本選第二回戦(3)
され、フォークスは無事なのかな。そんな事を思いながら、大量の矢がぶち当たった、フォークスを視界にとらえようと、そちらに目を向ける。
「まさか、返されるとは思わなかったぞ」
そういうフォークスは流石に全てを防ぐなんて真似が出来なかったのか、所々に切り傷がある。ローブだって少し破けており、その切り傷から、赤い血液が流れでていた。
魔法具・《合わせ鏡》は詠唱がいらず、《吸収の鏡》の方でモノでも魔法でも認識して吸い込み、《放出の鏡》で認識した相手に向かってそれを放出する。
そして、この鏡のさらに便利な所は、追跡機能がついているところだ。何処まで逃げても、迫っていくというそういう魔法具なのだ。
魔法具は高価であるが、自分で術式を編み込める僕は安価でこういうのを作ったりする事が出来る。鏡に術式を編み込む作業にはかなりの時間を使ったものである。ボタン付きの縁は知り合いの魔法具職人に作ってもらい、鏡は術式を組み込む作業から自分でやったのだ。
薄い鏡の表面に尖ったもので術式を描き出し、それが終わればまた、その上に鏡をかぶせて術式を編み込む。それを4,5回繰り返し、その表面に薄さ1mm程度の綺麗な鏡をかぶせ、縁にいれたのがこれだ。
表面にまで術式が描かれていたら、それが魔法具だと一発でばれてしまう可能性がある。だから表面には術式を刻まなかったのだ。で、あと作ってもらった縁にも色々細工して、この魔法具が出来た。
やっぱり、魔法具を作るのには時間がかかってしまう。時間がかかるし、難しいし、というのもあって魔法具を自分で作ろうとする人間はあんまりいない。それに、実際作ろうとしても作れない人が多いのだ。魔法具ってものは。
先ほどの魔法で、かなりの魔力を使ったはずだ。魔力回復の薬とかそういうのを飲まない限り、残っている魔力は少ないはずだと思う。
一回、《合わせ鏡》を披露したわけだから、向こうだって、この鏡に対し警戒しているはずでもあるし…。
そんな事を考えていたら、フォークスが動き出した。接近戦に持ち込むつもりらしかった。
まぁ、流石に《合わせ鏡》は剣による攻撃をどうにかすることなんてできないしな。
向かってくる、フォークスを、自らの剣で受け止める。金属と金属がぶつかりあうような、そんな音が其の場に響き渡る。
僕はそこまで、体力があるわけじゃないし、一気に持ちこまれたら負ける。
それを思って僕は、一旦フォークスから少し距離を置く。なるべく、ルーク戦に唱えて、道具を使いたくないんだけどなと思いながらも、僕はポケットから丸めた状態の紙をいくつか取り出し、フォークスへと投げつける。
「――――燃えろ」
その一言を告げると同時に、投げられた紙は火をともし、それがフォークスへと向かってく。
事前に魔力をよく通す紙――魔法紙に予選で使った魔力と混ざり合うインクで、細かい魔法陣を描いたものだ。十分な火力を発揮する魔法陣はびっくりするぐらい細かい。ひとつでもミスしたら失敗するか発動しないんだから、神経を使って細かく描いた。…まぁ、一つミスしてたみたいで、投げたものの一つが何だかわけわかんない事になっているけれども。
――――炎の灯った紙をフォークスが剣ではじこうと動く。まぁぶつかったらただじゃすまないレベルのものを、一斉に投げて、しかも避けられないレベルだったからそうしてるんだろうけど。
炎上する紙がフォークスの周りを囲んでいる。僕もこの状態じゃ近づけない。だけど、僕には他の攻撃手段がある。
『亜空間』から取り出した弓を引いて、次々と、フォークスを狙う。
自慢じゃないが、僕は弓は得意である。素早く狙いを定めて撃つ。それが僕にはできる。攻撃の速さって重要だとやっぱり思う。
一気に向かってくる矢に、フォークスは避けられない。そのまま、矢がフォークスへと突き刺さる。そうして体制を崩すフォークス。此処までくれば、後はもう簡単だ。
そのまま、次々と矢が直撃していき、真っ赤な血液が流れす。―――そうしてそのままフォークスは気を失った。
『様々な魔法具を使いながら、ユウ・リルード選手が勝利しました!!』
そうして、そんな司会者の声を聞きながら、ああ、次はようやくルークとやりあうのだ、それを思った。
戦闘シーンの下手さに自分で何だかなぁと思います。もっとわくわくするような戦闘シーンかけるようになりたいです。
魔法具を色々と考えたいのですが、アイデアが浮かんでこなくて少し困ってます。どういう魔法具だったら面白いかちょっと考えるので、ルーク戦投稿は送れるかもです。とはいってもルーク戦前のユウも書く予定ですが。
あと、読者様でこんな魔法具はどうかとか意見あったら感想で教えてくだされば助かります。