魔法の授業(2)
お気に入り数が40行きました。もう一個のより多いです。なんか嬉しいですね。もう一個のと魔法名一緒だったりするけど、世界観は違うつもりで書いてます。
魔法の授業は、教科書で事前に予習し、その詠唱や術式を学び、そして授業で魔法を実践するというものである。生徒会や風紀委員以外が許可なく魔法を放つ事は禁止されている。だから生徒達は魔法の授業などの場合のみ魔法を放つ事が出来るのだ。
術式を頭の中で構築する事が出来、イメージをきちんとすることができれば、短縮詠唱や、詠唱破棄で魔法を放つ事が出来る。
僕は魔法は得意の方だから、結構短縮詠唱とかも得意である。頭の中で魔法の術式を組み立てて、それを表現する。そうして、僕は、魔法を放つ。
「《ライトアロー》」
魔法の名前だけを言う、詠唱破棄。
現れるのは、光の矢。十数本の矢。それが僕の前に出現する。
よし、うまく行った。それに僕は嬉しくなる。『魔法研究部』に入ってるのも魔法が好きだからだし、僕は魔法を使うのが大好きだ。魔法を使う際に体を駆け巡る感覚。その感覚は、僕の気持ちを高ぶらせてくれる。
学園では普段は魔法は使えないから、僕は魔法の授業が好きだ。
「ユウ! 詠唱破棄なんて流石だな」
近くに居たルークはそう言って、僕に話しかけてきた。その瞬間周りに居たハーレム達が僕をきつく睨みつけていた。
「まぁ、魔法は得意な方だから。僕魔法使うの好きだし」
「そうだよなぁ。昔からユウは魔法って付くもの好きだもんな」
ルークがそう言って、笑う。
それを見てハーレム陣達は、
「ルークさん! 見ててください」
「ルーク、私がもっと凄い魔法見せてあげる」
「ルーク、わたくしのも見てっ」
三人同時にそう言う、彼女達。
僕はそんな彼女たちを見ながら、ため息を吐いた。というより、お前ら、ルークの事好きならルークにもちゃんと魔法の練習させる暇を与えてやれよ。魔法の授業でしか魔法の練習なんて思いっきりできないのにそれを妨害して何がしたいんだ。
思わず冷やかな目をハーレム陣に向けてしまう。
それに、ルークもルークである。ハーレム陣達の申し出に、頷くあたり、何と言うか…、この幼なじみは駄目だなと思う。
「…ルーク、人の見てないで練習しろよ」
思わず、そんな言葉が口からこぼれる。
それは、ルークを思っての言葉のつもりで言った。ルークは強くなりたいって、よく僕に言ってるし、こういう時じゃなきゃ魔法の練習できないんだから、っていうそんなつもりで。
「ユウ君! ルークさんは私の魔法を見なきゃいけないの!」
「そうよ。ルークはあなたと違って練習しなくても主席だもの!」
「ルーク、リルードなんて放っておきましょう! きっとルークが完璧だからねたんでるのよ」
わかった、ハーレム陣は自己中なんだな。自分の事しか考えられない、目の前の事しか見えない自己中。セルフィードの発言に関しては、確かにルークは天才って言えるかもしれないけど、天才でも努力しなきゃどうしようもない。主席だからって、授業を怠惰していいっていう理由にもならない。そして、アイワード、それは何の妄言だ。僕がルークが完璧だからねたんでるってそんな事はない。
心の中でつっこむが面倒だから別に口には出さない。
ちなみに、リルードとは、僕の家名だ。
「んー、ユウ。俺彼女たちの魔法見るよ!」
そして、ルーク。お前が一番駄目だと思ってくるぞ、僕は。他人を思いやるというか、優しくするのはいい事かもしれないが、甘すぎるのはどうかと思う。
自分の練習より、人の練習を見る。
聞けばいい事に見えるかもしれないが、それで自分のやる事をサボるというのじゃ、何しにこの学園に来たんだ、という話になる。自分の事も他人の事も、全てうまくできるとでも思ってるのだろうか。
少なくとも、僕はそうは思わない。僕は強くなりたい。あの人の所で働きたいから。だから、自分のために努力する。
勝ち誇ったようなハーレム陣達を見て、僕はまた大きくため息を吐いた。
そもそも、主席がどうのこうのいってるけど、授業の成績での優秀者と実戦での強さって違うと思うんだが…。
「ルーク、本当に自分の練習しなくていいのか?」
一応、最後に聞いておく。これでしなくていいっていうなら、僕はルークが魔法の練習をしないという事に関して干渉しない事にしようと思った。幾ら言っても聞かないなら言うだけ無駄である。
「いいんだ。だって皆見てほしいって顔してるから」
そう言って、笑ったルークに、僕はまたあきれてしまった。
そうして、結局ハーレム陣はルークにほめてもらいたいがために次々に魔法を披露し、ルークはそれを見てほめたり頭をなでたりするだけで、自分の魔法の練習は一切しなかった。
…それで本当にいいのだろうかと思うが、本人がいいらしいからもう放置を貫こうと僕は思った。