表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/58

ロッシュ・バウナー

 …ロッシュ・バウナーとの戦いの時間がやってきた。

 ああ、とりあえず、いいたい事はムカツクの一言。喧嘩売られるし、言いがかりつけられるし、何か本当、日頃の鬱憤をロッシュ・バウナーではらしてやろうか、なんて思う。

 まぁ、ロッシュ・バウナーがどれだけ強いか、なんて僕にはわからないけど。

 『これより、ユウ・リルードとロッシュ・バウナーが入場します』

 司会者の、声が響き渡る。

 司会を務めるのは、放送部に詰める先輩だ。そうしてその隣には、放送部顧問のリアナ先生が並んでいる。

 …リアナ先生は可愛い系の教師である。正直可愛いとか綺麗だとかいう女の人って、結構ルークに靡く確率が高いから苦手だ。

 『では、まずは選手の紹介です』

 選手の紹介、ねぇ? なんて思いながら、前を見れば、何故かロッシュ・バウナーは得意げにニヤニヤしていた。気持ち悪いな、何か…。というか、バウナー家って確か、侯爵か何かだっけ…?

 『まずは、ユウ・リルード! 彼が本選に残るとは誰か想像したでしょうか! 正直な私の感想を言いますと、予選を見るまで、ルーク・ヴェーセトンの取り巻きとしか認識していませんでした』

 って、おい、とつっこみたくなる個所が何箇所かある、けど、まぁ、いいか。

 『ヴェーセトンの幼なじみとしてメキシムさん達の傍に居られるなんて、なんてうらやま…―――すみません、本心でました』

 あんなののそばに居られて嬉しいか…? やっぱり顔か、顔なのか…。あと家柄か? ルークも結構完璧だからって理由でもててる節もあるだろうし。女って完璧とか、家柄とかがいい男ってのが好きなもんだし。僕にはそんな気持ちさっぱりわからないけれども。

 『次にロッシュ・バウナー選手! バウナー家のご長男! 文武両道の、圧倒的強者であり、学園中の人気者……? って、バウナー選手! 読めといわれて読みましたが、何だか自信過剰すぎないかー!?』

 自分で、文武両道…? 圧倒的強者…? 学園中の人気者…?

 ナルシストなのか、こいつ。そして司会者を睨んでも仕方ないと思うぞ、ロッシュ・バウナー。

 『えーと、ヴェーセトン家の権力を使い、女を泣かせてきていて、生徒会長にまとわりついている、ただの弱虫、ヴェーセトン家の権力で予選を勝ち抜いた…? リルード選手には絶対に負けない、らしいです。バウナー選手は』

 ……だから、お前は僕をどう見てるんだ! まずそこを聞きたい。

 そして権力なんて使ってないし、そんな面倒な事するわけないし。そして、セト先輩とはただの先輩後輩だし、……何より、やっぱりむかつくのは僕が弱いって思われてる事。

 昔よりは、強くなってきてるって、思ってる。強くなりたいって思ったから、強くなろうと努力した。そして、今の僕が居るのに、その努力が権力による強さだとかわけのわからない言いがかりつけられるのは、流石にいやだ。

 …よし、ぶちのめせよう。こういう男嫌いだし。僕嫌いな奴にこういう場面で容赦しようとも思わないし。僕が弱いって認識なくしてあげよう、てか、その体に刻んでやる。


 『――――では、ユウ・リルード対ロッシュ・バウナーの試合を始めます』


 そうして、僕とロッシュ・バウナーの試合は始まった。

 …結論から言うと、ロッシュ・バウナーは驚くほどに、予想以上に弱かった。



 とりあえず、僕は武器は一通り使えるし(一番は弓)、アースに武術とかも習ったから、接近戦もいけるつもりで、剣とかは、『亜空間』から出せばいいかなぁと接近してみたわけだ。

 長剣もってる、ロッシュ・バウナーに。

 右拳を振りあげて、ロッシュ・バウナーの顔面にまず、一撃叩きこんだ。そのあたりで、あれ? っていう違和感はあった。だって、それだけでロッシュ・バウナーはふらついていた。

 そして、ロッシュ・バウナーが反撃とばかりに、長剣を振り下ろしてきたのだが、それがもう、遅かった。振り下ろされるのは遅い、剣術は型にはまっていない。何だろう、ただ使い方のわからないものを振り回しているようにしか見えなかった。

 いや、はっきりいおう。ロッシュ・バウナー。お前、剣で戦った実戦ないだろ? あるなら、剣の才能ないだろ!? としか、言いようがない、剣術だった。

 魔法もそうだ。

 ロッシュ・バウナーは長々と詠唱を唱えて、隙だらけだった。せめて、詠唱を唱えながらでも、隙を見せないとかならともかく。隙ありすぎだった。

 此処まで来て思った。

 ロッシュ・バウナー、お前何故本選に残れた…? と、そんな疑問を。正直いって、僕が予選で戦った先輩達よりも弱いと思う。

 とりあえず、此処までくればロッシュ・バウナーの弱さがわかったので、弱い者苛めをする気もないために、拳をたたきこみ、気絶させた。


 ……再度聞きたい。ロッシュ・バウナー、何故本選に残れた。

 そして、僕に散々ルークの権力使って本選残ったといっていたくせに、お前がもしかして権力使って、予選通ったんじゃないだろうな…?


 『勝者、ユウ・リルード! 驚くほどの、バウナー選手の弱さ! そういえば予選ではバウナー選手の取り巻きらしき人が、周りを倒して、それで棄権していましたねぇ…。ああ、やっぱりあの言えといわれた圧倒的な強さってありえない嘘ですね』


 本人気絶してるからか、さらっと、ありえないなどと言って苦笑している司会者。

 本当に、権力使ってたのか!? それで自分を強いっていってたのか、しかも。

 んー……、何だかなぁと思う僕である。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