#28 オーク討伐2ー3
「見つけた……」
走り続けて10分。オーク達が住処にしているという村を見つけた。木の柵に囲まれた村だ。
見える限りじゃ木造の家が30棟程がポツポツと建てられ村の入り口には棍棒を持ったオークが二体立ち、見張っている。
「オークが見張りね、生意気な」
本当ならこのまま正面から行きたいがもし捕まっている村の人達が殺されたんじゃ元も子もない。
「とりあえず正面はダメだな…」
まずは村人の安全を取ってから、と決めてオークに気付かれないように森の茂みに隠れながら村の右側へと移動して行く。
「…あっ……ぐっうぅう!」
「っ!?」
茂みを進んでいるとどこから声が聞こえ動きを止める。
「ぐぅうう! ァァアァアアァ!」
まさか…! と思いながらこっそり茂みから声の方を覗く。
「…………」
そして俺はそっと茂みの中へ戻り村の方へ方向転換して何事も無かったかのように進む。
忘れろ。
今見た物は忘れるんだ。
まさかオーク同士の交尾なんて、オェエェ…
「2体しか、いないな……」
大変悍ましいものを見た気がするが気の所為だろう。村の右手へと回ると一体のオークが入り口よりも小さく作られている入り口に2体のオークが何やら会話しながら立っている。一応見張り、だよな。
「籠手の初陣だ、派手に…は駄目か、今のとこ声は聞こえてこないし静かだから、間に合ったのか…?」
「……おし、確かに…なんか頑丈になった。気がする」
籠手に魔力ならぬ神力を流す。なんか変わった気はするが見た感じでは全く分からん。
「………」
「ブガ、ガッガッガッ!」
「グゴア、アッガッガギャグ!?」
「ブガ!? ガア「ドーン」ガッ……」
気配を殺しながら茂みから近付き近くに立っていたオークを背後から首目掛けて飛び出しへし折る。
2体目が直ぐに気付いて声を出そうとしたがその前に顔面に蹴りを叩き込み潰す。
所詮はDランク。
まだ息のある2体目のオークの心臓を貫手で刺し止めを刺す。
オークは生かしていてもまた違う村などを襲うので確実に殺す。
「なんとか入れたが、結構多いな…」
村へ侵入できたは良いが、見張りの数が多い。30体近く居る。さすがにこれだけの数を相手に戦えば確実に気づかれる。
村人達が捕らえられている場所は恐らくだが村の中央に建ててあるドーム状の1番大きな建物だろう。俺はその近くの家の屋根に張り付いて隠れている。
見事にその建物の周りは武装したオーク共が守りを固めている。
「一か八か……この家の家主さん、ごめん、フンッ!」
ズガァアアン!!!
轟音の音と共に家が崩れ砂煙や瓦礫が舞い上がるのに紛れてドーム状の建物の屋根に移る。
……ちょっと威力高くない? 結構力入れたけどさ、地面まで拳圧で抉れてんだけど…ベコンッてなってるわ。
ヤベェなこれ……、と籠手を見ながら呟く。かなり威力が上がっている。
オーク達は今のに驚き家の周りまで集まっている。それに幸いな事にドームの仲からもオークが出てきた。
「よし、ドーンッ」
次は加減して屋根を殴り、穴を空け建物の中に入る。
そこは円状の広場のようになっており家具など一切置かれていない、ただの広場だった。壁には10個の松明、そして大きめの窓が幾つか有り中は普通に明るい。広さは大体テニスコートくらいで天井までの高さは9mほど。
そしてその広場には裸の姿で怯えてこちらを見ている16〜7歳の少女が8人と20代らしき女性が6人、裸だが外傷などは無い。恐らくもう一歩遅かったら間に合わなかっただろう。
さらにその周りには獣人なども混ざった40人程の若い女性達が居た。皆いきなり天井から現れたラザスに大変驚いた表情をしている。幸いな事にオークに犯された女性はまだ居ないようだ。
「間に合ったか…… あー、村の住人に頼まれて助けに来た。冒険者だ」