昼食+クラスメイト達
プロローグ、少し変更
「ルーク、これ私が作ったの!」
メキシムがそう言って、ルークにお弁当を差し出している。
それを見ながら周りのハーレム陣は自分もお弁当を作ってくればよかった。とでもいう風にメキシムを睨みつけている。
今僕はルークに連れられて屋上に居る。天気がよく、青空が広がる屋上は気持ち良いけれども、こいつらと一緒なのが残念だ。
昼飯を食べるためなのだが、僕は此処に居る必要全くないと思う。ハーレム陣達が、ルークに気にいられようと必死すぎて、何だかなぁ、と思う。
メキシムはお箸で、自分の作った卵焼きをつかんでバカップルがやりそうな、あーんをやろうとしている。人前でそう言う事をする、なんて羞恥心はないのだろうか。そして、ルーク…、恥ずかしがってるのは当たり前の事だが、恥ずかしがってるだけじゃ周りからは喜んでいるようにも見えるぞ。
僕は昔からの付き合いだから、困ってるのなんとなくわかるけど。多分メキシムは照れ隠しで嫌だと言ってると思ってるだろう。
メキシムがルークにあーんをして、それを嫌がってるルーク。そしてその様子を見つめながら、悔しそうな面々。やっぱり、僕この場に居なくていいよなぁ? と、再度思う。
正直ルークに、助けてくれとでもいうような視線を向けられても、困る。僕はハーレム陣達になるべく関わりたくはないのだ。というより、めんどくさい。自分に向けられる好意ぐらい自分でどうにかすればいいのに…。ルークは驚くぐらい鈍感だし、恋愛感情を向けられてるのに気付いていないのかもしれないけど。
それでも、自分でどうにかしろよ、と僕は一応何度も言っている。しかしなんだろう、ルークは何と言うか、完璧超人ではあるが、僕から見たらヘタレにも見える。
「ルーク、僕食べ終わったから、先行くよ」
「ちょ、ユウ…待てっ」
さっさと食べ終えて、お弁当箱を片づけて、立ち上がれば、ルークの必死な声が響いた。
「いや、此処いてもする事ないし、戻る」
僕はそれだけ言うと、何か言いかけているルークを置いて、僕は屋上を後にする。
屋上の階段を降りながら、僕は思う。大きくなるにつれて、ルークのハーレムはすさまじくなっている気がする、と。元々昔から女をやたらとひきつける奴だったのは、確かである。
僕には到底わからないけど、周りの少女たちからすれば、ルークにはそういう、惹かれる魅力があるらしい。まだ昔はよかった。こういう昼休みに一緒に昼食を食べながら、僕はルークと普通に会話を交わしていたし、ルークに好意を向けている人間は確かに居たけど、もう少しゆっくりできていた気がする。
そもそも、この学園で形成されたルークのハーレム達は、何と言うか、めんどくさいの一言に尽きる。僕がルークに厳しい事を言えば、すぐに暴言を吐いてくる。それに、今回のハーレム達は、なぜか成績上位者とか、実力者ばかりだ。それでいて、僕の成績が彼女達より低いからって、煩い。
…………ああ、面倒だな。
そればかり思いながら、教室へと向かった。
教室の扉をガラッと、開けて、中へと入る。
クラスメイト達は、僕にちらりと視線を向けるだけだ。男子生徒達からは、ルークと仲良いからと突っかかってこられる事もある。というのも、ルークが超人でありハーレム達が恐ろしいから本人には何かできないからであるが…。そして、女子生徒達はハーレム陣に苛々している人も多い。それ以外にもルークに近づきたいからと僕に媚を売ってルークに近づこうとする女子生徒までいる。
そもそも、この学園は貴族が多い。名門学園というべきか、金持ちが多いのである。だけど、僕は平民だ。別に学園になんて入るつもりなんて最初はなかったのだ。
この学園は13歳~15歳が中等部。そして、高等部の16~18歳は本人が望めば在籍できる。成人は15歳なのだから、中等部に所属していても高等部に上がらない人もいる。
そして、僕どうせお金もないし、入らなくていいと思っていた。12歳まで父親の庭師としての仕事を手伝ったり、ルークと仲良いからって事で一緒に色々と学んだりしていた。それに、ある人に鍛えてもらったから、ルークが学園に行った後に、僕はそのある人の元に行こうと思っていた。
それなのに…、ルークが僕と学園に行きたいと言って、そのままルークの父親であるアル様にまで頼まれ、そして学園に入る事になった。アル様には昔からお世話になっていたし、学べるものは学んでいた方がいいかと思ったし、ルークが居るならいいかと思って入る事にしたのだ。軽い気持ちで。
それが、入学してすぐにこんなに嫌われる事態になり、ルークがハーレムを形成するとは流石に思ってはいなかった。同じ部活の人達とはまだ交流関係が保てているけれども。
ルーク本人の事は嫌いではないけれども、どうも面倒で、少しうんざりする。でも、折角学園に入れて、勉強ができるのだから、頑張ろう、そう思った。
しばらくして、昼休みが終了する。
ルークやハーレム陣はまだ帰ってきていない。それに加えて、次の授業はアフライ先生のはずである。あの横暴な担任は何をしているのだろうか、とあきれてしまう。
別に教師だろうと恋愛は自由だとは思うけれどもそれで職務怠慢するのはどうかと思う。周りの生徒達はルークのせいだとわかってるのか、僕にちらちらと視線を向けている。
居心地が悪くて、ため息が零れる。
そんな中で、少し時間がたって、ようやくルーク達は戻ってきた。
「ルークさん、かっこいいですよね」
「ルークッ」
「勉強頑張りましょう! ルーク」
「さぁて、授業を始めるぞ」
何と言うか、教師の癖に遅れて入ってきて謝りもしない、って何なんだろう。アフライ先生は周りの生徒達が冷たい瞳を向けているのに気付いていないのだろうか。
そうして始まった授業の中で、アフライ先生は何度も何度もルークに絡んでいって、ハーレム達はそれに威嚇するような表情を浮かべて、本当に何なんだろう、って思ってしまった。
本当、周りの反応をどうして考えないんだろう。
……一応、ルークにハーレム陣達に注意するように促すか。僕がいってもきっと反発されるだけだろうから。