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入学式当日②


更新です!


なぜこうなったんだろう。

なぜこんな荒ぶった入学式になったんだろう。

この飛び交う怒号、何かしらの金属が摩れたりぶつかり合う音が体育館内に響きまくる。

「爽やん!はよう戦え!!」

あの関西弁の男子も後々名前を訊いたら神谷 剱と言うらしい。

その剱が双剣を使って他の生徒とぶつかりながら言ってきた。

「爽太!!しっかりしてよ!!こっち手伝って!!」

あの様子の変だった楓も手に持っているナイフを器用に駆使しながら可憐に舞っていた。

「い、いや……状況が把握出来ないんですけど」

「まったくだ私も爽太君に賛成だ」

隣で椅子に座りながら裁縫をしている朱鷺子さんが頷いた。

「うにゃぁぁぁ!!爽太君!!暇してるんだったらこっち来てぇぇぇ!!きゃぁぁぁ!!」

「お前は逆におまけを引き連れながらこっちに来るなぁぁぁ!!!」

何故か爽太も鈴莉と追われるハメになった。

「何でこっちに来んだよ!!お前召喚士だろ!?何か召喚しろよ!!」

「そ、そんなこと言ったってすずまだ呼べないも~ん!!」

後ろからは別のクラスの生徒が追ってくる。

絶望的だ。

何か楓や剱は俺の能力に期待しているらしいがそんな背水の陣で必勝の!!っと言って相応しくない能力だから期待されても逆に虚しさを覚えてしまう。

何だろう……簡単に言えば絶体絶命?

「なぁ鈴莉。この状況って絶体絶命?」

「にゃっ!?爽太君不吉な事言わないでよ!!」

絶体絶命は合っていたらしい。

しかしこんな状況になっていたのは楓に連れてこられた後の事だった。


30分くらい前の事だった。

さっきも言ったが、俺と朱鷺子さんが楓につられながら体育館に来たとき、そこでは新入生達が真剣かつ静かに校長の話を聞いている最中で幼女先生がこちらを笑顔で見てきた。

多分それは外面だけで中身は『いい加減にしろよ』とか思っているんだろう。

「爽太……席、私の隣だから」

「あぁ分かったよ。この至近距離で俺を見ている人は?」

「さぁ、でも私たちと同じクラスなんでしょ?」

「そうみたいだけど……どうなんですか?」

振り向くと鼻と鼻がかするぐらい顔が近かった。

「ん?私か?私の名前は紫咽朱鷺子だ。よろしくな」

「いや名前を訊いた訳じゃなくて……顔近いです」

「ん?そうか?可愛い君を近くで見たくてねついつい……」

「いやそれも訊いてないです」「だったら何が聞きたいんだい!」

なんかおむくれになってそっぽを向かれたんですけど。

困って頭を掻きながら楓を見たが不満タップリの顔でそっぽを向かれた。

「………取り敢えず………席に行かないか?」

二人を宥めて自分の席の元へ向かった。


「ん?最上やないかい、大丈夫か?」

丁度席の近くに関西弁の男子こと、剱が居た。

「あぁ大丈夫だよ……って名前を言ってなかったな。最上爽太だ、よろしく」

俺は手を差し出した。

「ワイは神谷剱や、よろしゅうな!」

剱は俺の差し出した手と握手した。

『そこ、うるさいですよ?(黙っとけよ、小僧ども)』

幼女先生が注意してきた。

「剱、ちゃんとした自己紹介は後にしよう」

「そやな、後でな」

そう言って剱はまた長く眠たくなるような校長の話を聞き始めた。

そんな眠さと戦っていると。

「爽太、あの人……居ないんだけど」

隣に座っていた楓が周りを見回して言ってきた。

「あの人って……朱鷺子さんか?」

言葉は無しに頷いた。

「あれ?空席が1つあるな。何処に行ったんだ?」


爽太が楓と同じくして周りを見渡すと………居た。

しかも外に出てるし。

めっちゃ周り見渡してキョドってる。

「楓、ちょっと席外すから何とかしてくれないか?」

「………仕方ないわね、分かったわ」

ばつが悪そうな顔をしながら腕を組んだ。

あのヒステリックな楓は何処に行ったのやらまたツンケンしている。

情緒不安定の何ものでもない。

すこし心配だが……いつも通りの楓になったから大丈夫か?

それより今は朱鷺子さんだ。

なぜあんな所に行くんだ?

もしかしたらかなりの方向音痴?

完璧に見えても何処かは抜けているんだな。

「まぁ不思議な人なのは確かだな」

はぁ、と溜め息を吐きながら密かに脱け出そうとこころ……

「爽太君?すずを置いて何処行くの?」

………小娘に見つかった。

しかし彼女でもないからこいつは置いていく。

「先生~、爽太もごっ!」

いや連れていこう!こいつを此処に置いていくと厄介だ!

