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尋問(2)


桃花さんのための僕を売る。

現状を鑑みるに、これ程納得のいく動機はないと思う。

僕は目の前で頭を下げた雄也さんの後頭部を見つめながらしばし思案した。


酒場のバイトの件で付け狙われる僕と、便利ギフト【警戒】+【心話】で付け狙われてる桃花さん。

『不特定多数の他人から付け狙われる』って意味で、僕と桃花さんを取り巻く環境はとても似ている。


で、どうやら目の前の厳つい脳筋さんは僕を『不特定多数の他人』から守るだけの力を持っているらしい。

だとしたらきっと桃花さんをストーカーから守る力も持ってるって事だ。


多分だけど僕の情報を売り払った対価として、桃花さんのボディガードでも頼んだんだろうな。

まぁ雄也さんの事だから他にも色んな条件をねじ込んではいそうだけど、大枠では間違ってないと思う。


やや性急というか、ぶっちゃけゴリ押し気味な犯行だと思うけど

それは、状況から察するに無理もないよね……。


雄也さんとしてもまさかこんなタイミングで僕の情報が漏れるなんて思ってなかっただろうし。

だけど実際にはバレちゃったわけでしょ?しかも名前だけどはいえ僕を特定する情報まで漏れちゃってる。


相当焦っただろうなぁ。

だってモタモタしてたら『歌手のバイトしてるヤツ知ってるゼ!!』って情報は全くの無価値になっちゃうわけだからね。


僕が次回のバイトに出かけた時点でアウト。

誰かが『リョウタ』って名前から僕を見つけ出しちゃってもアウト。

だから雄也さんとしてはアウトーッってなる前に何としても売り抜ける必要があったわけだよね。


そりゃ焦るよ。うん。焦る焦る。

そりゃ思わず桃花さんの手を引いて宿屋を飛び出しちゃう気持ち分かるなぁ。




でも『気持ちが理解できる』ってのと『だから赦せる』ってのはイコールじゃないわけだよ。

徹頭徹尾僕のこと利用しようとするその腐った性根は、断じて赦すことはできないわけだよ。




そりゃこれまでだって雄也さんからは散々利用されまくりだったけど

これまでは『事情を話す』『僕の同意を得る』ってプロセスを踏んでた。


不本意ながらも雄也さんの話を聞いて、不本意ながらもそれに同意する。

つまり僕は不本意ながらも『僕の意思』で雄也さんに協力してたわけなんだ。


だけど今回ばかりはそうじゃないよね?

僕に黙って行動しやがって、しかも僕の事売り払っちゃうだもん。赦せる要素皆無だよ皆無。


『僕の身の安全のためなんだ』って理由で修司さんにヘルプを求めたなんて言ってたけど

これだって裏を返せば『桃花さんの身の安全のため』なんだろうし。


「あー……改めて状況整理したらさらに腹立ってきた」

感情が昂り過ぎてどうやら声に出してしまったらしい。

視線の先にある後頭部が僕の言葉に反応してピクッと揺れる。


「身構えてるところスイマセンけど、状況整理完了までもうしばらく時間がかかるんで引き続き黙ってろ」

「……ハイ」

妙にくぐもった返事が返ってきた。

うん。素直でよろしい。赦しませんけどね。


で、なんだったっけ?

そう。今回僕の意志を無視しやがったってところまで整理したんだった。


思いもよらぬタイミングで僕のバイトの件がバレた!

急いで僕の情報を売り払って桃花さんの安全を確保しよう!

僕の意思なんて関係ねぇ!ヒャッハー!無断で行動だぁー!


うん。何回思い返しても腹立つ……。

けど話の筋は通ってるんだよね。ここまでの行動には全てちゃんとした意味がある。動機があるって言い方の方がよりしっくりくるかな?


けどなぁ……。

僕は後頭部から視線を逸らして天井を見上げた。


どうにも腑に落ちない点があるんだよねぇ……。

目を瞑り、小さくハァと溜め息を吐く。


腑に落ちない点――

つまりは『なんで僕は拉致されたのか』

これが分からない。


これまで全ての行動に一貫した動機があったのに、なぜ最後の最後で拉致なんだよ……。

よく考える必要もないことだけど、僕を拉致る必要はないよね?


