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実家に帰る

 料理対決とか色々あった後、僕はバイトに休みをもらって実家に帰る事にした。

 本当、実家に帰るのも久しぶりだ。父さんと母さん元気かな。通知表も見せなければ。ちなみにアフライ先生が馬鹿な事しないか少し心配してたけど前にセト先輩に怒られてからは自重しててまっとうな成績だった。

 筆記は割と得意だし、実技は大会で頑張ったのもあって結構好成績だった。ルークは相変わらず全て良かった。ハーレム陣は一応ルークと混じって勉強していたから、そこまで成績は下がってなかったらしい。元がいいからなのも理由だろう。

 そういえばセルフィードは友人達と頑張ったらしく、成績上がってたらしい。

 お店から実家は少し距離がある。

 朝から店を後にして僕は実家へと歩いていた。途中途中で知り合いの近所の人とかがいて、ちょっと話しちゃったけどね。

 僕の家はルークの馬鹿デカイ家のすぐ近くにある。本当に公爵家の建物って無駄に広いし、使用人が沢山居る。庭も広くて、噴水もある。ルークの自室にもシャンデリアなんてあるし、どれだけ金を使ってるんだろうって思わず僕が思ってしまうほどなのだ。

 実際、ルークの家と僕の家を比べて見ると天と地の差だ。

 でもルークにとってその生活が普通だから僕の家せまいって言われたけど。普通に考えてルークの家が公爵家で金持ちってだけなんだけど。

 学園も貴族が多いから豪華だけど、僕は豪華よりも庶民的な方が何だか落ち着く。

 そんな事を考えながら、家に到着した。

 事前に今日帰るって連絡してたから、二人とも今日居るだろう。会うのも久しぶりだから何だか楽しみで仕方がない。

 ドアノブに手をかけて、家のドアを開ける。

 「ただいま!」

 そして勢いよくそんな声を上げる。

 そうすれば中から二人の人物が出てきた。30代すぎぐらいの女性と男性――その二人が僕の両親。僕と同様目立たないような顔立ちをしてる。優しくて、僕にとって大事な両親だ。

 「おかえりなさい、ユウ」

 「おかえり」

 二人が笑いかけてくれて何だか嬉しくなって僕も笑った。

 バイトに夢中になって休みの時でもあんまり帰ってこないけれども、家に帰ってくると何だかほっとする。家族の傍にいるとどうしようもなう温かい気持ちになれるし、家は居心地がよい。

 帰ってくる場所があるのって幸せだと思う。

 軍人になりただなんてはじめて告げた時は反対されたし、心配されたけれど、二人とも僕が本気だってわかってくれて今では応援してくれている。

 父さんは庭師で、母さんは街の食堂で働いている。

 それから、僕は父さんと母さんと共に食事をとる。

 丁度昼食の時間だったのだ。母さんの作ってくれた料理が目の前に広がっている。学園の食堂の料理は高価で美味しいけど、でも母さんの手作りの料理も好きだ。帰ってきた時はいつも僕の好物の物を作ってくれて、笑顔で母さんは迎えてくれる。

 「学園はどうだ?」

 食事をとっている中で、父さんが僕に問いかけてきた。

 「楽しいよ。色々新しい事も学べるし。武器についても地理についても、戦いについても、ためになる事ばっかりだから」

 僕は学園の授業が好きだ。面白いし、将来軍人になった時に役に立つ知識も多いから。

 セルフィードみたいに卒業したら嫁ぐって決めているような人にとってはちょっと退屈みたいだけど、将来ギルドとか冒険者とか軍人になりたいって人にとってが重要な知識だ。

 まぁ…、楽しんで勉強してるのにルークに点数で勝てなかったのがショックだったけど。何であんなに遊んでるのにあんなに出来るのか凄い謎。

 「そうか。それはよかった」

 父さんが安心したように笑ってくれる。貴族が多い学園だし、父さんは心配してくれていたのかもしれない。

 まぁ、ルーク関係でちょっとめんどくさいけど、少しは慣れたし今はセト先輩とかルアネスみたいな友人とかいるし、マー先輩もいるしね。

 そういえばアイワード達って実家帰らなくていいんだろうか。夏休みなのに。

 何だかずっとルークの実家に居るって感じの話をしていたんだけど。あー、そういえばアル様達に挨拶しに行こう。アイワード達が居ない隙に。海には泊りこみで行くっていってたからあとでいこう。

 二日間休みをもらってるから今日は実家でのんびりして、明日はアル様達の所行こうかな。

 「もっと色々聞かせてくれる? 私、ユウがどんなふうに過ごしているか知りたいわ」

 母さんがそういって笑って、僕はそれから学園での出来事とか、リアーナさんの事とか、色々と沢山話をした。

 母さん達はそれを笑顔で聞いてくれて、穏やかな時間が過ぎていく。

 学園での食事はハーレム達が面倒だけど、家族での食事は何処までも穏やかで何だか気分が良かった。

 「あ、そういえばね、ユウ」

 しばらく話しこんだ後に食事を終えて、食器を片づけている母さんが突然僕の方を向いた。

 「何?」

 「あのね。驚かせようと思っていってなかったんだけど、弟か妹か出来るわ」

 「へ?」

 僕はその時、机に学園の課題を並べて取り組もうとしてたんだけど驚いて持っていた羽ペンを落としてしまった。

 え、今何ていったのという思いで僕は母さんの方を向く。

 母さんは悪戯に成功した子供のような笑みを浮かべて、もう一度言う。

 「だから、今お腹に赤ちゃんが居るの。ユウには弟か妹が出来るのよ」

 もう一度言われた言葉。えーと、母さんに赤ちゃんがいて、僕に弟か妹か、どちらかが出来るって事で…。混乱する頭で考える。驚きすぎて仕方がない。

 「えええ?」

 理解してから驚いた声をあげてしまったのは仕方がない事だと思う。




 もう少ししたら僕に弟か妹かわからないけどどちらかが出来る。その事実を実感すると驚きと共に何だか嬉しさを僕は感じるのであった。



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