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厨二病②


更新です!

「はぁ………足いて~」

爽太が顔をしかめて足を揉む。急いで教室に戻るが、幼女先生の授業だったこともあり。

半ば脅されながらも一時間廊下で立っていた。

「どれ爽太君。お姉ちゃんが足を癒してあげよう」

会長こと朱鷺子が手をワキワキさせながら近付いてきた。

「いや会長に手を煩わせるつもりは無い」

「むぅ……残念だ」

爽太の言葉にかなり肩をおとし、項垂れた。

「そんな落ち込む理由じゃないでしょ」

「確かに……そうか、そうだな。悄気てても始まらないからな……」

「そんなこと言えるなら早く機嫌を直してくれよ」

「まったくだわ。会長なんだからシャキッとしてよ」

悄気ている会長こと朱鷺子にキツい一言が楓の口から吐き出される。

まぁ、楓も無理矢理な感じで生徒会の書記として一員にされたからなのか。

ともあれそれは生徒会を本気でやるという不器用ながらの表し方なのか?

「そうやで?会長、書記の言う通りや。ここで悄気てどうするんや?ワイかて会長に生徒会を進められたんやし。するならしっかりやろうや」

剱も別に怒るわけではないが、すこし呆れた感じで物を言う。

「確かに爽やんを姉として落とすのは至難の技やけど、四年間やるんやで?それなりに最後はハッピーエンドになるやろ」

「おい、何で俺はそんな恋愛ゲームの女側の標的にされなきゃいけないんだよ」

「だってもうどっかでフラグを建築してきたんやろ?」

「誰がフラグ建築士だ。俺はそんな職業になったつもりはないぞ」

「またまたそう言って~。………おっと、建築したてのフラグはあの子か?」

にやにやが止まらない剱が指を指した先は教室の扉だった。

「……つるにゃん。誰も居ないけど」

鈴莉が耳をピクつかせて、扉を見る。

「焔はあの扉から出てる一本の毛が見えないんか?」

「むぅ?……むぅ~。あっ!ホントだ!」

鈴莉が目を凝らして見た結果、その毛はピコピコと動くらしい。

……俺が知ってるなかでその特徴は一人しか知らない。

「?あんたは心当たりが在るみたいね」楓が爽太の胸元を掴んで笑った。

「か、楓!苦しいって!!あいつは知ってるけど!知ってるけど!!」

「知ってるけど何さ、二日前の保健室の何さ」

「「「保健室ぅぅぅ!!?」」」

鈴莉、朱鷺子、剱の驚きの叫びが教室内に響き渡る。

「どうゆうことだ!!姉の私が帰った後に他の女とほ、ほほ保健室で何をしたんだ!!」

朱鷺子も爽太の胸元を掴む。

「ちょ!何もして……な、い!」

「すず聞いてないよ!?どうゆうことなの!!」

鈴莉はさらに首に掴まり、背中でぶら下がる。

「おご!……た、たす……け」

空気が……酸素が入らない!!死ぬ!!マジで死ぬ!!

