表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/58

街が騒がしい理由。

 ルーク達がやってきた迷惑な日の数日後、バイトをせっせと進める中で何処か街内が騒がしいことに気付いた。騒がしい声が、店内まで響いてくるのだ。

 何かイベント事でもあったかと思うけれど、そんな心当たりはない。本当に何か外で起きているのだろうか。

 騒がしいことに煩いと思いながらも術式を刻む作業をしていく。リアーナさんは新作、ギルは《マジックアンチルーム》の改良をまだやっていて、僕は簡単なものを量産しているんだ。少しずつ給料がたまってきていて、いっぱい稼ごうと僕は気合をいれて作業を続ける。

 そんな中で、今日は試作品を試す作業をしていたナタリーが面白そうな顔をして僕とギルとリアーナさんのいる工房へと入ってきた。

 「ねぇねぇ、外でルークのハーレム達が色々やらかしてるわよ」

 ナタリーは面白そうに笑いながら、外の方を指さして言う。

 「……やらかしてる?」

 「ほら、地元の子達だと平和的に争ってルークと一緒に居る権利とかを競ってたでしょう? 私も前にやったことあったけど、それで海に行く計画があるらしくて行けるのは四名だけって縛りつけて何だか外で料理コンテストやってるわ」

 それを聞いて、何をやってるんだろうと思わず顔をしかめた。

 地元ハーレムの面々の目標は平和的に権利を勝ち取るというそういうものだ。殺生沙汰の問題とか、修羅場的なギスギスとかがあの人達嫌いだからってそういう協定を決めているのだ。

 それでたまにお祭り騒ぎになっている。ある意味この街の名物と化しているかもしれない。

 というか、海ぐらい全員でいけばいいのに何で四名に限定とかわざわざするのだろうかと謎だ。でもま、ハーレム人数が多いと厄介事起こりそうだし、そのくらいがちょうどよいかもしれないとも思う。

 「ふぅん?」

 「皆面白がって見てるわよ」

 僕の言葉に、ナタリーが笑って告げる。

 「またあいつそんな事になってんのか…。相変わらず理由不明なむかつくもてっぷりだな…」

 「別にいいじゃない。ギルには私が居るでしょ?」

 「…まぁ、そうだな!」

 相変わらずの二人に思わず苦笑した。何というか、恋人が欲しくて仕方がないっていう人が見たら妬まれそうなほどのいちゃつきっぷりだ。

 というか、ナタリーとギルのいちゃつきはいつも通りだからとりあえず置いといて、一つ気になることがある。

 「……なぁ、貴族って普通料理ってしないよな」

 思わず呟いてしまったのはそんな言葉だ。

 作業していた手を止めて、リアーナさんとギルとナタリーに向かっていえば、三人ともあ、という顔をした。

 学園ハーレムの連中は貴族だ。地元ハーレムの人達は手料理食べさせたいって練習して失敗しながらうまくなったから出来るの知ってるけど。あと、メキシムは確か自分でお弁当作ってきたりしていたから料理は出来るはず。

 でも後は出来るのだろうか…。マー先輩はイメージ的に出来そうだけど。

 そういえばミサ姉達も最初は全然出来なくて、寧ろ隠し味入れようとして壊滅的な味になってたなぁと思いだす。味見してと言われておそるおそる手を出した結果、倒れそうになったから。

 今は料理出来るようになっているけれども、どうして料理したことない人って変な発想にいくのだろうか。

 何て考えながらも、僕は手を動かして術式を刻む。

 「確かに…、普通はしないわね」

 「…ルークの奴大丈夫か?」

 「面白そうじゃないか」

 上からナタリー、ギル、リアーナさんの発言だ。

 面白そうなんて言っている時点で、何だかリアーナさんだなぁという気分になる。

 ギルはナタリーがルークに惚れていた時代の料理の実験台にならされていた。今は凄く料理が得意になっているナタリーだが、昔はちょっと酷かった。

 そういう料理を食べたことがあるギルからすれば、ちょっと大丈夫なのかという気持ちらしい。

 まだ練習してだすならいいけれど、そうじゃなかったら悲惨すぎる。

 「……あとでちらっと様子見にいってみるか」

 思わず僕はそんな事を口にするのであった。

 本気であいつら料理出来るんだろうか…。あんまりそういうものが出来るって想像が出来ない僕はそう思ってしまった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