ルルが倒れている間①閑話的な
ルルが倒れた事をこれ幸いと宿を変える事にしたリジェとレイ。
アレンが何か煩いが、ここに居ては村に迷惑をかけることは確かだ。捕まる気がない以上どこかに身を隠すことは決定事項だった。
「ダーストさんが迎えに来てくれるなら素直に着いていきますが、多分先に国王の配下が来ますよ」
実はリジェが使い魔に見張らせていた村の周辺に武装した集団が侵入したらしいと、使い魔が報告してきた。
サラマーという他の世界から連れてきてしまった子だが、あとあと幼なじみたちに紹介するとして今は移動の準備に忙しい。
思ってもいなかったらしい指摘にアレンが目を丸くした。本当にこんなに平和な思考で大丈夫なんだろうか此奴。と二人はさすがに心配になってきた。
「ダーストを迎えに来た奴は、ダーストの配下でもあり、異世界人排除派じゃないのか?こっちに対する嫌悪が隠しきれてなかったぞ」
アレンが押し黙った。思い当たりがあるのだろうか。レイが倒れたルルを背負い、リジェは魔方陣を描く。
「これは?」
「隣国に繋げてきた陣です。一緒に来ますか?」
「何故」
アレンの尤もな疑問にリジェとレイは、それぞれ思っていたことを口にした。
「ルルが、貴方方に約束したからです。明日は無理かもしれませんが、ダーストさんに再戦をする機会を必ず作ります。アレンさん、貴方がその証人だと僕は思っています」
リジェの言葉にレイは甘さに呆れたが、言っても仕方ないことだと理解しているせいであまり強くは言えない。甘いといってもルルに対してだからなおさら何も言えない。
「アレン。お前、このまま、ここに残ったら殺される可能性があるんじゃないか」
息をのむアレンにレイが、はーっと飽きれ顔をした。
「行くぞ。オレ達には今のところ、お前が必要だ」
高飛車に言い捨てるレイにリジェは苦笑する。
「ええ、とりあえず、僕達を見張っていた事にすれば良いじゃないですか。行きましょう」
差し伸べられた手に戸惑いながらも頷くと、アレンが思い出したようにベッドの上に革袋を置いた。
「?なんだ」
「宿泊費だ」
「もうかなり先の分まで」
「俺の分だ。そして、押しかけたことへの迷惑料だ」
生真面目な年上の男にレイとリジェは呆れたが、好ましいのも確かだった。
ただ、リジェが陣を発動させ、移動した瞬間、さっそく後悔する結果になろことをアレンは知らなかった。
使い手が少なさ過ぎてあまり知られていないが、空間転移には酔いが付きものだということを。
「死ぬ………」
「そういってるうちは死なないらしいですよ」
とりあえず、ルルと一緒にリジェに看病されているうちは役にたてそうにないとアレンは、深く落ち込んだ。




