#30
ちょっと過激な描写が出ます。
ので、苦手な方はこの話はあまり重要では無いので飛ばしてもらっても大丈夫です。
ではでは、よろしくお願いします!
突然だが今の俺の状況を1から説明しよう。
あの後俺達はおっさん達と一緒に村へ行った。他の村の女性達は最後に軽く握手して村から来た迎えの者達と共に去って行った。残った村に住む女性達も各々の家族や友人と再会の涙を交わし帰宅して行った。
俺はラナの父親のおっさん、ラーツと共に村長宅に顔見せに行った。今晩は俺へのお礼の印として村全体で宴会をする事になった。一応断ったのだがどうか、ということで受ける事にした。
俺は村へ泊まる事になったので、既に到着しているエレーナとサラノに会いに俺達が泊まる宿へ来て部屋へ向かった。
と、ココまでは良かったんだ。
地獄はここからだった。
「「…………」」
俺の目の前には絶対零度の視線で俺を見下ろしているエレーナとサラノ。
顔は笑っているが目が全然笑っていない。
部屋へ入った俺に気付いた2人は顔をパアッと輝かせ2人は尻尾を振りながら近付いてきた。だが――一歩エレーナとサラノが足を出して固まったかのように止まったのだ。だから俺は心配して声を掛けた。
『どうしたんだ? いきなり固まって』
瞬間ブワッっと全身から汗が噴き出た。これは……途轍もない威圧感…。いつもはとても可愛らしく綺麗な笑顔が悪魔の笑みに見えた。
そこから俺はその場で正座の体制で床に座った。
「「…………」」
2人が怒っているのは大体予想が付く、というかアレしかない。
ハグ事件。
助けた人達の中でも開放的な方々から熱烈なハグを頂いたのだ。
匂いだ。匂いでバレたのだ。
エレーナは犬の獣人なので鼻が良い。サラノも狐の獣人でエレーナと同じイヌ科なので鼻はエレーナ程じゃないがかなり良い。
故にバレたのだ。
女性の匂いを全身にベッタリ付けていることが。
女性と匂いがベッタリ付く程接近し体に抱き着かれた事など全てが。
バレたのだ。
「あの、ワザとじゃないんです……ちょっと握手してくれって言われて…」
「ご主人様の握手は抱き着く事を言うのですね」
笑顔でサラノが言ってくる。だが目は笑っていない。
「……」
エレーナも笑顔だが先程から何も言ってこない。無言なのが余計に怖い。まだサラノのように問い詰めてもらった方が気が楽だ。
あぁ、浮気した男って、こんな気持ちなのかな……してないけど分かる気がする。
「いや…俺もまさかあんな事になるとか思ってなくて……ヒィッ、すいません言い訳ですね。だから目も笑ってくださいマジで怖いです」
「……ふふ、サラノ、ちょっとこっちに」
「はい?」
エレーナは妖艶な笑みを浮かべ俺を一瞥してサラノを呼びベッドの方へ連れて行った。
不覚にも初めて見たエレーナの表情にドキリとしてしまった。
何やらサラノの耳に顔を近づけ小声で何か言ってるみたいだ。
「えぇ!? で、でも……」
驚いた反応をしてこちらをチラリと見てくるサラノ。エレーナが再度近付き耳打ちする。
「……分かりました」
それを聞いてエレーナはニコニコと笑っている。2人がこちらへ近付いて来た。
「な、何だ……?」
「ラザス様、椅子に座って腕を椅子の後ろへ回してください」
「…?」
何故? と思いながらも椅子へと移動し座る。
カシャン
シュルル
ギュッ。
…………。
「え?」
「ふふ、ラザス様はそこで見ていてください」
座った途端サラノに背後から手に手錠らしき物を掛けられてロープで上半身を縛られた。椅子ごとベッドの前へ移動させられた。
「え、エレーナ? な、何だこれは?」
エレーナは先程と同じような妖艶な笑みを浮かべサラノを連れてベットへ向かった。俺は訳が分からずに混乱する。
「「ラザス様(ご主人様)への罰です」」
そう言って二人はベッドへ入った。いつもなら間に俺が入るところが……。
「あったかいですねっ」
「はい」
その後2人は眠りについた。それはもう気持ち良さそうに。
「いつ外してくれんだ……」