#10 エレーナと氷竜と金の成る木…?
いつのまにか今日だけで7000pv超えててビックリしました(o_o)
まだ投稿し始めたばかりの未熟ですがこれからもよろしくお願いします。
ではでは。
「喋った……」
エレーナは今の状況を理解できないでいた。いきなり現れたと思えば人の言語を使う竜。しかもそれが今回の目的対象であり世界最強クラスの生物ならば当たり前だろう。
『珍しいか? 竜が人の言語を扱う事が』
「あ、は、はい……そういう種もいるとは聞いたことはあっのですが……初めて見ました……」
氷竜の放つオーラによりエレーナは怯え、尻尾は完全に下がり股の間に逃げ込んでいる。
『確かに話せない個体もいるが、私のように複数の言語を扱う者もいる』
「そ、そうなんですね……」
『して娘よ、何故このような場所に居る? ぬしのような弱き者だとここまで来れない筈だが』
「え? ラザス様を倒したんじゃ……」
『? 誰だそれは、私は誰とも戦っとらんが』
「ではここに来たのは私を殺しにきたのではないのですね!」
ラザスが無事だと知り途端に顔をパアァアっと輝かせて、恐怖も忘れ氷竜に詰め寄る。
『あ、あぁ、本当だ。別にぬしを殺しに来たのではない。この山に人が来るのは久しい故、気になって出てきたのだ。ラザスとやらを探しているのか?』
「あっ……探してはいないです…その、なんて言いますか……」
言葉を詰まらせるもエレーナはここまで来た目的、氷竜討伐の事を目の前の本人に話し始める。
***
『ふむ、なるほど、その男は強いのか?』
一通り話終えたところでふいに氷竜が問いかける。
「はいっ! それはもう、とんでもないお方です! パンチ一つで地面に穴をあけ、さらに走れば風より早く駆けていきます! 本当に凄いお方です!」
ラザスの事となると顔を輝かせ尻尾もパタパタ振りながらまるで自分のことのようにラザスを語るエレーナ。まだ出会って1日しか立っていないにも関わらず完全に心酔している。
『そうかそうか、1度戦ってみたいものだ』
「そ、それはダメですっ!やめてくだいっ!」
若干涙目になりながらそう訴えるエレーナ。
『ふふ、冗談だ、ただちょっと興味が湧いただけだ』
「からかわないでください……それにしても遅いです…氷竜様はここに居られるのに……気づいてないのでしょうか?」
『さぁ? だが今山をウロつくのは止めるべきだったな、今は邪竜が一頭この山地に住み着いているからな』
「じゃ、邪竜!? そ、そんな…! ら、ラザス様は大丈夫でしょうか!? あぁ、どうしよう……! ラザス様が、ラザス様が……!」
邪竜と聞いてエレーナが目を見開き驚きの声を上げる。邪竜の危険さはこの世界に住む者なら誰もが知っているだろう。
『落ち着け、まだ死んだと決まったわけじゃなかろう。強いのだろう? ラザスとやらは』
クククっと笑いエレーナを落ち着かせようとする。聞く人によっては馬鹿にしているようだが氷竜なりの気遣いだ。
「た、たしかにそうですけど……!」
でも!と両手を胸元まで持っていきギュッと握って涙を目一杯その瞳に浮かべている。
『クククっ、心配性な娘だ。ラザクとやらは恵まれているようだな。丁度終わったみたいだ』
「え……? 何がですか?」
『うむ。ついさっきここより西に巨大な力を感じた。1つは先程言った邪竜だろう。もう1つは、ふふ、それをさらに上回る程だ。恐らくだがラザスとやらではないのか?』
「!? 本当ですか!? しかも邪竜より強いなんて……流石です。ラザス様……』
薄く上気した頬に手を添えて腰をクネらせるエレーナ。完全に乙女の顔になっている。
『ん、んん! それにもう此方に向かっている。確かにこれは凄い速さだな、ぬしも余程心配されているみたいだな?』
わざとらしく咳を払いからかうように声を掛ける。
「うっ、そ、そんな……私は…そんな」
『ククク、もうそろそろだぞ?』
***
「氷竜居ないじゃん……もうちょっと奥に――ッ!? な!? いきなりもう一つバカデカイ気配だと!?」
何だ!? 神力は展開していたはずなのにいきなり現れるとかズルいぞ! しかもエレーナを待たせてるとこじゃねえか! クソッ!
地を蹴り超加速でその場を走り去る。よし、まだエレーナの気配はちゃんと残ってる……!
…………見えた!
「エレーナ!!!」
***
「エレーナ!!!」
「ラザス様!!!」
「大丈夫か? 怪我はないか?」
「大丈夫ですよっ、ふふ、ラザス様ラザス様ラザス様……!」
尻尾をブンブンと振りながらラザスに全身を擦り付ける。
『ンオッホン! んっうん! んんん!もう良いか?』
2人から溢れでるイチャイチャムードに耐え切れずそれまで黙っていた氷竜が堪らず喉を鳴らす。
「うおお!? なんだコイツ? なんか話したぞ」
竜が話した事にエレーナ同様驚き声を上げるラザス。
『お主がラザスか?』
「そうだが? お前が氷竜だな?」
『うむ、いかにも、私が氷竜フラステッドだ。お主がその娘の、確かにこれは、かなり強いな、ラザスよ、黒き竜と戦わんかったか?』
「あぁ、あの喧しかったトカゲ、なんか攻撃してきたから消したぞ」
※最初に姿を確認もせず攻撃したのはラザスです。
「え!? 邪竜を……消し……流石です! 流石ラザス様です!」
『なんとまぁ……邪竜をトカゲ扱いし、しかも消したと……ふ、ふふ、ふふふふ、面白い、実に面白いぞラザスよ』
「なんだよいきなり笑って、キモいぞ」
「ラザス様! そんなこと言っちゃダメです!」
「うむ、随分仲良くなったみたいだな」
「私も最初は食べられると思ったのですが……話してみるとそんなに悪い方じゃなく……」
シュンとなり俯くエレーナ。この後ラザスと氷竜が戦うと思っているのだろう。
だが、
「依頼の内容だが今回は無しだな、ブラックウルフだけ狩って帰ろうか」
「――! はいっ!」
優しく微笑み頭を撫でるとエレーナが顔を上げ輝くような笑顔を見せる。
『ふふ、それは助かるな、正直お主と戦っても勝てそうにない、お主達の依頼とやらは悪いが流石に命はやれん」
だが、と言って綺麗なライトブルーの鱗が付いた腕を角に近づけて、ツンッ。
ポキッ
「「え?」」
エレーナとラザスの素っ頓狂な声が響き渡る。
『ほれ、代わりと言ってはなんだが、この角をやろう、少しは金になるだろう』
そう言いながら折れた一本の角を拾い上げ2人の元に置く。
「いや、それは嬉しいがお前……角無くなってんじゃん」
ラザスが言った言葉にエレーナもコクコクと頷く。
『あぁ、これは心配しなくともまた直ぐに生えてくる、だから遠慮せず受け取ってくれ』
「そうなのか? なら定期t『無理だな』……ケチ」
定期的にくれ、と言う途中で遮られる。
『痛いのは痛いんだぞ? 我とて痛いのは嫌だ。今回は特別だ』
「そうですよラザス様っ、これだけでも金貨200枚はしますよっ!」
「そんなにすんの? 尚更欲しくなって来た。俺今お前が金の生る木にしか見えない不思議」
ありがとうございました