」


「ふぁ!? い、いきなり触らないでください! デリケートなとこなんですよ!」


「お、おう、ごめん」


怒られた……


「い、いきなり触るのがダメなんです。もう大丈夫ですよ」


「ん」


「んん、ふふ、くすぐったいです」


顔は見えないがニコニコしてるんだろうなー…… いやいや、してなかったら俺只の思い込み野郎じゃん。うわ、これは無しだわ。


……走ってハルバーツまで行きたい…旅と言えば馬車とか言った馬鹿は誰だ。


「んっ、あ、の…ご主人、様…手つきが……ふあ…」


「おお!? す、すまん」


「あっ、うう、うぅぅう!」


「ちょ、い、痛い痛い! 顔に後頭部擦り付けんな! 口で言え口で!」


「嫌とは言ってないです。やめないでください」


あぁ……サラノまで…


「ご主人様、人は変わるんです」


説得力あるわー……。


あと心読むな。


「付け根のとこお願いします……んー、ふふふ、上手ですよ」


……あれ? なんかおかしくない?


「付け根のとこも撫でてください……」


「………」


「ん、んんっ!」


「サラノ?」


「なんでしょう?」


「なぜ前後に動かしてるのでしょうか……」


「さあ? なんででしょう」


あれ? 俺主人……あれ?


「さて……俺はちょっと休むんで膝から降り「昨日」……へい」


「私が途中で気を失った後も、続けてましたよね? それも朝方まで」


「あい……」


ああ、要するに――。


「私にも続きをすることを求めます」


ですよね。


「いや、でもあれは気を失ってたから仕方が無いというか……」


「大丈夫ですよ。遠慮しないでください。私が動きますから」


「ぬぉお!? ズボンを脱がすなぁぁああ!」


「まぁまぁまぁまぁ……」


何がまぁまぁまぁまぁだよ! どこ見て言ってやがる!


「えぇい! やめんかこのエロ狐め!」


「えいっ」


「ちょっ、後ろエレーナが「大丈夫ですよ」…待っ――」


「ん、んー……あはっ、はいっちゃいました。逃げ場無しですねご主人様」


こ、こいつ、なんて顔で言いやがる……。


「ぐ、この、次はお前かぁぁあああ!」




それから1時間、街道に押し殺したような甘い息が静かに響き続けた。その間馬車は小刻みに揺れ軋み続けた。






しっぽり。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