確かに『リョウタ』って名前バレまでしてる以上のんびりとはできないんだろうけど

だからと言って問答無用で身柄を拘束する必要は全くないと思うんだ。


普通に『リョウタだな?』って本人確認して。

普通に『俺は修司という』って自己紹介して。

普通に『ちょっと話がある』って穏便に連れ出せるよね?


僕の事だからそりゃもう警戒心バリバリで素直に言う事聞かないとは思うけどさ。

だからってそのプロセスを完璧にすっ飛ばして問答無用で拉致るって発想は飛躍しすぎてる。


僕だったら、予めコミュニティボードを表示させた【メニュー】を開いておいて、それを相手に見せるね。

んで『こんなに大騒ぎになってる。力になりたいと思ってるから話だけでも聞いて欲しい』とか誘い出すよ。


この方法だったら事前準備は【メニュー】を開くことだけ。

ローコストっていうよりノーコストって言ってもいいくらい簡単な下準備だ。

なのに実際にはその程度の小細工も使わずにイキナリ拉致だもんね。


頭沸いてるとしか言いようがない。行動に正当性がない。

つまり『どうして拉致しなければならなかったか』という動機がどこにも見当たらない。


これはどういうことなんだろ?

それとも僕が知らないだけで、問答無用で拉致らないといけない程の理由があったのかな?

まぁ、どちらにしてもこればっかりは1人で考えてても答えは出ないか……。


僕は改めてテーブルの上に乗っかっている後頭部に視線を戻すと尋ねた。


「なんで拉致だったんですか?」

唐突過ぎていささか不親切な質問だけど、大変優秀な頭脳をお持ちの雄也さんだしきっと大丈夫だろう。


なんせ他人を騙して利用して勝手に売り払っちゃう見事な手腕をお持ちなんだ。

この程度の質問の意図を汲み取るなんて朝飯前だろう。ケッ。

案の定目の前の後頭部からくぐもった声音で返事が返ってきた。


「それが……俺もまさか問答無用で拉致してくるとは思ってなかったんだよ」

ん?『思ってなかった』ってどういうことだ?

つまり雄也さんにとっても拉致は予想外の事だったってことなのかな?


「続けてください」

「うん……。あのね君の情報を修司に伝えて、君の保護を約束させたのは確かに俺なんだけど

その方法については全く話してなくて……」

な、なんという厚かましさ……。

この状況でも『君の保護を約束させたのは自分の功績なんだよ!』とかチマチマ点数稼ぎできるそのバイタリティはどこから沸くんですか……。


ってそれどころじゃないか。

今の言い分を信じると、雄也さんはあくまで僕の情報を売っただけで、僕を拉致ったのは修司さんの独断だってことになる。


となると拉致した元凶は――

グリッと首を右に捻ると、腕を組んで堂々と起立している元凶――修司さんの姿が目に入る。


そうパッと見は堂々としてるんだけど、如何せん脳筋さん。詰が甘いと言わざるを得ない。

目元がピクピクと痙攣してますよ。あと視線が泳いでます。


全身で『動揺してます!』と訴える修司さんに向かって

僕は本日2度目となる質問を投げかけた。


「なんで拉致だったんですか?」

いささか不親切な質問なのは相変わらずだけど、僕と雄也さんとのやり取りを見てたんだから

いくら脳筋でも質問の意図は分かっただろう。


修司さんは腕を組んだ姿勢のままボソボソと返事してきた。


「……非常に緊急を要する事だと聞いた。

それこそ拉致してでも身柄の確保するのが最優先だと判断したまでだ」

はい。新しい情報入ったよー。

『聞いた』って言ったよね。『聞いた』って。


誰から聞いたの?そんなの決まってる。

そして何を聞いたの?それは問いたださないと分からない。


僕はグリッと首を正面に戻してテーブルの上の後頭部に視線を戻した。


「犯行動機は『聞いた』かららしいですよ?

改めて質問しますね。何を吹き込んだんですかアナタ」

どうせある事ない事言って、脳筋さんをそそのかしたんでしょうが!

さぁキリキリ白状しやがってください!