「つ、る……ぎ……たす、けて……!!」

「神谷は関係無いでしょ?私達はあんたに聞いてんだから」

「そうだぞ!剱君はアホの子なんだから関係無いぞ!」

「つるにゃんはアホの子だから助けれないんだよ!」

「アホの子ってなんやねん!アホの子ちゃうわ!!」

三人の内、二人が剱のことをアホ呼ばわりし。扉の方に大股で向かった。

「つ…る……ぎ……」

「吐くまで離さないから」

「同じくだ」

「すずはちょっと楽しいからまだぶら下がるね~♪」

「すず……り……いい加減、に……しろ……!……撫でて……やら、ないから、な……!」

「にゃっ!?それは困るかも……」

ゆっくりと鈴莉が爽太の首から手を離した。

「……ごほっ……た、助かった……ほら二人とも手を離してくれないか?」

「じゃあ納得できる理由を言ってみてよ」

「そうだぞ?理由かお願いを聞いてくれると言うなら手を離そうではないか」

「じゃあ理由を言うよ」

そんな二択なら理由を言うに決まってんだろ。

「何か気に食わないわね」

「むぅ、まったくだ」

「そう言うなよ。ちゃんと言うからさ」

「わかったわ。その代わりにちゃんと話をしてもらうからね」

「はいはい、わかったから。胸ぐらから手を離してくれ」

「では、私の胸を揉んで……」

「じゃあ話すぞ」

「む、無視しないでくれ!」

朱鷺子がまた悄気たが、あの時に会った秋の事を話した。


「そう。とんでもなく痛い子に出逢ったのね」

「あぁ、しかも俺と二人きりの時しか殆ど喋らない。厨二発言だけどな」

「それで今日の昼休みに呼ばれたと」

「そうゆうことになるな」

『ひっ!?あぅ……こ、来ない……で……!』

扉の方で聞き覚えのある声が聞こえた。やたらと人を拒むような反応が正にあいつだ。

『なんやねん、さっきも居たんやろ?誰に用があるん?』

剱の声も聞こえてきた。

「……ちょっと行ってくるわ」

このままだと多分、逃げて転ぶのがオチだ。

そうならないために行かなければ。

「うぅ……た、たす、たすけて……!」

「はぁ………なんやねん。誰に助けて欲しいんや?」

「俺だろ?秋」

扉から顔を覗かせた。

「そ、爽太君!た、たた、たすけて!!」

「別に大丈夫だよ。一応そいつも友達だから」

「……お友……だち?」

「そうやで?わいは爽やんの友達や」

剱がカカッと笑って秋の頭を撫でようとした瞬間。

「ひぁ!さ、触らないで!!」

「うおぁ!?……大丈夫だって」

剱が触れようとした瞬間に爽太に抱き付いたのだ。

……教室内から異様な空気が伝わってくる。

こんな厨二病じゃなけりゃ可愛い女子が虐められていた過去を知ってるのは俺だけだし。今んとこは俺が心の支えになってるみたいだ。

「うぅ……爽太君……怖かったよ~……」

抱き付き上目使い+涙目の最強タッグでぶつけて来やがった。

勝てるはずがない。

「そうか。うちのアホの子が悪かったな」

「……うん……ヒック……私には……グスン……爽太君が……居る、から……」

「?……そ、そうか。でも他に友達でき「いや!……みんな……怖い……気がする」

やはり過去のトラウマが高校になっても引き摺ってる。

「じゃあさぁ……俺が紹介する友達だったらどうだ?」

「ワイとかな」

「まぁアホの子も居るけど」

「アホの子ちゃうわ!!」

「ひぁ……怒鳴る人……いや」

秋が爽太の制服をキュッと小さい手で握りながら呟く。

「す、すまん。悪かった……えっと~、名前は?」

剱が頭を掻きながら謝り、名前を聞いてきた。

「そうだな。この子はあ「月読秋……」

爽太の言葉を遮ると爽太の聞き覚えの無い名前が出てきた。

「月読……秋?……あれ?お前の名前って秋、月読じゃないのか?」

「なんや?爽やんは月読の名前を逆やと思っとったんか?」

「そうだったのか。でも今更変えるのはなんだから秋って呼ばせてもらうよ」

ニコッと笑って頭を撫でた。

「はぅ……うぅ……あり、がと」

嬉しいのか、秋のアホ毛と言うものが犬の尻尾のよう動く。

「じゃあワイも名前で「貴方はだめ……爽太君は……特別」

「まぁそう言うなら別にいいんやけど。ここで立ち話もなんやし教室に入ろうや」

そう言って剱は教室に入っていった。

「さぁ、秋も入ろう」

「私……爽太君が一緒に、居れば……大丈夫、だよ……?」

「そうか、それはよかった」

そのまま秋は爽太の制服の端をキュッと掴みながら付いて来た。

「ほ~う?その子が噂の保健室のか?爽太君」

朱鷺子が腕を組んで威圧感を大量に流していた。

「会長、秋が怖がってるんで止めてください」

案の定、あぅあぅ言いながら爽太の制服を掴んでおろおろしている。

「しかしだな?隣に居る人を見てみろぉ。笑顔だが机が貧乏揺すりでガッタガタだ」

「爽太~?私が帰った後の事は聞いたわ~、しかしそのロリ娘は何なのかしら~?」

自分の貧乏揺すりで声にビブラートとが掛かりまくっていて何を言っているのかさっぱりだ。

「ふぇ?な、何を……ふんふんしてるの……?」

「今度はなんだよ……って成る程」

秋の方で行われていたのは鈴莉のシキンシップだった。

「ふんふん……ふんふん。ん♪月読ちゃんお友達にな~ろ?」

鈴莉が匂いを嗅ぎ終え秋の前に手を出した。

「ひぅ?そ、爽太君……どうすれば……」

秋が困った顔でこちらを見てきた。

「大丈夫、友達になればいい」

「わ、わかった。……爽太君が言うなら………よろ、しく………ね……?」

「うん♪よろしくね!月読ちゃん!」

二人の小さい手が繋がれた。

「匂いからして最初は爽太君が友達になったみたいだね♪」

鈴莉がフードの耳をピクつかせて尋ねた。

「ち、違う、よ?……そ、爽太君、は……こい……びとさん…」

「にゃ」

「な、なななな!?」

「バキンっ!!」

「なんやてぇぇぇ!?」

皆が秋の言葉に絶叫する。

俺は何が起きたのか解らず、これしか言えなかった。

「……はい?」



次回、厨二病③

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