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#29 オーク討伐 3ー3

「ここに集められてるのが全員か?」


そう言って裸の少女達から視線を逸らし周りの女性達に視線を送る。


「「「「「…………」」」」」


ふむ、困った。(だんま)りとは。


「ここに居るので全員か?」


もう一度聞くと今度はちゃんと反応してくれた。


「こ、ここに居るのが全員です……」


1番近くにいた20代前半くらいの人族の女性が応えてくれた。


「そうか、えーっと……あった」


アイテムボックスから買い溜めしておいたエレーナとサラノの服を裸になっている()達に渡す。


「「「あ、ありがとうございます……!」」」


お礼を言われたので小さく微笑み、次にその格好で居られるのも困るからな、と苦笑いで返す。


「さて、問題はどうやって脱出するか、か……」


チラリと捕らえられた人達を一瞥して思考する。


この数で見つからずに此処を抜けるは不可能だ。入り口はさっきオーク達が出た一箇所しか無い……確実にバレる。なら残る手段は戦い、村の人達を守りながらとなるが、その数が多過ぎる。


1人で40人近い人を守りながら戦うのは無理がある。戦っている途中で絶対他のオークが女性達を狙う筈だ。オーク達の数はざっと見た感じでも50を超えていた。


さらにそれだけの数だ。見張りをしてさらに建物の周りを護衛するオークも居た。オークの知能はかなり低く、本来そのような行動はしない。女は捕らえたら殆どの場合その場で犯すか自分の巣に持ち帰るの二つだ。


だがここのオーク共は捕らえた女を集め、さらにその周りに剣などを持たせた武装した見張りを置いていた。まるで知能が高い者に命令されたかの様にだ。


つまり――。


「統率者が居る……オークキングか」


【オークキング】


オークを率いるオークの王。その力は凄まじく、単体で中規模な村一つが簡単に滅ぶ程だ。多くて100〜200の群れを率いている。少なくても最低40〜80。


討伐ランクはA。その中でも中位に属している。1対1の戦いならそんなに苦も無く倒せるだろう。


だが今は状況が悪い。例えそれに手下オークがいてもなんの問題も無く倒せる。と思う。


だが今は村人達が居る。後ろに守るべき存在を、それもこんな大勢だ。


「とりあえ「ブガァァァァアアアアアアア!!!」……ッ!?」


「ひぅっ!?」


突然、大地を震えさせるような咆哮が響き渡った。


入り口の方を見ると他の個体よりも大きく巨大な大剣を肩に担ぎこっちらに殺気を飛ばしているオークが、アイツがキングか…… さらに手下らしきオークが5体、面倒なことに全員それぞれが剣と棍棒を持って武装している。


マズイな、入り口で止めないと。


入り口は一つ、そこにはオーク共の群れ、後ろには戦えない40近い人。背水の陣、か。


「後ろに下がってろ」


近くにいる人達に下がるように促す。


「あ……あ、の、腰が……」


1人の娘が腰を抜かして動けなくなり涙を流しながらオロオロしている。


「すまん……もし動けるようになったら自分で直ぐに後ろに下がれ」


今隙を見せると絶対に仕掛けてくる。


「は、はい……」


入り口で止めないとな……。


「さて、どうするか……」


「ブルァァァァアアアアアア!!!」


ゴウッ、という音と共にさっきとは比較にならない威圧感と殺気が飛んで来た。


「なるほど……王というだけはあるな。が、通さねえぞ」


手下が三体前へ出て突進して来たので神力を体と籠手に纏い瞬時に距離を詰める。


「フッ!」


「グゴァア!?」


「ガア!」


加速した勢いのまま籠手を装備した右ストレートを叩き込む。殴られたオークはそのまま吹き飛びオークキングの方へいったが見事に大剣で真っ二つにされた。


「グルァア!」


「……チッ」


真横から二体目が剣を上段から振り下ろして来たのでそれを上半身を後ろへ傾けて躱す。


「手下を使った様子見ってか、腹立つなー」


自分は後ろで見てて部下を使って少しでも力量を測ろうって魂胆か。非常に腹が立つ。


「……」


「グギャ!?」


「ブゥアァア!」


「……」


「ギャ…」


2体目、3体目と仕留めてオークキングへ仕掛ける。


「横着なことしやがって! フン!」


ゴアッ! という風を切る音を纏いながら籠手に神力を込め、右フックを繰り出す。


「ガァア!!!」


「ッ!? ォオア!!!」


見事に大剣で防がれた。予想以上に力が強くてビックリした…… さっき家壊したのより力込めたんだけどなー?


