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狙われました。

 「覚悟ぉぉ」

 …自分の試合が終わった後に会場を見周り、それが終わってしばらくして、一息ついて、ベンチに腰掛けていたら、突然そんな言葉とともに、ある一人の少女が現れた。

 黒髪の可愛らしい少女が、長剣を片手に僕に向かってくる。

 って、いきなり何なんだ!? そんな事を思いながら、僕はその少女の攻撃を避けた。

 それに対して、少女は悔しそうに、忌々しそうにこちらを見つめる。

 「何で避けるんですか!?」

 「いや、逆に聞くけど何で避けないの? そして覚悟とかいいながら襲いかかっても敵にばれるだけで効果的な襲撃方法じゃないと思うんだけど」

 本当に、襲撃とかして僕をどうにかしたいっていうならもっと頭を使えばいいのに。そもそも覚悟なんていいながら襲いかかって来て何になるんだか。

 この少女の何処までも浅はかで、馬鹿な考えに呆れそうになる。第一、軍に入りたくて強くなるために色々してる僕が、気配に気付かないとでも思ってたんだろうか?

 僕は平民だし、ルークのそばに親友として、幼なじみとしているからって狙われた事はある。だから、自然と色々と自分を守るすべも身についていった。アル様とか、アースも強くなりたいっていった僕に色々教えてくれたし。

 「くっ、あなたは大人しく切られていればいいんです! あなたのせいで、あなたのせいで…ロッシュ様がっ!!」

 …わかった。この少女はロッシュ・バウナーの取り巻きなんだな。

 何であんな、なんというか、駄目な奴にこんな可愛らしい取り巻きが…? 謎すぎる。それにしても、やっぱりどうも美少女とかって苦手だ。基本的に厄介事に絡んでいる気がする。

 再度、長剣をこちらに向けてくる少女。

 ロッシュ・バウナーの事を尊敬しているのか、それとも恋愛感情でも向けているのかわからないけど、ロッシュ・バウナーが本選への出場を果たしたのは、この少女のおかげなのかもしれない。

 「本選に出場出来た時! ロッシュ様は喜んでくれたのにっ。あなたのせいで、あなたのせいで! ロッシュ様が落ち込んでおられるのです!」

 「…いやいやいや、あんな実力で本選出場してもさ。なんというか、うん、ロッシュ・バウナーの実力で勝たせてやるのが一番だと思うんだけど」

 「それが出来れば苦労してません! ロッシュ様には壊滅的に戦闘に関するスキルがないのです…!」

 「それは、ご愁傷様としか…。つか、それならそれでさっさと諦めて文官でも目指した方がよほどロッシュ・バウナーのためになると思うんだけど…」

 「それは駄目です! ロッシュ様は、強くなって戦いたいんだそうなので! だから私がロッシュ様を強く見せて、ロッシュ様のために動くのですっ」

 「…いや、強く見せるってそれ君の実力があるって周りにさらすだけじゃない? そもそもそれじゃ駄目だと思うんだけど」

 取り巻きの力で強くなったように見せかけられても所詮はそれは偽りでしかないわけで…。才能ないならないで、んな、取り巻きの力使って上に上がろうとしないで別の事に力入れろよ、とつっこみたくなる僕である。

 「君もさ、ロッシュ・バウナーのためになんないって事気付きなよ。誰かに頼ってしか生きられない、みたいになったら情けないにも程があるし。そもそも周りからすれば女の力借りて生きているって死ぬほど情けないと思うんだけど」

 うん、本当に情けないと思うんだよね。女の力借りて強く魅せられている男って。

 もっとなんつーか、表面的な面だけじゃなくて、本当にロッシュ・バウナーのためになるかどうか、この女の子は考えるべきだと思うんだけど。

 まぁ、それはルークにまとわりついてるあの、ハーレム陣にも言える事だけど。

 なんというか、あいつらも皆なんか単純っていうか…。表面的に見て、自分の考えが正しいと思いこんで行動してるっていうか…、客観的に見たら色々見方変わると思うんだけどなぁ、なんて思う。

 僕から見れば、ロッシュ・バウナーがこの少女に支えられて生きるのは死ぬほど情けない。

 だから正直に言ったんだけど、何だか少女にショックを受けたような顔をされた。

 「そんなっ、私がロッシュ様のためにとやっていた事は、ロッシュ様のためにならないのですか!?」

 「ロッシュ・バウナーは喜んでるかもしれないけど、周りからみたらなんというか、情けないって評価に陥るだけだけどね」

 「……ロッシュ様が、情けなく見られるなんてっ!

 私、私! あの方がかっこよく見られるように色々考えてみます!」

 「うん、そうするといいよ。僕もロッシュ・バウナーがまともになって僕に突っかかってこない方が楽だし」

 「はい、頑張ります! 全てはロッシュ様のために!」

 何ていいながら、少女は走り去っていった。

 つか、あの子、途中から僕の事を狙ってきた事忘れてないか…? 何だろう、こういっちゃ悪いけど馬鹿なのか? まぁ、ロッシュ・バウナーの事何故か本気で好きみたいだから、ロッシュ・バウナーをまともにしてくれる事を願っておこう。


 

 

最近忙しいので、投稿遅れました。

次は、転生の方を更新出来たらする予定です。

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