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ルークの様子。

 新学期がはじまってから、僕は浮かれていた。生まれるであろう、弟か妹かわからないけど僕の家族になる存在を思って。

 弟でも妹でも一緒に色々な事が出来ればいいと思うんだ。とっても楽しみ。もし妹ならルークには絶対会わせないようにしなければ…。折角生まれた妹がルークに惚れるだなんて考えただけでもぞっとする。

 ルークの幼なじみとしてルークと周りのハーレム陣を見てきたからこそ、余計そう思うのだ。

 ルーク本人はともかく、ハーレム陣の性格次第では殺傷沙汰でも起こってしまいそうである。実際既成事実作ろうとした人も幾人か見た事あるし…。

 生まれた妹がルークに惚れて、何かをやらかすとかそんな事になったら僕泣くかもしれない。

 だってそんな恐ろしい事は想像もしたくない。

 「ユウ…、どうしたんだ?」

 浮かれていた僕にルークは問いかけてきた。

 珍しくユウの周りにはアイワードしか居ない。アイワードは「折角二人っきりなのにっ」とでも言う風に僕を睨んでいる。他のハーレム陣達が居ないのにルークが僕に話しかけてるのが気に食わないらしい。

 そんなのルークに文句を言えとしか言いようがない。

 「何でもないよ」

 僕はルークに向かって答える。

 ルークに新しい家族ができる事を言う気はない。ルークにバレるまでは隠し通すつもりだ。そっちの方が生まれてくる新しい家族のためにもなる気がする。

 もし弟だったらあわせてやってもいいかもしれない。最もそれで「ルークみたいになりたい」とか弟が言いだしても僕は嫌だ。

 悪い奴ではないと思ってはいるが、明らかに新しく生まれる家族にとっては悪影響な存在な気がする。

 名前はどんなのにするんだろうか、どんな子だろうか。

 何だか本気で凄く楽しみで仕方ない。

 そんな風に僕はずっとわくわくしていた。

 新しい家族が生まれる日が近づいてきているのだと、それを思えばどうしようもなく嬉しくて、日に日に僕の心は踊った。












 「……」

 まぁ、そんな僕とは正反対に何故かルークは段々不機嫌そうになっていっていた。

 こんな不機嫌なルークも珍しい。いつも何も苦労はありませんって感じで能天気に笑っているのに。ハーレム陣達ももちろん、そんなルークの様子に気付いている。

 どうして不機嫌なのだろう、様子がおかしいのだろうと色々思案しているみたい。

 ちょっと僕も気になる。

 こういう風なルークは珍しいというか、見たことないし。

 気になるいうか、こいつどうしたんだと正直思う。ルークが本気で不機嫌になっているのなんて初めてだから正直見ていて困惑した。

 何だかルークみたいな奴が不機嫌な顔をしていたら不吉である。ルークをそんな風にする原因が最近あったのかと思考を巡らせるが答えは出ない。

 本当にいつも通りだった。

 何もおかしな点はなかった。

 ルークの周りでは僕が見る限りは変化はない。

 ならば、何でこいつはこんなに不機嫌で、様子がおかしいのだろうか。

 謎すぎる。本気で不吉だ。

 折角新しい家族が出来るって事で心が躍って仕方がないのに、嫌な予感がヒシヒシとして喜んでいるだけでいられない。

 僕は素直に喜びたいのに。

 寧ろ新しい家族についてだけを考えていたいのに。

 「……ルークどうした」

 だから、僕は速くいつもの調子に戻れよという気持ちを込めて、ルークに問いかける。

 「何でもない」

 やはり様子がおかしい。

 ルークは成績は良いが、何処か頭は緩い。簡単に人を信用してしまうような馬鹿なのだ、ルークは。

 悩み事は基本的に素直に言う人間なのだとも僕は知っている。

 でも今のルークは僕にその悩んでいる事を話す気はないらしい。まずこの時点でおかしい。幼なじみの僕には大抵ルークは悩み事をいった。友人同士で隠し事をするというのがルークは嫌いだ。

 何でも話す関係なんてほぼないと言えるのに、それがあると信じて馬鹿みたいにルークは信頼する人に何でも話すのだ。

 少なくともルークは嘘をつけるほど器用でもない。

 昔からずっと一緒に居たからこそ、その位わかる。寧ろルークが平然と嘘をつけるようにでもなったら僕は唖然とする自信がある。

 何でルークはこんなに最近様子がおかしいのだろうか、と不思議に思っていた。

 でもあいつが何もいわないなら放っておいてもいいかと僕は普通に過ごしていたわけだが、不機嫌なルークと一緒に居ても面倒そうだとあまり近づかなければ、ルークの方から話しかけてきた。

 「…何で最近機嫌がよさそうなんだ」

 「あー、秘密」

 何でこいつそんなに僕が機嫌が良いのを気になっているかは謎だが、とりあえず生まれてくる家族を思えばルークにそれを知らせないのは当たり前である。






 それから、十数日後、機嫌の悪いルークが我慢できないとばかりにいった言葉は僕が予想もできないものだった。







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