僕の質問に対して後頭部はしばし沈黙した後非常に往生際の悪い返事をしてきた。

「……君の情報以外は喋った記憶がないかな」

そんな訳あるか!と喉元まで出かかったツッコミを何とか自重する。

雄也さんは一瞬だけ言葉を区切って

「それに『拉致する』って判断したのは修司の独断だったのは今の証言からも明らかだったんじゃないかな?」

さらに往生際の悪い事を言い始める。


「でも雄也さんの話を聞いて、そう判断したらしいですよ?」

「うーん……。申し訳ないけどそれについてはちょっと心当たりがないかなぁ」

シラを着る気マンマンのようだ。

うー……。面倒くさいなぁ。


さてどうやって崩していこうかと僕が思案し始めたその瞬間。

思わぬところから声が聞こえてきた。いや思わぬところでもないか。


「お前が……」

声のする方――修司さんへと視線を移す。


「お前がッ急がねぇとヤバいつったから!強引に連れてきたんだろうが!!」

脳筋――修司さんが叫ぶ。

おぉ、猛ってる猛ってる。コメカミにくっきりと青筋を立てて眉間にシワを寄せた表情は言い知れぬ迫力を感じるな。


さっきまでの全然隠せてないポーカーフェイスよりもコッチの方が全然いいですよ修司さん!

僕としては仲間割れ大歓迎ですからね。存分に潰しあってくださいよ。


そんな修司さんに向けて雄也さんは不機嫌な声音で反論した。

「急ぐ案件だと伝えたけど、乱暴な手段を使ってでも連れてこいなんて言った覚えはないよ」

「どの口がそんな事言ってんだぁ?1分1秒を争うような逼迫した状況だって言ってたじゃねぇか!」

「よく思い出せ。俺はそんなこと一言も言ってないぞ。俺の話を聞いてお前がそう判断しただけだろ」


冷え冷えとした雄也さんの返答に、一瞬だけ修司さんが固まる。

恐らく雄也さんの言うとおり『1分1秒を争うんだ!』なんて言われた記憶がないんだろう。

でもアカン!ここで引いたら負けてまうでお兄ちゃん!


仕方ない……。もう少し泳がせて色々と情報を引き出したかったけど背に腹は代えられない。

固まってしまった修司さんの代わりを努めさせてもらおうかな。


「つまり雄也さんが必要以上に不安を煽った言い方をして、まんまと修司さんが乗せられちゃったって事ですよね?

で、騙した方が騙された方に向かって『騙される方が悪い』って悪態ついてるってわけですか」

突然の僕の横槍が予想外だったのか、ガバッと勢いよく雄也さんが頭を上げて僕を見つめてくる。

動揺した雄也さんが何か言葉を発するよりも早く僕は続けた。


「相手の不安を煽れるだけ煽って食いつかせる。

雄也さんらしいというか……交渉事の基本なのかなこういうのって?」

僕のその言葉に雄也さんの表情が微かに固まる。

ちょっと情報不足で自身なかったんだけど、この様子だとどうやらビンゴらしいな。


「なるほど……。

ずっと疑問だったんですけど、やっと拉致された理由がわかりました」

言って笑うと、いい加減観念したのか雄也さんも眉根を寄せて困ったように笑った。

「ホント……君には敵わないな」


"僕が拉致された原因"

蓋を開けてみればそれはとても単純な話だったんだ。


桃花さんの安全と引き換えに僕の情報を売る。

本筋ではその通りなんだろうけど、本筋があるということは当然枝葉の部分もあるわけだ。


枝葉の部分。つまり『どうせ売るならより高値で売り抜けたい』

そう考えるのはある意味当然で、特に雄也さんみたいに小賢しいタイプなら間違いなくそう考えるはずだよね?


今回の場合だと『桃花さんの身の安全』の他に+αで何らかの要望を通したりしたのかな?

