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ルークの実家。

 母さんに『弟か妹が出来る』なんて驚く発言された、翌日。僕は実家に泊って、近くにある公爵家の屋敷――ルークの実家の前に立っていた。アル様とレィア様に久しぶりに会おうと思ったのだ。

 そういえば、海にいく権利を勝ち取ったのはマー先輩とミサ姉とシル姉とカトリーナだった。

 学園ハーレムはマー先輩以外全滅で、料理は地元ハーレム達の方が断然出来るみたいだった。地元ハーレムはユキノだけ駄目だったみたい。

 よく考えたら学園ハーレムのアイワードとアフライ先生とメキシムは今何処に居るのだろうか。ルークの実家にいてはち合わせるとか嫌だなと思いながらも僕はルークの家のベルを鳴らす。

 しばらくすれば、

 「あら、ユウじゃない」

 公爵家に昔から仕えている侍女のアデリーナさんが出てきた。

 白と黒のメイド服を身につけた彼女は、柔らかく笑っている。朗らかな雰囲気を持っている、青色の髪を持つ女性だ。

 この屋敷に幼いころから度々来ていた僕は彼女の事を慕っている。面倒見のいい人で、久しぶりに会ったからか笑みが零れた。

 「お久しぶりです。アデリーナさん」

 「ルーク様は現在いないわよ?」

 「知ってます。今回はアル様とレィア様に挨拶とご報告があってきたんです。ところで、海に行かなかったルークハーレ…いや、ルークの友人達って今居るんですか?」

 心の中で学園ハーレムとかルークハーレムとか言っていたせいで、思わずそう言いかけて友人と言いなおす。流石にハーレムと口にするのもどうかと思った。

 「あの方達なら居ますよ」

 「げ……」

 ルークが居ない分大人しいかもしれないけど、それでも此処にいるってのは嫌だ。折角アル様とレィア様に会いに来たのにおられると邪魔だ。まぁ、流石にルークの実家でそこまで何かやらかさないとは思いたいけれども…。

 アデリーナさんはげっなんて声をあげた僕を不思議そうに見ている。

 「ユウはあの子達が苦手なの?」

 「あー、はい。面倒なのであんまり関わりたくはないです。今回はアル様とレィア様に報告に来たので。あ、そういえばアースっていつ帰ってきますか? 夏休みなら一度ぐらいは多分実家帰ってくるでしょう?」

 「じゃあ、ユウが来た事を彼女達に言わないでおくわ。あとアース様なら4日後に一度帰宅すると連絡を受けてるわ」

 「そうなんですか。休み二日しかもらってないので、その日はバイトです」

 うん。バイト休みは二日しか取ってないし、その日はバリバリ僕は働いている最中だ。アースとは今回は会えないな。まぁ、アースが魔法具店に顔を出すならわからないけれど。

 そのまま僕はアデリーナさんにアル様とレィア様の元へ案内してもらう事になった。

 此処に勤めている侍女や執事の人達には昔からお世話になっているから、挨拶をしながら進んでいく。

 公爵家だし、廊下からして豪華さがにじみ出ている。本当に幾らするんだって思うような絵とかが普通にかざられているんだ。まぁ、絵のよさとか僕にはよくわからないけれど。あと明らかに高そうな壺とかも置かれている。

 しばらく歩いて、アデリーナさんは寝室の前に立ち止まった。

 アル様とレィア様は寝室でのんびりと過ごしているようで、アデリーナさんがノックをして「ユウを連れてきました」といって中に入っていくのに僕は続いた。

 二人とも仕事とかパーティーとかで忙しいから家にいない事も多いんだけど、今日は両方揃ってるみたいでよかった。

 「アル様、レィア様、お久しぶりです!」

 僕は部屋の中に居た二人に近づいて、そう言葉を放った。

 「久しぶりだな、ユウ」

 「久しぶりね、ユウ」

 二人はそういって、笑ってくれる。

 アル様は銀色の美しい髪に、黒眼で、整った顔立ちをしている。レィア様は艶のある黒髪を腰までのばしていて、目は黄色に輝いている。

 二人とも着ているものからしても、身のこなしからしても一目で貴族とわかるようなそんな二人だ。まぁ、アル様もレィア様も僕の通っている学園の出身で戦う事も出来るけれども。レィア様の実家は確か伯爵家で、学園で出会ってからの長い付き合いらしい。

 レィア様の左手の薬指には赤い宝石の結婚指輪が輝いている。貴族だと政略結婚とか愛のない家庭とかも結構あるらしいけど、二人は仲良い夫婦だ。二人が並ぶと何だか絵になる。実際、この家の書斎にはルークが生まれた時に書かれた家族の写真があるのだが、それは凄く綺麗な絵なのだ。

 「実は、今日報告があってきたんです」

 二人には幼いころからよくしてもらっているし、速く新しく家族が出来る事を伝えたかった。

 「報告?」

 「はい。実は母さんのお腹に赤ちゃんができてるらしいんです」

 僕がそう告げればアル様もレィア様も驚いたような顔を浮かべた。実は父さんが庭師として此処に勤めているし、もしかしたらもう知っているかもと公爵家に来る途中に思ったのだが、どうやら言ってなかったらしい。

 「まぁ、それはよかったわね」

 「家族が出来るのはいいことだな」

 レィア様とアル様がそうやって笑ってくれる。

 「はい。僕も嬉しいです。一人っ子だったから、凄く楽しみで」

 僕は一人っ子だし、家族が新しく増えるってのは何だか嬉しい。

 生まれるのはまだ先だろうけど、楽しみだ。

 妹だったらとりあえず…、ルークに惚れないようにさせなければ。ルークも貴族の息子だし、結婚をそのうちするだろう。そんなルークに妹が惚れたら嫌だ。

 愛憎劇になったら困るし…。もういっその事ルークに会わせないようにすべきな気がする。ルークの近くにいるだけで愛憎劇なんていう教育に悪いものを見せられる可能性もあるだろうし…。僕も何度か見た事あるしなぁ…。

 「いつ生まれるのかしら?」

 「秋から冬にかけてだって母さんが言ってました。早ければ夏休みが終わってしばらくした頃ぐらいに生まれるんじゃないかなと思います」

 そんな風に僕とアル様とレィア様は会話を交わす。

 


 それからしばらくして、僕はそのまま魔法具店に帰った。学園ハーレム達には会わなくてすんだからよかった。あったら本当にめんどくさいから。

 さて、明日からまたバイトを頑張ろう。生まれてくる赤ちゃんにも何か買ってあげたいし。



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