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帰宅中です。

 夏休みが始まって、僕は今馬車の中に居る。

 というのも、ルークは貴族だし、馬車に乗って実家に帰る予定で、リアーナさんのお店も実家の近くなので、行き先も同じだからと一緒に乗せてもらっているのだ。

 馬車は、アル様が金を出してくれてるだけあって広いし、豪華である。基本馬車って平民の僕は乗らないし、何だか乗り心地は悪い。本当は業者協会で馬借りて帰ろうかと思ったんだけど、ルークに誘われて、お金もかからないし、その分のお金を魔法具に使えるって事で今僕は馬車の中に居る。

 ちなみに、

 「ルークさんの実家楽しみです」

 「ルーク、楽しい夏を過ごしましょう」

 「ルークの実家か…。これで両親にご挨拶を…ブツブツ」

 「ルー君とユウ君の住んでた所かぁ、楽しみだなぁ」

 メキシム、アイワード、アフライ先生、マー先輩も来ている。

 マー先輩は、ルークに惚れているわけだし、メキシム達が実家に来る事を聞いて参戦してきたのだ。ルークはもちろん、周りの事を友達としか見てないから沢山居た方が楽しいという事で了承をした。

 周りが睨んでたけど、嬉しそうににこにこと微笑んでいたマー先輩は何だかある意味強いと思った。

 というか、アフライ先生、ご両親に挨拶って……、アル様もルークの母親であるレィア様もルークの惚れられやすい体質昔から知ってるし、付き合ってもいない女性に挨拶されても相手にしないと思うんだけど…。

 ちなみに言うとセルフィードは来ていない。ルークはあんまり自分から誘ったりしないし、セルフィードもルークに夢中になってる間離れてた友達と精一杯遊ぶだの何だのいってルークの所に押しかけてはきていなかったし。

 セルフィードの友人だという女子にはものすごい、謝られた。

 「ごめんなさいね、この子、夢中になると暴走しちゃって」「ミクがごめんね」「今回は一月以上持ったかと思ったから本気かと思ったんだけど…」なんていって、セルフィードに頭を下げさせてた三人組は寧ろ、友人というより親とか姉ぽかった。セルフィードが手のかかる末っ子の妹みたいなイメージに正直なってた。

 馬車の中までこんな調子って何か色々めんどくさい。そもそもだ、乗る時でさえルークの隣に座るのは誰かという争奪戦があったのだ。僕の隣に座ろうとしたルークに、何をやってるんだ、こいつと思ったのも仕方ないと思う。

 結局、隣にはアイワードとメキシムが座ったわけだけど。で、僕側の椅子にアフライ先生とマー先輩が座ってる。隣のマー先輩は、いいけど、アフライ先生は悔しそうな顔しすぎである。あんた、大人なんだし餓鬼に現抜かさないで大人とお付き合いしたらどうなんだと思う僕であった。

 そもそもアフライ先生って何歳だ? どっちにしろ13歳の子供にまとわりついてる大人って何かアレだ。

 「そういえば、ユウ君はバイトするんだよね、頑張ってね」

 「はい。泊まり込みでバイトします」

 事前に父さんと母さんに泊まり込みでバイトするって手紙も出したし、リアーナさんにも《通信鏡》で連絡とって了承もらったから僕は泊まり込みでバイトに励むつもりだ。

 ルーク戦で使った《マジックアンチルーム》は試作品だったんだけど、何でもきっちりと秋にでも売り出す予定だからきちんと発動するかどうかの確認とか、制作の手伝いもする予定なんだ。

 魔法具作成ってのは、新しいものを作ろうとすると失敗する例も結構あって、僕も《武器ホイホイ》の時ハンマー二個ほど駄目にしてアレできたんだ。ハンマー自体は魔法具に比べたら断然安いんだけど、失敗し続けると損失なわけだしね。ハンマーに刻み込んだ術式は、あんまり利用性のない術式として、リアーナさんの店に置いてあった術式の本に載ってあったんだけど。

 発動しない不良品を売り出すわけにもいかないから、魔法具の性能を確認する従業員とかも居るんだ。魔物相手に使ってみて、死体を解体して性能を調べたりとか。まぁ、薬とかと一緒で実験しなきゃいけないわけ。

 「ユウ君は頑張り屋さんだね、偉い偉い」

 「って、マー先輩、子供じゃないんですから頭なでないでください」

 バイトします、と意気込んで答えたら何だかマー先輩に頭をなでられた。外見だけでいったらマー先輩の方が年下に見えるのになぁと思う僕である。というか、頭なでられるとか何だか恥ずかしい。

 「なぁ、ユウ、泊まり込みっていっても家には来るだろ?」

 「一回ぐらいは行くかもな。父さんに顔見せにいくぐらいはしたいし」

 僕の実家は、公爵家の豪邸から歩いてすぐの場所にある普通の家だ。父さんは、毎日のように公爵家に通って庭師として仕事をしているので、大抵公爵家の庭に居るのだ。

 アル様と父さんは、主従関係だけど、結構仲良いし、見ていて普通の友人関係に見える。父さんはアル様を様付けしてるけど軽口も叩けるぐらいだし。そもそも十年近くもう公爵家で庭師やってるしね、父さんは。

 「あとカトリーナ達にも会いにいこう」

 「そうだね…」

 カトリーナ、というのは古くから居るルークハーレムの一人だ。花屋の娘で、黒髪の可愛らしい少女だ。僕の友人でもある。

 そういえば、地元にはルークハーレムまだまだ居るじゃないかと思うとなんとも言えない気分になる。とはいっても長い年月をかけ、ルークへの恋愛感情を無くし、恋人作ったりしてる人ももちろん居るけど。リアーナさんの店で働いてる従業員の一人も、それである。

 つか、カトリーナなんていう明らからな女の名前出した途端の一瞬のメキシム達の顔に正直引く。それでいてルークがそちらを見た瞬間、にこにこしてるって何か本当女って怖いって気分になる。

 それにしても、同じ屋敷内にメキシム達を泊らせるかぁ、まで考えて過去にそういえばこいつ使用人に既成事実作られかけてなかったかと思いだした。あれ以来使用人の選抜は厳選らしいので、多分使用人は大丈夫だろうけど、こいつらもそこまではしないだろうけど…、万が一があったら困るし、アル様にいっておこうかななんて思う。

 ルークの地元ハーレムには、ルークに惚れてる面子にだけ敵対心の強い強気な子もいるし、よく考えれば衝突しそうだ。学園ハーレムと。寧ろ、学園ハーレムVS地元ハーレムとかになりそう。

 ルークって貴族だけど、平民を蔑んだりしないわけだし、結構人脈持ってるしな。地元に友達(もちろんハーレムも含む)沢山居るし。



 ……まぁ、実家ならアル様やレィア様がどうにかしてくれるだろう、と僕は他力本願な思いを胸に面倒事起きなければいいなぁと思いながら馬車に揺られるのであった。

 

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