まずは、予選と行きましょう(4)
次はいよいよ、ルークの番だ。
観客席に僕は相変わらずいるわけだけど、隣に、セト先輩がいる。
「ふぅ、我は速く強者と戦いたいものよ」
などと呟くセト先輩は戦闘狂なのではないか、と僕は思う。
それにしても、セト先輩が隣に居るからか、周りの男子生徒達が、僕を睨んでいる気がする。セト先輩に好意を抱いている男子生徒だろうか? とはいっても僕がセト先輩と何かあるって事はないのだが、そう思うと苦笑いが浮かぶ。
「じゃあ、ルークと戦う事あったら全力でぶつかってみたらどうですか?」
「ヴェンセントはそんなに強いのか?」
「そうですね。ルークは魔法の威力とかなら、同年代で一番強いと思いますよ。何て言えばいいんでしょうか、ルークは魔力量と、魔法の才能、剣術の才能があります」
「ほぉ?」
「でも、最近怠けきってます。ルークは人に頼まれると断れないという非常に厄介な性質を持ち合わせています。だから、あいつらのせい、というよりルークのその性質のせいで、強くなりたいという意志が今のルークからは感じられません」
…昔は確かに、ルークは強くなろうと願っていたはずだ。アースの後ろを僕と一緒に付いて回ったはずだ。ルークは人に頼まれたら断れない、だから徐々にそう言う事をしなくなった。とはいっても学園に入る前はそれなりに訓練をしていたはずだ。
怠惰の元凶にはハーレム陣達も関係しているが、一番はルークにある、圧倒的な自信だと僕は思う。対して努力をしなくても、勝てたのだ。ルークは、自分の強さに満足してしまっている。
だから、
「その、自信を叩き折ってほしいんです」
僕は、セト先輩に向かってそう言った。
「自分ではやらないのか…?」
「できそうなら、やります。でも、僕じゃルークに勝てるか、微妙な所なので」
そう言えば、
「じゃあ、頑張るがよい。我はリルードを応援しよう」
と、笑ってくれた。
そんな風にしているうちに、ルークの試合は始まった。
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ルークは男達と向かい合っている。対戦相手の男達はギラギラした目でルークを見据える。本当、ルークは周りに無意識に恨みを買う奴である。
男達が一斉にルークへと襲いかかる。
「てめぇえ、ノアちゃんをたぶらかしやがって」
「セルファードさんを!!」
…ああ、なるほど。メキシム達のファンっていうわけか。正直何処がいいのか全く分からないけど、ハーレム陣達は人気らしいからな。
ルークは、イーサを鞘から引き抜くと、男達に向かって振り下ろしていく。素早い動きだった、一人一人に剣を振り下ろしていく。もちろん、相手側もふさごうとしているのだけど、そこは流石ルークである。
男達が必死で防ごうとしているにも関わらず、イーサは男達へと振り下ろされた。
…そうしてルークは魔法も使わずにあっという間に相手を倒してしまった。
『ルーク・ヴェーセトン! 本選出場決定!』
司会者の、声が響き、会場がざわめいた。
ルークは、一年生だし、圧倒的な力を見せつけられ、周りだって驚いているのだろう。何より、ルークは魔法を一切使っていないのだ。
ルークは、”天才”。元から素質があって、やれば基本的に何でもできる、そんな天才。
―――だからこそ、できるなら僕が、その自信をへし折ってやりたいのだ。
あっさり書きすぎた感じが消えない。
んー、しかしルークって強い設定だから予選だし、こんな感じでいいかなと思って書きましたが、もっと細かく戦わせた方がいいですかね?