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ルーク戦(1)

何だか書く気分になって、一気に書いてしまった。

次の更新は多分2月かなぁと思います。

 ――――ルーク戦当日。

 僕は控室の中で大きく息を吐く。そうして、《亜空間》の中に入っている魔法具を確認する。ルークを倒すためには魔法具は不可欠だ。

 実際、身体能力面とかでは断然ルークの方が上だしなぁ…。魔力量だって圧倒的にあっちが上だし、今回はルークが見知った相手だから、強力な魔法に対抗する魔法具とかも色々準備しているけれど…。やっぱり、戦う前に相手の情報を知っているってのは一つの有利な点だと思う。

 まぁ、ルークは僕が相手だと知っていても、きっと僕対策に何かするとか考えもせず、ハーレム達と遊んでたんだろうけど。ああ……、何か悪気はないんだろうが、余裕がルークから伝わってきて、ちょっとむかついた。

 本当に最近のルークはサボり気味で、お前が女に甘いのは知っているが、自分の事も考えられずにどうする、と聞きたい。そして、絶対いつか騙されるぞと言いたい。ハーレム陣達ももっとルークの事考えればいいのに。

 恋は盲目とはいっても、なんというか、もっと考えろよって言いたくなる。

 ちなみに、控室にはルークもいるけれど、昨日僕に敵だって言われた事がそれほどショックだったのか何なのか知らないが……、話しかけてはこない。というかそのくらいでショックを受けるなよ、と言いたくなる。

 そもそもぼーっとしてる暇あるなら自前の魔法具の長剣『イーサ』でも磨いとけよ。何だか普段と変わらない様子だが、試合前だって自覚ちゃんとあるのか…?

 そんな事を思いながらも、試合の時間が近づいていく――。





 『それでは、ルーク・ヴェーセトン対ユウ・リルードの試合が始まります。

 方や、大公爵家の跡取りにして天才。方や、腰巾着と噂されてたのに、以外と強い、ユウ・リルード!』


 腰巾着と噂されてた、ってちょっとへこむぞ、とそんな事を思いながらも試合は始まる。

 ルークは長剣を構えたまま、こちらにそのまま駆けだしてくる。相変わらず一直線というか、小細工なしに向かってくる奴である。

 さてと、まずは―――、そう思いながら僕がじっと見るのは、ルークの魔法具『イーサ』。ルークは他に魔法具は所持していないはず。そして、《亜空間》も持ってないはずだから、一つ一つ、それを潰す。

 ―――正面からやり合うんじゃ、確実に負けるのだから、思考を働かせて、勝つしかない。

 炎を纏った長剣が、僕に向かって振り下ろされる。それを僕は避け、そのまま、予選で使ったあの靴で空へと飛び上がる。

 

 「《エンジェルウインド》」


 うわ、やっぱり…と思いながらも、魔法で背中に天使の羽をはやして、僕と同じように空中に飛び上がるルークを見る。

 結構難易度の高い魔法のはずなのだが、普通に無詠唱で発動させているあたり、流石ルークとしか言い様がない。ルークの魔力量は底が知れないからな。

 《エンジェルウインド》はただの浮遊ではなく、移動が可能だからこそ、難易度が高い。空中で移動できる魔法。普通の人がやると、結構魔力が切れて途中で落ちたりするらしいけど、ルークに限って魔力切れはありえない。

 ……天使の翼をはやしたルークを見てハーレム陣達がキャーキャーいっている声が耳に届いてくる。

 僕はふぅと気合を入れて、ルークを見た。

 炎を纏う長剣『イーサ』を振り回しながら、僕に向かって炎を飛ばしてくる。実は、『イーサ』には魔力を流せば炎を纏うという効果だけでなく、炎を飛ばすという遠距離型の攻撃もあるのだ。

 それを避けながら、僕は《亜空間》から、弓矢を取り出す。その矢の先端には小さな瓶が取り付けられてる。炎を纏う『イーサ』を手にもち、向かってくるルークに距離を取りながら、狙いを定める。

 ―――多分、ルークは僕に強力な魔法を使う事を躊躇っている。ルークはそんな甘い奴だ。

 だったら、安心して狙える。僕が狙うのは、ルークの『イーサ』。

 丁度、矢の先端についている瓶の中身が、『イーサ』に少しでもかかればいい。そうすれば、とりあえず、一つの目的は完了する。

 そうして、僕は弓矢をびゅんっと放った。ルークは、その一本の矢を自分自身にあたるとでも思ったのか剣で払う。

 パリンッと、瓶が小さな音を立てて割れて、それは、ルークの『イーサ』へとわずかにかかる。

 ルークは不用心だ。瓶がついてるとわかってる癖に、大した効果もないとでも思ってるのか、簡単に『イーサ』にかからせてしまうなんて。最も、ルークは液体が『イーサ』に作用するなんて考えてないのかもしれないけど。

 液体が『イーサ』へとかかり、それは、『イーサ』全体へとしみわたっていく。

 ――――そうすれば、『イーサ』の纏っていた炎が一瞬にして姿を消した。

 『イーサ』の持ち主であるルークは、え、とでも言う風な間抜け面をした。






 ―――僕が今『イーサ』にかけたのは『魔力の流れを遮断し、物体にかかると物体全体にしみわたっていく液体』だ。正式名称はない。

 『イーサ』は魔力を流すことで炎を出現させる魔法具だ。だからこれで炎を纏うという機能や炎を飛ばすという事が効果が効いている間だけだが、出来なくなったわけだ。

 《変質の瓶》という魔法具がある。それは中に水などの液体をいれて、魔力を込めながら液体の性質をイメージするとどんな液体にでも姿を変えてしまうという優れものだ。

 とはいっても、定価は金貨80枚もする高価なものである。制作者と知り合いで、どうにかまけてもらって金貨70枚にしてもらい、その後、魔法具作りを手伝ったり、お店のお手伝いをしてその働き分まけてもらって、自分で作った魔法具を売ったお金と今までとっておいたお金をどうにか使って、半年前に手に入れたのだ。

 あの時は本当に頑張った。魔法具作りの手伝いとかお店のお手伝いとか、毎日のようにして、ようやく金貨50枚にまけてもらえて、頑張って魔法具を作って売って…ってやってたからなぁ。《変質の瓶》に目をつけてから一年以上かかってようやく手に入ったんだから、本当に苦労した。

 しかも、まだ水を温かいものに変えるとか、そういう小さな変化なら魔力をそんなに使わないけれども、今回の液体はかなり細かい性質にしてあるから魔力消費が半端なかった。

 《変質の瓶》で作ったものを別の瓶に移して矢にくくりつけていたのである。流石に、苦労して手に入れた《変質の瓶》を駄目にはしたくなかったのだ。


 ―――とりあえず、成功してよかった、と僕は一息つくのだった。

 

 

ようやくルーク戦です。

魔法具は感想で読者様が考えてくれた奴です。使えそうなので使ってみました。


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