「鈴莉、連れてってやるから黙っててくれ」

鈴莉の口を手で塞ぎながら聞くと顔を赤らめながら頷いた。

「何を想像してんのか分からんが幼女に興味は無いぞ」

「む~……」

なんか項垂れたな。

自分が幼女なのは認めるんだな。

「まぁいいや、行くぞ」

鈴莉を腋で抱えながらその場を静かに移動した。


何とか脱け出し朱鷺子さんの居るグランドに出た。

「あ、居た居た。朱鷺子さ~ん」

困り顔でキョロキョロしている朱鷺子さんがこちらに気付いて涙目になりながら近寄ってきた。

「爽ちゃん!何処に居たんですかぁ~」

なんか朱鷺子さんのイメージがかなり崩れた瞬間だった。

だって、俺の事を……

「「爽ちゃん?」」

って呼んだのだからだ。

しかも何時もは偉そうな口調なのに今の口調はまるでブラコンの姉のようだ。

……まぁ、俺はその一例を知っているのだが……そっちはブラコンの度を超越している。

「あ、あの~キャラ変わってません?それにいつの間に抱き付いたんですか?」そう、いつの間にか俺に抱き付いており、そのグラマーで豊かな双丘が俺の肌にむにゅっと潰れる。

それに加えて朱鷺子さんの髪からシャンプーの良い匂いが鼻を擽る。

「むぅ……爽太君、すずと言う幼馴染みを放っていいのかなぁ?」

にへら~っとする爽太の前に突き出されたものは……ある人のメールアドレスだった。

それを見るなりハッと目が覚める。

「鈴莉!早まるな!まだやりたいことが沢山あるんだ!!」

朱鷺子を抱き締めながら言い訳をした。

まったくもって説得力は無いだろう。

てか皆無だ。

「はっ!?そ、翔太くん!?」

さっきの甘えん朱鷺子モードが解けたらしく正気に戻ったが……

「俺の名前は最上爽太だ、そんな今にも空に翔んでいきそうな名前じゃない」

「あぁ、すまない。爽太君、私が取り乱したみたいだね」

「まったくだ。いきなりブラコンの姉みたいになりやがって」

はぁ、と溜め息を吐いてふと鈴莉を見た。

どうやら電話中らしい。

「あ、もしもし?お宅の旦那さん浮気してますもにゃ!?」

「な、何言ってんだよ!?何故にガセネタを!!相手は誰だ!!」

ケータイを取り上げて出てみると……

「………爽太?今……そっちに行くわ」

ガッデェェェェッム!!!

「鈴莉!!おま、バカじゃねーのか!?」

「にゃん♪激しいよぉ」

「言ってる場合かぁぁ!!」

あぁどうしよう!どうしよう!!

ここはグランド、隠れる所何てねーよ!!

そうだ、今からでも……

爽太は自分のケータイで楓に電話するが……

『こちらは留守番電話です。今そちらに向かっているので少々お待ちください』

電話の切れた音が聞こえた。

つまり今のは留守番電話ではなく本人その物の声だ!!

「あら、これはこれは……黒髪で眼鏡っ子で巨乳の……好きの最上君じゃない」

「巨乳の次はなんだ!!」

てかいつの間に俺の背後に来やがった!!

「なんでもないわよ……だけど幼馴染み二人を放っといて、新たに三人目を作る気だったのかしら~」

「幼馴染みを大量生産出来るか!!」

「でも二人作り出してるじゃない」

「じゃない!」

鈴莉と楓がどや顔で言って来たがそれは自然になった事だ!!「ふん、私はあんたなんか嫌いだけどね。彼氏居るし」

「!!!???」

爽太の口から声にもならない叫びが響いた。

「爽太君!君には私が居るではないか!」

朱鷺子が爽太の後ろから肩を叩いた。

「って言うのは嘘よ」

周りの時間が止まる。

……嘘なのか?

「それとあんたが私を情緒不安定にさせたんだからね!」

そしてデレた!?

爽太はあんぐりした口を戻して答えた。

「どうゆうことだよ!?」

「さて、私依頼はそつなくこなすわ」

「しかとですか!?そして依頼ってなんだよ!!」

「私自身の依頼よ」

「自立心がはんぱじゃない!!」

「特典として私の守護霊になるか怨霊になるか選ばせてあげる」

「無駄なサービス精神!?」

「ごめんなさい。少し間違ったわ」

「何をだ!」

「守護神だったわ」

「どこの球団のピッチャーだ!!」

なんだこの不毛な会話は!埒が空かないぞ!!

「楓!なんでそんなどっかの○ハラさんみたいになってんだよ!!」

そんな情緒不安定な楓とやり取りしているとサイレンがなった。

『一年生の皆さん、休憩時間は終了です。速やかにクラス対抗の戦闘を開始してください』

……はぁ?

「爽太!行くわよ!!」

「爽太君!すずたちも行くよ!!」

「爽太君、私たちも行くべきだ!」

「へっ?あ、へっ?なにが?どうゆうことだよぉぉぉ!!」

三人に引き摺られながら会場に着いて最初の展開になるのであった。




なぜクラス対抗の戦闘が行われているのか……その理由と爽太の職業に異変が!?



次回、入学式当日③

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