#17 神界の苦労人
――時は遡り神界――
「…………という訳なんです!」
「なんと……」
「勘弁してくれよ……」
「冗談でしょ…?」
「本当ですよ! 暇って言いになられて下界に行っちゃったんです!」
神界にある神殿の1つ。
ここは普段誰も住んで居らず、緊急時など、神々の集まりなどに使われる場所だ。そこには今、最高神と呼ばれる神王が直接自らの魂を分けて創り出した神達3人が集まっている。
魔の最高神ヒュルズ
人神の最高神サガント
亜神の最高神フラシディア
それぞれの種族が信仰する神達のトップに立つ者達だ。
魔神は魔族が。人神は人が。亜神は獣人やドワーフにエルフ、龍族など。
そして普段集まる事のないそれぞれのトップが集まった理由、それはハーレム作りに勤しむあの神である。
ミュラは直ぐに各最高神に今回の事を通達。そして1度集まりことの詳細を聞くということになったのだ。
「どの世界に行ったのかは分かっておるのか?」
「はい」
「うむ。そうか…」
濃い紫色の逆立ったような髪、顔には若干皺が有り、歴戦の老兵。という言葉がピッタリだろう。魔の最高神ヒュルズは目を閉じ、何かを考えるように腕を組み黙る。
「じゃあ連れ戻せば良いんじゃないか? 場所分かってるんだろ?」
「アンタ…馬鹿じゃないの? そんなこと出来ると思ってるの?」
「……無理だろうな」
「…………ミュラ? 貴女今仕事無いわよね?」
「え? それはまぁ……そうですけど…」
サガントが無謀な提案をするもフラシディアが咎める。
そして。
「じゃあ貴女下界に行きなさい! これは命令よ!」
コレだ! という感じでフラシディアがミュラに強引に下界行きを勧めた。
「え!? な、なんで私なんですか!?」
「何でって、最近だと、貴女が一番神王様と一緒に居たじゃない。神王様だって貴女のこと気に入ってたみたいだし」
「えぇ……」
「文句言わないの。早く行くのよ」
「分かりました……」
「無理だろうから無理に連れて帰ってくる必要は無いわよ?」
「分かってますよ。では私はこれで失礼して良いでしょうか? 身支度を整えたいので……」
「えぇ、もちろんよ」
「では、失礼します」
そう言ってミュラは神殿から去った。
「このスカートも良いですね……やはりこっちに……」
ミュラな何だかんだ言って、下界を楽しもうとしていた。