まぁ、それは雄也さんと修司さんとの交渉だから、ぶっちゃけどうでもいいんだ。


問題は『より高値で売り抜ける』ために雄也さんが取った手段の方だ。

恐らく――というか間違いなくあの人は、僕の立場の危うさをこれでもかと煽りに煽って吹聴したはずなんだ。

少なくとも『1分1秒でも早く僕を保護しないと他に取られてしまう!』と修司さんが慌てるくらいには徹底的に煽りまくったはず。


要するに不安や危険を煽りまくって、

『分かったお前の要求を飲む!だから僕の情報をくれ!』って言わせるのが目的だったわけだ。


ほら。銀行強盗とかでもそうじゃない。

銀国内に人質を取って、逃走用のヘリを用意しろ!車を用意しろ!って要求するより

『30分以内に用意できなければ人質ぶっ殺す!』って脅した方がより効果的だよね。


で、まんまと高値で売り抜けたのはいいんだけど

必要以上に不安に駆られた修司さんが暴走しちゃって、1も2もなく力づくで僕を拉致ってきちゃったと……。


高値で売り抜けようと煽りまくった雄也さんが悪いのか。

まんまと煽られて、見ず知らずの人間を拉致っちゃう修司さんが悪いのか。


フザケンナ。

そんなん2人ともギルティだよどう考えても!


「涼太君……?」

改めて自分の立場の悲惨さに俯いてプルプル震えてると

遠慮がちに雄也さんが名前を呼んでくる。


今更だけど、何勝手に頭上げてんですかねこの人。

僕は『赦す』とも『頭上げてください』とも言った覚えはないんですけどねー。


まぁいい。その点に関してだけは赦してあげよう。

僕はゆっくりと頭を上げると、目の前の人物を睨みつけた。


床に土下座させて頭踏んづけてやればさぞかし気分爽快だろうけど、そんな事出来ない。

雄也さんの事だ。『そんな事で赦してもらえるならいくら踏んでもらって構わないよ』とか言うに決まってるんだから。


この人にダメージを与えるにはそんな直接的な事じゃダメなんだ。

もっと本質的な事じゃないといけない。


例えば――そうだな。

まずは雄也さんから『僕』を徹底的に取り上げてみるっていうのはどうかな。


身バレしたといっても

『僕だけが街中での仕事をGETしてる』という事実。

『料理ギフトを筆頭に可能性の詰まったギフト構成』を保持しているという事実。

この2つは揺るぎないわけだから、『僕』というコマはまだまだ利用価値が山ほど残ってるよね?


そんな『利用価値が高いコマ』を取り上げる。

うん。策士気取りの雄也さんにとってみたらこれは結構な痛手になるんじゃないかな?


それに性根がひん曲がってる自覚のある僕でもこうも清々しく裏切られると、流石に傷つくんだよね。

――せめてしばらくの間はこの人の顔は見たくないってくらいにはさ。


僕は雄也さんを睨みつけた目を伏せ無理やり笑顔を作った。

そのまま顔を上げ、雄也さんに笑顔を向ける。うまく笑えてはいないけど瑣末な問題だ。

歪でも笑顔に見えればそれでいいんだ。


「今まで大変お世話になりました。

色々と含むところもあるんですが、助けられたのも事実なんで一応お礼は言っときますね」

ペコリと頭を下げてそう告げると、何か察したのか雄也さんの顔が驚愕に染まる。

瞳が揺れる。目が泳ぐ。こんな余裕の無い表情は初めてみるな。


「涼太君……?」

微かに訝る声で名前を呼ばれるが、そんなもの無視だ無視。

僕の方にも相手してる余裕なんてないんだよ。


「もう分かってるとは思うんですけど、どうにも今回の事は赦し――

「それはこれからどんな事をしてでも返すつもりだよ?