「っと、危ねえ、行かせねえよ」


「グルァア!」


一体の下っ端オークが隙を突いて行こうとするが直ぐに目の前へと立ち塞がる。すると邪魔だと言わんばかりに剣を横薙ぎに振ってきたので手で受け止めてへし折る。


「ガ!? グ「ドーン」…ガ……ァ…」


へし折った剣先の部分を心臓へ刺して顔面へ回し蹴りを入れ止めを刺す。


「ガァァァァァァア!!!」


「うぉ!? いきなり吠えんな! ビックリしたわ!」


ん? ……マズイな…集まってきてやがる。


あの豚……仲間呼びやがった…!


「ガァアア!」


「ッ! グォオ!?」


重……!? いくらなんでもコイツのパワーオカシイだろ! それに耐える大剣も………大剣……まさかあの大剣、魔武器(マジックウェポン)か!?



魔武器(マジックウェポン)or魔石】


魔武器マジックウェポンとは、魔石という特殊な石を加工して装備された状態の武器のことだ。他には魔防具(マジックアーマー)という同じように魔石を取り付けられた防具がある。


それらはどれも特殊な効果が付与(エンチャント)されている。魔石は貴重で中々見つからず、稀に鉱山などでも見つかるが、殆どは迷宮(ダンジョン)での発見が多い。値段は一つ最低金貨1枚、最上級クラスだと金貨200枚を超える。


魔石は空気中に存在する魔素を取り込んだ特殊な石が、魔力を持ち属性を持つ石の名称のことだ。迷宮(ダンジョン)で見つかるのが多い理由は、魔素が地上よりも濃く、多く取り込める事で短時間で魔石へとなるためだ。さらにより上質な魔石となり、地上の魔石よりも付与エンチャントした時の効果が高くなる。


属性には五大元素ファイブエレメントの火、水、風、土、無の5属性がある。


火は火属性の攻撃系の付与エンチャントが。


水には防御、攻撃の両方の付与エンチャントが同時に付く。ただ水属性による付与は攻撃と守りのどちらも受けれるが、その代わりに効果は他に比べると低い上に魔法を使う者、それも水魔法を使える者にしか効果を出さない。


風はスピード特化の付与(エンチャント)が。これは主にパーティーや騎士団、軍の斥候が。


土の付与(エンチャント)は防御。防御に特化した付与が。シールドの役割の人に人気がある。


無属性は身体強化系などの付与(エンチャント)が。防具、又は加工して身に付ける事で全体的な身体強化が。武器の場合は武器の強化に。さらに種類に拘らず所持者の力を少しだけ上げる。前衛で戦うパワーアタッカーの方々に人気がある