ほら、それでなくても君にはいくつか借りを作ったままだし」


僕の言わんとしている事を察して、食い気味にそんな事を提案される。

そういえば確かデッカイ借りをいくつか返してもらえるんだったけ?でもそんなの今更だ。


「アナタが僕を売ったように、僕はアナタを捨てることにしました。

せいぜい逃した魚の大きさでも嘆きながら悔しがってくださいよ」

少し茶化した口調でそう告げると、雄也さんが眉根を寄せる。

その表情はいつもの困ったような顔じゃなくて、とても辛そうな顔に見えた。


「あらら……。とうとう捨てられちゃったかー」

「調子に乗りすぎましたね。今後に生かすためにしっかり反省してくださいよ」

「うん。焦ってたとはいえ今回の行動は短慮すぎたよね……」

「はい。だから言ってるじゃないですかしっかり反省してくださいって」

雄也さんは辛そうな表情のままフフッと少しだけ笑った。

そして思い出したように聞いてきた。


「でも実際問題として護衛がないとおちおち外も歩けないと思うけど、そこのところはどうするつもりなの?」

「そんなの決まってるじゃないですか。しっかりガッツリ守ってもらうつもりですよ」

言って修司さんの方へ視線を向けると


「オ、オレか?」

よほど予想外だったのか、修司さんが上ずった声をあげた。

これだから脳筋さんはどうしようもないな。『オレか?』じゃないですよ。アナタ以外に誰がいるっていうんですか。


「当然でしょ。売られて拉致られた挙句、何の見返りもなく放り出すつもりだったんですか?」

「い、いやそういう訳じゃねぇが、てっきり雄也と一緒に捨てられるもんだとばっかり……」

これだから脳筋さんは。これだから脳筋さんはホントどうしようもないな。

確かに雄也さんも修司さんもどっちもギルティなんだけど、やってる事が違うんだから罪状は当然別に決まってるじゃないですか。


確信犯として

私利私欲のために僕の情報を勝手に売り払った挙句

報酬を吊り上げるために無駄に不安を煽った、ド腐れ策士の雄也さんと


そんな雄也さんに翻弄されて

脳筋による脳筋のための脳筋思考で僕を拉致しちゃった修司さんとじゃ全く違うでしょ?


もう少し洒落た言い方をするならば

雄也さんは『人として』間違った行動をとった。つまりは外道。

修司さんは『手段が』間違った行動をとった。つまりは脳筋。


さらに同情的な言い方をすると、間違った手段を『とった』んじゃなくて

雄也さんの誘導尋問によって『とらされた』と言えなくもないわけで……。


『高階雄也の被害者』という、ものすごい広~い意味でとらえた場合僕と修司さんは同士と言えなくもない。

つまりは仲間だ。もちろん受けた被害の分はキッチリ落とし前つけさせてもらうけどね。


「というわけで修司さん。

僕を拉致ってしまったという負い目を背負っているところ申し訳ないんですが、今後の事について話し合いましょうか」

意訳すると『拉致したお詫びに、僕に有利な条件をめいっぱい提示しろ』って意味なんだ。

脳筋の修司さんでもこれには気がついたみたいで、苦々しい表情で見つめられる。


「覚悟しといたほうがいいよ。修司」

外野うるさい。っていうか出てってくださいよ外野は。


「俺の手に負えるのかコレ……?」

「基本的に僕の質問に『はい』って答えてくれれば10分程度で終わりますよ!」

元気よくそう告げると、ますます修司さんの表情が苦々しいものへと変化する。


「ホント覚悟しといたほうがいいよ。修司」

ホント外野がうるさい。ホント出てってくれないもんだろうか外野は。


気にしなければ大丈夫……。

僕は目を瞑ってそう自己暗示をかけると、勢いよく目を開いた。


雄也さんは外野。部外者。賑やかし。

修司さんは僕に負い目がある。さらには脳筋。しつこいようだけど脳筋。


うん。負けはない。


僕はそう確信すると、テーブルの下に足を伸ばして雄也さんの座る椅子を蹴りあげた。

椅子がカツンと乾いた音をたてる。恐らく座っている雄也さんは微かな振動を感じたことだろう。


「選手交代なんで、修司さんと代わってもらえますか?」

それだけ告げると雄也さんは素直に椅子から立ち上がり、壁際まで下がった。

ドアのそばまで行くと立ち止りこちらを振り向く。いっそ出ていけばいいのに。


流れるような動作の雄也さんとは正反対に、修司さんはのろのろと時間をかけて空いた椅子に腰かけた。

そしてズズズッ……と景気の悪い音を立てて椅子を引くと、ようやく僕の方へ視線を寄こす。


「それじゃ早速なんでいいですか?」

イマイチ乗り気じゃない修司さんへそう告げるも、返答がない。


「覚悟した方がいいよー。修司」

外野のヤジは絶好調だっていうのにな。

ってかいい加減黙ってもらえないもんですかねマッタク……。


8月中とは何だったのか。

約束も守れないダメ人間が書く小説ですが、ご愛読いただけると嬉しいです(ノД`)


次話は明日か明後日くらいには投稿でk(ry

流石に自重します。約束はできないけど実現できるよう頑張ってみます。


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