攻撃系の魔石は武器に。防御系の魔石は防具に。



例えば火の属性の魔石を使った剣の場合その刀身は高熱を帯びて火の刃となる。


ただ、水の魔石だけは杖に使う場合が殆どで、水属性の魔法の威力、効果が上がるだけで他に使い道がないので人気が無い。


風は全体のスピード耐性と共にスピード強化が。無属性よりも速さ特化で脚が強化されるので此方の方が断然速くなる。


土の魔石は防具の魔法耐性、物理耐性の大幅UP。これはシールド系の役割の人に人気がある。


無属性は武器の場合だと武器の強化及び所持者の身体強化。さらに武器自体の強化と所持者の(パワー)UP。



オークキングが持っている大剣、恐らくアレには無属性の魔石が使われている。それもかなり上質な。結構な力を込めてへし折る勢いで殴ったのにヒビ一つ入っていない。


元々力の強いオークキングが装備する事で大剣本来の攻撃力がフルに活かされている。力によるゴリ押しの攻撃だが一撃の威力が半端じゃない。


「厄介なもん持ちやがって……」


「ブガァア!」


「ガァァア……」


「ブアアア!」


集まって来たか……全滅してくれればラッキー、何体か残ってもキングを仕留められれば 上々。


「行くぜ、フンッ!」


籠手に神力を込めて地面に叩きつける。ズン、という重たい音が響き、オーク達の立つ入り口へ向けて拳を始点に静かに地割れが起きる。


「ブア!?」


「ガッガ!?」


「ゴァア!」


「ブルルル……」


部下共は慌てているがキングだけは落ち着いている。地割れわ更に続き入り口を出て村へ出る。だがそれでも収まらず次第に周りにも広がり始める。


「只の地割れじゃないぞ? こっからがお楽しみだ。ハァァァア……!!! ‘‘大地の咆哮(アース・ザ・ローア)’’!!!」


籠手に更に神力を込めて2発目を叩き付ける。


ズン!!! という一撃よりも重い音が響く。地割れの跡がコ゛ゴゴゴコ゛ゴゴと音を立てながら大地を揺らしながら崩れ始める。


「吠えろ」


その刹那――大地が唸り、突き上げられるが如く天へとまるで地面から突然山が現れるかのように盛り上がる。更に衝撃の第二波が入り口付近を破壊し外へと向かう。そして地割れが周りに広がる中心部分へと到達する。


――ズガァァアアン!!!


轟音と共に全ての地割れが割れ、天へと突き上げられ地面が何本もの巨大な柱のように現れ村とオーク共を呑みこむ。


「ブガ!? ァァアァァァアアァアアア…アァァ……!!!」


最後まで何とか逃れていたキングも巻き込まれ大地に呑まれた。


「はぁはぁはぁ……やったか…」


目の前には剥き出しの巨大な岩山が。ラザスの拳を叩き付けた地面より先は大地の柱が何本も飛び出て村もオークも完全に大地の餌食へなり無くなっていた。一息つく。


「フゥー、めちゃくちゃキツイな……あ、やべ、今になって恥ずかしくなってきた…」


思わず勢いで必殺技みたいに名前を叫んでしまった事を思い出し顔が熱くなるのを感じる。


「グォオオ……! 痛い、痛いぞ俺ぇえ!」


「あ、の……」


「グォ、オ?」


地面に蹲り頭を抱えていると不意に声を掛けられた。


「「…………」」


自分の痛さに溺れていたせいで村人完全に忘れてた。


「だ、大丈夫ですか……?」


「あ、ああ、大丈夫だ……そっちは怪我は無いか?」


「は、はい、お陰で私達は皆無事です。本当にありがとうございます」


「あ、ありがとうございます…!」


「本当に助かりました!ありがとうございます!」


声を掛けてきた人達が頭を下げ御礼を告げると、後ろの戦闘後の状態を見て唖然として口を開けたまま固まっていた周りの人達も次々に腰を上げ立ち上がり、感謝の言葉と一緒に頭を下げてくる。


お、おぉう、感謝されるのは嬉しいが皆が皆頭を下げてまで言われると流石に気恥ずかしくなる。


「い、いや、頭を上げてくれ、それよりも村へ戻りたいんだが、俺は道を知らないんだ」


「えっと、どこの村でしょうか…? ここには他の村からも捕まって来ているので……」


「えーっと、片目に傷があるおっさんの娘が……どれだ…」


多すぎて分からんぞ……


「あ、多分、私の父です…それ……」


まさかのそれ扱いだった。


それって言われてるぞおっさん!


「じゃあ早速、って行きたいところなんだがちょっと疲れててな、もうちょっと休ませてくれ」


そう言うとおっさんの娘? と他の女性達も快く了承してくれた。


何とか間に合って救出できた……が、村がなぁ…住んでいた人本当すんません。





余談だがラザスの大地の地割れは村を抜けて1キロ離れた山まで到達していたそうな。

説明描写かなりグダグダになってしまいました。


分かりにくいなど、意見などありましたら是非ご指摘ください。


次回もよろしくお願いします。


ではでは、ありがとうございました!

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